めでたしめでたし
―――さて、その後のことを少し解説しておこう。
私に暗殺者(実は闇ギルドの密告によって影が成り代わっていた)を放った聖女ファナ・フローライト子爵令嬢は処刑された。そして彼女の両親である子爵夫妻と跡継ぎの兄君は、子爵の爵位返上と共に財産、領地没収、そして生涯終身刑となった。なお、その子爵家に連なる親族に関しても全て平民となりのに下された。
私とジオの婚姻について、お父さまとお母さまにお許しを得に行ったところ、「あら、やっとなの?」「待ちくたびれたぞ」との答えが返ってきた。
そう言えば、ジオの真の主は国王であるお父さまなのである。もしかして、最初から全部お見通しだったのかな。それで降嫁先は私自身に決めさせると仰ったのだろうか。
まぁ、お父さまもお母さまもジオの傍なら安心と言ってくれたし。私は卒業と共に晴れてジオと婚姻の契りを結び、ジオの元へと降嫁した。
ジオがお父さまからもらい受けた爵位は伯爵位だった。私は伯爵夫人となる。王城にほど近い屋敷を構え、ジオや王女時代から仕えてくれた侍女のマリアたちや護衛たちと一緒に移り住んだ。
―――なので、もれなくお父さまからルシウスを付けられた。
ルシウス的には私とジオの息子がかわいらしいショタっ子だと最高と言っていたのでマリアに即座に腹にパンチを入れられていた。
それでも相変わらずへらへらしていたルシウスは、何故かマリアと結婚していた。
でもマリアなら、ルシウスの首輪をしっかりと繋いでいてくれると思う。割といいコンビかもしれない。
また、我が弟セシルとアリスちゃんの仲も良好で、このふたりは学園卒業と共に婚姻を結び、本格的にお父さまの業務を補佐していくそうだ。
更に、ルカとリゼちゃんも学園卒業と共に婚姻を結んだら、ルカはセシルの側近、リゼちゃんはアリスちゃんの護衛として近衛騎士隊に所属することが決まった。
お先に卒業していたレッカ先輩は学園卒業と共に婚姻を結んだ奥さんとラブラブで、奥さんはもうすぐ臨月なのだとか。
レッカ先輩は今も王城で学業で忙しいセシルの公務の補佐をしてくれており、セシルが卒業後も引き続き側近として仕えてくれるそうだ。
一方のレオスはと言うと、私たちと一緒に卒業し、その後は近衛騎士隊に配属になった。今後はセシルの専属騎士となるようだ。そして、それと同時に留学していた婚約者が帰国し、晴れて婚姻を結んだ。相変わらず従姉妹の奥さまの尻の下に敷かれているらしい。
ラスボス王女に転生したと気が付いた時はどうなるかと思ったけれど、なんだかんだでめでたしめでたしである。
「イェリン」
「ジオ?お帰り!」
ジオは私と婚姻後も私の護衛兼夫として側にいてくれる。たまにお父さまからの依頼で、情報収集などのお仕事をこなしているそうだけど。伯爵となった今も所属としては隠密部隊の一員らしい。
「身体の調子はどうだ?」
「心配しなくても大丈夫だって」
「けど、もうひとりの身体じゃないんだから」
そう、ジオが優しく私の背中に腕を回してくれる。
「ふふっ、そうだね」
「家族が増えるのが楽しみだな」
「うん」
私はジオに思いっきり甘やかされながら新たに産まれてくる命を心待ちにして幸せに暮らしている。
その後、1男1女に恵まれた私たち。ルシウスはある意味歓喜していたが、すかさずマリアに鎮圧されていた。そんなルシウスとマリアにも子どもが産まれ、伯爵邸はとても賑やかになったのだった。
(完)
※これにて本編完結です(/・ω・)/
※この後はいくつか番外編を更新予定です
※ご覧いただきありがとうございました<(_ _)>