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メイド長への手紙 3

 サーヤはアズサへ礼を告げると、足早に去っていきました。


 廊下に一人取り残されたアズサ。


 どこからともなくミクリの声が聞こえます。


「うーむ……。あのメイド長があんなに驚く程の人物……。気になるね」


 キョロキョロと見渡すと、すぐ近くの壁がペロンと剥がれてミクリとカレンが現れました。


 正確には背景に溶け込んだ模様の布が剝がれ落ちたのです。


 隠れ身の術というやつですね。


「うおあ! ミクリとお嬢様!? 忍者かあなた達は!」


「ねえ、クノンってだあれ?」


 カレンは不思議そうに尋ねます。


「そうそう、アズサは知ってる?」


 ミクリも尋ねますが。


「いや、私も聞いたこと無いな」


 アズサも知らない様子。


「もしかしたらメイド長の恋人だったりして」


 ニヤッと笑うミクリ。


「ええ!? あのメイド長に恋人!?」


 メイド長が男性とイチャイチャする様子を想像しようとするミクリとアズサ。


「「ないないない!!」」


 見事に声が揃います。


 想像できなかったようですね。


「クノンって響きから、その相手って女性じゃない?」


 と、アズサ。


「じゃあ、メイド長の肉親ってこと? 確かメイド長ってミカミ製薬の社長令嬢なんだよね?」


 ミカミ製薬とは……かつて感染症に対する特効薬の第一線と言われた製薬会社です。


 魔力から薬を精製する技術を有していたそうです。


 今は経営者が変わって魔法とは無縁の小さな組織となっています。


「正確に言えばだった(・・・)だよ。ほら、メイド長の両親はもう亡くなってるでしょう?」


「あ、そっか。メイド長って自分の過去話とかあまりしないから」


 ミクリは周囲からの噂で聞いた程度の事しかサーヤの過去を知らないのです。


「それにしても当時は凄い騒ぎだったんだよ。テレビでそれしかやってなかったんだから」


 アズサは当時まだ6才でしたが、その記憶を鮮明に覚えている様子。


 一方でミクリはというと。


「当時の私は5才か……。ちょうど施設に拾われた時だ。あそこにはテレビなんて物は無かったよ、うん」


 しみじみと頷きます。


 ミクリは物心ついた時から児童養護施設にいたのです。



 さて、二人のメイドが何やら小難しい話をしている最中。


 すっかり蚊帳の外になってしまったカレンはつまらなそうに窓の外に目をやります。


 でも相変わらずの土砂降り天気。


 やっぱりつまらないと頬を膨らませます。


 すると、屋敷の中から傘を差す人物が出ていきました。


「あっ! サーヤだ!」


 カレンの声に二人のメイドが反応します。


「こんな大嵐の中、わざわざ出かけるって不自然じゃない?」


「確かに、今日のメイド長の予定は全て屋敷内だったはず」


 やはり先ほどの手紙が関係しているのでしょうか……。


「ねえ、アズサどうする?」


 メイド長の後を追いかけるか否か尋ねるミクリ。


「私はパス。風も強いし雨でびしょ濡れなんてゴメンだしね。カレンお嬢様も今日はお屋敷で大人しくしましょうね?」


「はーい!」


 アズサとカレンは屋敷に残るようです。


「そっか……。じゃあ私はメイド長を追いかける。やっぱり気になるから」


 ミクリはレインコートを身に纏うと、二人に見送られて魔法の箒で飛び立つのでした。

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