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呪いの傀儡 プロローグ

 町のはずれの工業地帯。


 その一角に今は使われていない廃工場があります。


『旧ミカミ第三工場』


 そう呼ばれているそこは、かつてミカミ製薬が有する拠点の一つでした。


 しかし前述の不祥事をきっかけに経営悪化で放棄。


 自治体が買い取ったものの、様々な横槍から有効活用する計画が定まらないまま時だけが過ぎていきました。


 今では人が寄り付くことも無くカラスのたまり場と化しています。




 早朝――。


 照らしつける太陽の下、廃工場の敷地内を歩く二人の人物。


 一人はカグラザカの奥方アキ。女優帽が似合う気品あふれる女性です。


 もう一人はその使用人の少女ミクリです。


「概要はさっき説明した通りだけど、今のうちに聞いておきたい事はある?」


 アキの質問に対してミクリは口を開きます。


「じゃあ、どうして私なんですか?」


「あら、不満?」


「そういう訳ではないんですど、気になって……」


 カグラザカにはおよそ100人の使用人が勤めています。


 その中で今回ミクリが指名され、この廃工場へ連れてこられました。


 ではそもそも何故二人がここへ来たのか……。


 まずはそれを説明しましょう。




 遡ること一週間前。


 この場所へ一足早く、部下を引き連れたサーヤが訪れていました。


 近頃怪しい人物が敷地内に侵入しているという相談を受けて、調査に赴いたのです。


 このミカミ第三工場には研究棟が3つ、製造棟が3つの計6の棟が連なっていて……最も階高の大きい棟は5階建て。


 そしてアルファベット順にそれぞれA~Fまでの名が付けられています。


 手分けをして調査にあたっていた最中、サーヤはF棟3階のEPS室 (※注1)で一台のビデオカメラを見つけます。


 不自然な光景だったので辺りを見渡すと……。


 突如天井が光って、なんと上からカレンが降って来たのです。


 この日はミクリと共に絵画展へ赴いていたはずのカレン。


 流石のサーヤも驚愕と混乱に思わず思考が一瞬止まりましたが、すぐにカレンの記憶を覗いて状況を把握しました。


 つい先ほど、シグサリアカネの魔法でここへ転移されたのだということを……。


 廃工場の調査は完全ではありませんでしたが、カレンの保護を最優先と考えたサーヤ。


 すぐに撤退する決断をとったのです。


 その後アカネは逮捕され、すぐに少女達を監禁していた場所を答えたのですが……。


 それはこの廃工場とはまったく別の場所でした。


 さらにアカネは、旧ミカミ第三工場の事など身に覚えがないの一点張り。


 辻褄が合わないのです。




 その後、サーヤからその情報を受け取ったアキ。


 この場所には絶対何かがあると確信しました。


 では再調査に誰を連れていくべきか……。


 副メイド長のリノへ相談すると。


「断然ミクリさんです! 3K (※注2)は全て彼女にやらせればいいんです! どうぞ煮るなり焼くなり好きにして下さい!」


 とのこと。


 どうやらミクリが屋敷内で好き勝手に振舞ったことを根に持っているようです。

注1)電気配管や通信関係の機械を設置した部屋。


注2)「きつい・汚い・危険」な作業のこと。

   近年では「帰れない・厳しい・給与が安い」仕事を指すこともある。

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