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ミクリはペテン師 プロローグ

 【あらすじ】


 ミクリはご令嬢であるカレンに魔法学を教えることになりました。


 でもミクリが教えるのは魔法ではなく……。

 とんでもなく長い廊下を少女が丁寧にモップがけをしています。


「まったく……ミクリのせいで私の仕事が増えちゃったじゃない」


 少女の名前はアズサ。


 ミクリの同僚であり、一つ上の先輩。元は部屋の掃除を任されていた使用人です。


 前任の廊下担当者がご令嬢に気に入られ昇格したことで、廊下掃除も彼女の兼任業務となりました。


「今度何かおいしい物でも作って貰わなきゃ。あいつ意外と器用だし」


 そんなことをぶつぶつ言いながら掃除をしていると、前方から小さな女の子が現れました。


「えへへ」


 それはこのお屋敷のご令嬢、カレンでした。


 着ていたドレスには似合わない黒いシルクハットを被って何やらニヤニヤ……こちらへ向かってきます。


 とても上機嫌なご令嬢にアズサは思わず尋ねます。


「あら、カレンお嬢様。どうしたんですか?」


「ここに黒いハットがあります」


 唐突に何かが始まりました。


「え、急にどうしたんですかお嬢様?」


 すると背後から耳打ちされます。


「ちょっと付き合ってあげてよ。お嬢様は真剣なんだから」


「うわ! ってミクリ!」


 いつの間にかすぐそばにいた後輩にアズサは驚きます。


「ほら、私の事はいいからお嬢様を見てあげて欲しいの」


「後ろから脅かせておいてよく言うよ。で、何なのこれ? お嬢様は私に何を見せようとしてるの?」


「いいからいいから、とりあえず見てあげて……ね?」


 カレンはシルクハットを脱ぐと、中身を見せてきます。


「ハットの中には何も入っていませんね?」


「はい。何も入っていません」


 とりあえず頷くアズサ。


「今からハッと驚かせて見せましょう。この帽子をもう一度被って魔法を……」


 すると――。


クルック! クルック!


 バサバサバサッ!!


「ああ~! ダメー! まだ出て来ちゃダメだってばー!」


 カレンの後襟うしろえりから真っ白な鳩が飛び出して逃げ回ります。


「ああ~! 鳩さん待ってー!」


 それを必死に追いかけるカレン。


「え、何この可愛い生き物……。ってミクリ、これ手品よね……あんたお嬢様に魔法学を教えてたんじゃなかったの?」


「ふ、タネが分からなければ…………それはもう魔法よ。byミクリ」


「なに名言っぽいこと言ってんの。さてはあんた職務を放棄したな」


「そんなこと無いって。私なりにちゃんと考えがあるんだから……」


「どうだか」


「あ、ほら……そんなことよりさー、今のどうだった?」


「何が?」


「お嬢様のてじ……じゃなかった。魔法よ魔法」


「今あんた手品って言おうとしたよね。認めたよね今。でも…………とても可愛いかったと思います」


「でしょう!」

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