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透明人間になったお嬢様 1

 廊下の床磨きがひと段落ついて、窓ふきに取り掛かるミクリ。


 今度は合流した同僚の少女も一緒です。


「ミクリー、あんたまたメイド長怒らせたんだって?」


 どうやら屋敷中に筒抜けのようです。


「またって言わないで。今日はまだ一回しか怒られてないんだから」


「いや、一回怒られたら十分でしょ。そもそも普通に仕事していれば怒られないでしょうが」


「そんなこと無いって。あの人は私でストレス発散してるに違いないんだから。ほんとメイド長ったらすーぐ怒るんだから」


「あんたが怒らせるようなことするからでしょうが。それに、どう考えてもストレスの元凶があんただと思うんだけど……」


「うーん……。ストレスが先か、怒りが先か……。なんか鶏が先か卵が先か論争みたいで深いね」


「深くねーわ!」


 そんな会話をしながら廊下の窓ふきを進める二人。


 すると後方にある『レッスン室』と記載された扉の向こうから男性の怒鳴り声が聞こえてきました。


「そんなことも出来ないのか!!」


 あまりの怒声にミクリと同僚は振り返ります。


「あら、こっちでもなんか怒ってる人が……。ほんと、どいつもこいつも怒ってばっかり。この屋敷の人達ってカルシウム足りて無いのかしら。やーねー」


 やれやれと言わんばかりのミクリ。


 同僚は透かさず言い放ちます。


「あんたがそれを言うな」



 ◇ ◇ ◇



 そーっと扉に耳を近づけて盗み聞きする二人。


 今この中ではご令嬢が魔法学の実技指導を受けているであろう時間です。


「いいか! これは初歩の魔法だ。やってみなさい」


「えい!」


「違う! 何度言えば分かるんだ! この無能が!」


 相当なスパルタ教育のようです。


 無理もありません。


 ここ、カグラザカ家は代々一流の魔法使いが生まれる家柄なのですから。


 しかし漏れ聞こえる声からして、未だ一流とは程遠い状況のようです。


 そーっと扉から耳を離すミクリと同僚。


 二人は小声で会話を再開します。


「カレンお嬢様も不憫よね。まだ五才よ……義務教育も始まってないじゃない。魔法が使えないことの方が当たり前よ。でしょ?」


「え、そうなの?」


 聞き返してしまうミクリ。


 物心着いた時、既に魔法を自在に操っていた彼女は当たり前(・・・・)から少々ズレていたりします。


「ごめん、聞く相手を間違えた」

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