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ミクリの狂乱 エピローグ

 怒りに身を任せただひたすらに惨殺を繰り返す――。


 ぐちゃぐちゃの液体と化したそれ(・・)はウィザードの効力すらも置き去りにし……。


 既に事切れています。


 にも関わらずミクリはなおも銃弾を浴びせ続けているのです。



「こ、こっちです! 早く!!」


 同僚がサーヤを連れて戻って来ました。


 その姿を見たサーヤは驚愕します。



「やめなさいミクリ!!」



 すぐに背後から取り押さえると。



「あああああああ!! 離せええええ! こいつはお嬢様の居場所を知っているんだ! 絶対に吐かせてやる!!」



 激しく暴れるミクリ。


 サーヤは先ほどまで人間だった液体から透視を試みますが、情報を得ることはできません。


「やめなさいミクリ! こんな事をしてもお嬢様は戻ってきませんよ!」


「離せえええええ!!」


「落ち着きなさい! いいから落ち着け!」


 必死に抱き留めて、宥めるサーヤ。


 催眠と洗脳の能力も使ってなんとか気持ちを落ち着かせます。



 すると、ミクリの片手から拳銃が滑り落ちました。



「――――」



 声にならない悲痛な叫びを発するミクリ。



 やがて瞳からボロボロと涙が溢れてきます。




「ぁあ、あぁあぁああ、うわあぁあぁあぁああぁああああ!!」




 やがて大きな声を出して泣き崩れるのでした。



 ◇ ◇ ◇



 楽園を求める会、神殿。


 最奥の間と呼ばれる真っ白な部屋の中心に立つ男が一人。


「ぬあああああああ!!」


 唐突に叫び出すと額から流れる冷や汗を手の甲で拭います。


「ハア、ハア……。あ、危なかった。このまま意識を繋げていたら私も死ぬところでした」


 男の名はサクマ。


 楽園を求める会の総帥です。


 そして非合法薬物ウィザードを横行させた張本人でもあります。


 ある日、彼はウィザードのある性質を知りました。


 それはウィザードを使用した者を自在に操れるという性質。


 意識、記憶、五感全てを乗っ取り完全に支配する……。



 やがて笑みを浮かべるサクマ。


「ふ、ふふふ、ふははははは! しかし成果は得られました。楽園は確かに存在する。確信しましたよ!」


 その時、扉の向こうからコンコンとノックする音が聞こえます。


 入室を促すと、現れたのは白いローブを纏った男。


 どうやら信者のようです。


「失礼します。シンドウ達の状況を報告します。思ったよりも警察の対応が早く、未だに彼らは都内で潜伏中とのこと」


「そうですか。カグラザカの娘に変化はありませんか?」


「特にないそうです」


「分かりました。決して殺してはなりませんよ。あれは楽園に到達する為の鍵なのですから。しかしここに連れて来れないのはなかなか厄介ですね」


 サクマは少し考える素振りをすると。


「では私が後押しをしましょう。ちょうど試したかった事もありましたから……」


 サクマは意識をどこかへ飛ばします。


 目的の為には手段など選ばない。



 その全ては楽園へ到達するために……。

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