変態騎士の回想
※変態騎士視点の提供でお送りします(/・ω・)/※
―――それは、突然のことだった。
主君から“娘に会ってみる~?”と軽く誘われ、表の格好で付いて行った時のこと。
主君はその娘、イェリン王女殿下に将来の婚約者候補で専属騎士候補となるレオス・スォードを紹介した。その場には彼の父親で、表の所属の上司である近衛騎士団長・アイザック・スォードも同席していた。
しかし、彼女は思いっきりレオス・スォードを拒否ったのである。かなりディスり気味に。ついつい笑いそうになったが、近衛騎士団長に睨まれるので堪えたが。
更に予想外なことが起こった。
レオス・スォードが嫌なのなら誰がいい?と主君が王女殿下に問うたのだ。
そして王女殿下が指名したのが俺だった。
何故、俺?
唐突過ぎて笑いがこみあげてきた。
主君は本当にいいのかどうか迷っていたが、取り敢えずお試しとして俺を王女殿下の専属騎士として任じたのだった。
王女殿下は大人しい子どもだった。いつも何かを我慢しているような子。底知れない子。いくつもの顔を使い分け、裏の世界のことも熟知しているからだろうか。何か裏を抱えているような人間を察知するのは得意だ。
さて、彼女は一体何を隠しているのか?彼女は一体どんな子なのか。
いきなり面白いことに俺を指名した彼女の本心が知りたかった。
彼女の本心が垣間見えたのは、レオス・スォードとの邂逅の時、そしてもうひとつが、自身の兄王子であるリアム殿下と邂逅した後だ。
彼女はリアム殿下と邂逅した後は決まって荒れていた。侍女のマリアは宥めていたものの、本人的には怒りが収まらないらしい。
“メイン攻略対象め”“残念王子!”“イケメン崩壊!”“逆ざまぁカモン!”などいろいろ言い放題で、その言葉の内容はよくわからなかったが、面白おかしすぎた。
マリアには時たま睨まれたが、でもこんな愉快な王女殿下もありかと少し思った。
彼女には兄の他に弟がいた。兄への態度とは対照的に、彼女が弟殿下に向ける笑顔はとても弟を大切に思っているようだった。そしてその幼馴染みの男の子にも。
俺としてはぶっちゃけ、―――何あのショタっ子コンビ、めっちゃ萌えるんですけど。
王女殿下の私室に帰った後、王女殿下は俺がついついショタっ子コンビに目移りしていたことに気が付いていたらしい。
“ぼうっとしてたけど、どうしたの?”と問うてきた。
う~ん。そうだなぁ。ここは王女殿下の素顔を知りたいかも。そう思った俺は、素直に吐いてみることにした。さて、彼女はどんな愉快な反応をしてくれるんだろう?
『―――こんのショタコンの変態騎士がぁっ!』
そして彼女に投げつけられたクッションを敢えて顔面で受け止めた俺は、思わず爆笑した。―――マリアには睨まれたけど。
―――それからだ。彼女もまた、俺の前で本音を隠さなくなった。
中でも面白かったのが、彼女が“推し”と呼び崇め奉る“ジオ”と言う男のことだった。彼女の話は毎度毎度愉快で、とても面白い。
―――それに、恐らく裏社会で生きている人物。
それを総括する立場としては、興味があった。そして最近“長”から警告があった暗殺組織に似たような子どもがいると掴んだ。
だからこそ、偽の依頼を組織に流し、彼女が敬愛するそれをおびき寄せて捕獲した。彼は思いのほか俺のお姫さまが気に入ったようで、こちら側に入った。
後はこちら側に忠誠を誓わせるために古巣の組織を壊滅させ、“長”に引き合わせて、影の一員として育てることになった。
その後、哀れにも浮気をした挙句破滅したお姫さまの兄王子。そしてそれを待っていたかのように長はその座を俺に明け渡し、とっとと長年恋い慕っていた公女さまに婿入りしてしまった。
全く、あの“殿下”といい、ジオといい。妙に一途なのだから。
そして、当初の予定通りジオがお姫さまを手にしたら、俺も長の座は後任に任せお姫さまに付いて行くことを選んだ。―――マリアの首輪付きだからちょっと不満だけど、まぁ別に嫌ではない。
相変わらず裏の闇ギルドの長は続けているし、ジオにも引き続き補佐をさせているけれど、それもお姫さまのため、主君のため。
まぁ、お姫さまに裏側の顔を見せるつもりは、まだ当分ないけれど。これからも楽しませてね、お姫さま。
あと、お姫さまの血を引くかわいいショタっ子を早くこの目に入れた―――、いや、マリアに睨まれたからよそう。
※これにて完結です!お読みいただきありがとうございましたっ(`・ω・´)ゞ※




