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魔の森の大賢者  作者: 神内 焔
第一章  森の生活編
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採取の旅路  〜居残り組サイド〜



 レンやゲイズ達が採取に出掛けてから丸一日が経過した。アルリシア達居残り組がその頃何をしていたかと言うと………沈んで居た。


 「貴方達普段何を食べて暮らしてるの?」


 テーブルに引っ潰して力の無い声で尋ねるアルリシア。

 無理も無い、パトリシアを始めイレーヌ、クレダ、メイまでもが演習で作るシチュー以外はまともに料理が出来なかった。


 そのシチューも不味くはないだけで、絶賛する程の技量では無く、普通に食べられる程度の謂わば家庭の味レベルだった。


 つまり、その他の肉料理、サラダ、等は普通に不味い。サラダを不味く作れるのは一種の才能だろうが、誰も得をしないので褒められる訳でも無い。


 それもその筈、遠征や演習以外は屋台や食堂で食事を済ませており、自宅で料理等は全くと言っていい程やらないのだ。


 「いやぁ、知らない内に物凄く舌が肥えてたんすねぇ。」


 「それはいいが、私には料理どころか包丁すら握らせて貰えないのは何故だ?」


 心底不満そうにパトリシアが抗議するが、返って来たのは辛辣な言葉だった。


 「一々包丁を振り下ろす人に持たせちゃ駄目って言われてるっすから。」


 「砂糖と塩を間違うお約束を現実でやった人を初めて見たし。」


 「しかも、何でも感でも隠し味にワインを大量にぶち込む人は料理舐めてるとしか思えませんので。」


 イレーヌを筆頭にクレダ、メイとトリプルアタックを決めてパトリシアは撃沈した。


 「お前らぁぁぁぁぁ!私だってやれば出来るかも知れないじゃないか!」


 出来ると断言しない所がそこはかとなく自信の無さを物語っている。


 「大変ご厄介になっている家で、アルリシアさんのお世話だけに大枚叩いて楽させて貰っている上に、高級食材まで出来るかも知れないと言う試みで無駄に消費させろとリーダーは言うっすか?」


 「うぅ……そ、それは。」


 流石に此処まで言われると引っ込むしか無いのだが、自分達だって褒められる程の腕ではない癖に一方的に責められると釈然としない物が残る。


 「そもそも私等全員がレン君やアリスさんよりも遥かに女子力低いんすから、少しでもまともな物を作れる者が担当するのが最善策っすよ。」


 「そうか、そうだな……。」


 イレーヌが言わんとする事も分かる、分かるのだがやっぱり美味しい物を食べたい!このジレンマをどうしてくれようか。


 「せめてもう一人メイドさんが現れてくれれば。」


 クレダの独り言に全員の視線が集中する。


 「「「「それだ!!!」」」」


 全員の視線に流石にクレダもたじろぐ。


 「チョット貴方達、それだも何もアリスさんだって冒険者のサリシャさんの話じゃ何処から来たのか判らなかったらしいじゃない。

 それに、他に居るのかどうかすら分からないのよ?」


 アルリシアの言う事も最もだが、一度火の付いたイレーヌには諦めると言う文字は無かったらしい。


 食堂から裏の畑へと通じる庭先までテラスから飛び出して大声で叫んだ。


 「カモォォォォォォン!新たなメイドさぁぁぁぁん!」


 両手を大空に伸ばし、山々に木霊する程の大声で叫んだイレーヌを見て、皆の目がとても可哀想な子を見詰める眼差しに変わる。


 「イレーヌ、私が悪かった不得意な料理を無理して作ろうとして申し訳なかった。今後は仲間に少しづつ習って地道に修練するよ。」


 「隊長………あんまりっす。」


 若干涙目になりながら自分が行った事が如何に頭のおかしい行動か理解する。

 半分は冗談のつもりだったが、美味しい物を食べたい衝動からやったのも確かなのでそれ以上言い訳する事も出来なかった。


 「呼んだです?」


 「「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」


 突然誰も居なかった筈の庭先から声を掛けられてイレーヌとパトリシアはお互いに抱き合って悲鳴をあげた。


 「失礼しちゃうです。メイドさんって呼んたのはそっちなのです。プンプン!」


 二人は抱き合ったまま困惑の表情で聞き返した。


 「あ?え?えぇ!本当にメイドさんが来たのか?」


 「ワァオ……しかも、幼女メイドっすか。」


 身長140cm程、水色で光沢ある髪はウェーブヘアで肩の少し下まで伸びている。

 気になる胸囲は……良かった勝ってる。bカップでコンプレックスのあったパトリシアも流石に幼女に迄負けたら立ち直れない所だった。


 「幼女は余計なのです。お困りのようだけど、先ずは主様にご挨拶をしたいのです。」


 見た目に反してしっかりした意識と行動力がある様だ。多少舌っ足らずなのも愛嬌だろう。


 「申し訳無いっすが、この館の主は現在お出掛け中でして……。」


 事の経緯を掻い摘んで説明して現在困っている事態を解決出来ないか相談を持ち掛ける。


 「まぁ、既に目覚めている同類が居たのです?残念なのです、一番最初のお姉さんだと思ってたです。」


 本当に残念がる幼女メイドがあまりにも可愛いので思わずハグして頭を撫でまくりたい衝動に駆られる。


 「大丈夫っすよ、メイドちゃんは二番目っすからちゃんとお姉さん出来るっすよ。」


 その後に続く兄弟姉妹が居るか不明なのは伏せておく。


 「取り敢えず名前はまだ無いんすよね?何て呼べばいいっすかね?」


 「一応品番はイプシロン3型って名称はあるですけど………。」


 流石に品番で呼ぶのは可哀想過ぎる為、暫く呼び名について考える。


 「なら、イプシロンから取ってシロンちゃんでどうっすか?」


 「シロン……良いです!可愛くて良いです!」


 「品番がΓ(ガンマ)やゼータじゃなくて良かったのです。」


 流石にイレーヌ達にデリカシーが無かったとしても、同じ女性としてそんな名前は付けないだろう事は皆口にしない。


 「じゃあ早速お料理を始めるのです!」


 「得意なので良いからね。無理に難しい料理にする事も無いから。」


 見た目が幼女な為、一応の料理知識は備えているだろうとは思ってもどうしても無理な物を作らせてはイケない様に思えてしまう。


 「大丈夫なのです。お姉様もいきなりで出来たのです、シロンにも出来るのです。」


 一部は心配なのでこっそり様子見していたが、やがて安心した様に戻って来た。


 「どうだったっすか?」


 やっぱり気になっていたのか、イレーヌがクレダとメイに尋ねて来た。


 「いや、中々どうしてしっかりしたもんだよ。芋らしき野菜も危なげ無く捌いてたし、こりゃ期待出来るんじゃないかな?」


 「そうっすか、そりゃ楽しみっすね。」


 近くで聞いていたアルリシアも心做しか顔がニヤけている。





 芋を剥いていた、近くには卵もあった、リンゴが何に使うかは分からなかったが、近くには小麦を練った物がボールにあったので、パンを焼こうとしてると勝手に思ってた。


 今夜の夕飯のメニューは、大学芋、アップルパイ、デザートにプリン・アラモード、飲み物にリンゴのスカッシュだった。


 「美味しい、美味しいけど、これ甘味ばっかで夕飯としてどうよ?」


 「文句を言うな、頼んだのは我々だ。」


 「せめて事前にメニューを聞いて置くべきでしたね。」


 「私はこれでも平気。」


 「これ毎日だと、確実に太るっすよ。」


 翌日から交代で裏庭を走りストレッチをする女性兵士達の姿が見られる様になったそうだ。




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