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魔の森の大賢者  作者: 神内 焔
第一章  森の生活編
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採取の旅路  前夜 2 



 私はサリシャ魔法使いである、やる事はまだ無い。

 魔法使いとは取り敢えず攻撃魔法、防御魔法、支援魔法を最低限一つずつ習得した者の呼び名である。


 系統によって呼び名は変わるが、一番ポピュラーな四元素魔法の一系統を上級迄習得した者を"魔道士"、独自の魔法理論を確立させたり、独自の魔法を編み出した者を"魔導師"と呼ぶ。


 特殊な魔法で"森魔法"と言うのもあるが、使い手が極端に少く、魔法理論もあまり良く確立されていない為にユニーク魔法と結論付ける学者も居れば、生命魔法の亜種と提唱する声も少なく無い。


 色々な系統の魔法を研究する学者は多いが、レン君未来の旦那様として目下交渉中の美少女の様な男の子なのだが、彼が一度だけ見せた回復魔法は教会の神官のそれとは遥かに次元の違う魔法だった。


 先ず、回復の速度もさる事ながら、傷跡も無く更には無詠唱だった事に驚愕を隠せない程の…そう正に奇跡を目の当たりにしたようだった。


 恐らくは教会の大神官でも、いや、枢機卿クラスでもあの魔法は真似出来ないのでは無いだろうか?


 魔力量が桁違いに多いのは判るのだが、その量が大き過ぎて正確な所は全く測れない。


 多分だが、伝説の勇者様も嘗て大陸を恐怖のドン底に突き落とした魔王でも彼には敵わないのでは無いだろうか。


 アルリシアさんから聞いた話では、此方に移動中に遭遇したドラゴンも瞬く間に倒してしまったそうだ。


 現在彼女の足になっている多脚車椅子なる物も彼の手造りだそうで、室内なら車輪で、外や階段等は六本の脚を出して移動出来る代物だそうだ。


 更には防衛機能迄あるらしく、旦那様の号令で完全な密室の様になりドラゴンから逃げ出す事が出来たそうだ。


 まあ、何も知らずに完全密封されたので、最初はかなり怖くて暴れたそうだが、片腕、片足では大した事も出来ずに諦めたらしい。


 しかし、時間も然程経たずに密封状態から解放された時に見たのが、ドラゴンの首チョンパの前でアルリシアに微笑みかける旦那様を見て一気に惚れてしまったそうだ。


 まぁ、本人も素直じゃないので本当の台詞は、【ド、ドラゴンを倒すなんて中々強いじゃない、エルフにだって単独討伐出来る者なんて居ないわよ。この際だから手足が治せなかったとしても面倒診てくれるなら赦してやろうかしら。

 今は見た目は美少女だけど、成長すれば少しは男らしい見た目になるだろうし、ご飯は美味しいし、多分街に出ればあっという間にお金持ちになるかもだし、子供くらい産んであげても吝かでは無い気がしないでも無いかもだし……ブツブツ……。】


 台詞が長い上にこの先殆ど聴こえなかったから割愛するけど、要約すると"惚れた"と言う事なのだろう。


 後から兵士のお姉さん達から聞いた話では、アルリシアさんの周りにも全員が居たので、取り分け彼女だけに微笑んだ訳では無いのだろうと、夢を壊す程悪趣味では無いので黙っていてあげよう。


 そもそも、この私にすら首を縦に振ってくれないのだ、結婚の条件もかなり厳しいのかもしれない。


 あれ?何の話だっけ?そうそう、旦那様の事をもっと知りたい者同士が集まって情報交換の場を設けようと提案したのだ。


 つまりは女子会である!明日からはゲイズの脳筋が採取の手伝いで北の山に登るとか言い出したので、その前に皆で集まって情報交換して置こうと思ったのである。


 皆も賛成してくれたので、旦那様に頼んで大部屋を貸して貰い、序にお菓子やお茶も都合してくれた。


 この細やかな気遣いが出来る辺り只の子供には思えない。


 旦那様のお菓子も凄い美味しいし旦那様って何でも出来るのではないだろうか?不味い、現時点でかの勇者様も提唱した"女子力"なる物も負けている。


 このままでは旦那様に勝てる物が何も無い、となれば嫁の座も夢のまた夢なのでは……。今夜の女子会で何としても結婚への突破口を見つけ出さなくては。


 万が一にも【女子力たったの5か、ゴミめ!】等と言われた日には立ち直れないどころか、その場で首を吊ってしまいそうだ。いや、旦那様は言いそうに無いけど。




 〜女性兵士Side〜


 イレーヌが今夜誘われた女子会への差し入れであるお菓子を摘み食いしながらリーダーであるパトリシアに質問をぶつける。


 「リーダーって一応貴族なんですよね?何でレン君みたいな子供に懸想してるんです?」


 「摘み食いを止めなさい。一応我々はアルリシアさんの護衛兼世話役なのですから、その対象への食べ物に手を出すとは何事です。」


 「毒味っすよ、ど・く・み!」


 「詰まり、差し入れて下さったレン君を疑っていると?」


 自分の失言に気付きイレーヌに緊張が走る。


 「い、いや私がレン君を疑う訳無いじゃ無いっすか。今のは言葉の綾っすよ。」


 「まぁ、レン君なら笑って済ませてくれるでしょうけど、レン君を猫っ可愛がりしていて配下のアリスさんが聞いたらどんな反応をするでしょうね?」


 冷めた目で脅してくるパトリシアにイレーヌもアリスの反応を想像するだけで冷や汗がダラダラと滝の様に流れ始める。


 「反省しますので、どうか御内密に……。」


 直角とも言うべき角度で深々と頭を下げるイレーヌ。


 その一言でパトリシアの貴族云々の質問は有耶無耶になってしまったのはズボラなイレーヌには気付け無かった。


 実を言うと残りのメンバーであるクレダとメイも摘み食いしているのだが、彼女達は本当に味見程度だったので誰にも見つからずに済んだのは本人だけの秘密だった。


 尚、レンへの求婚活動はベルフェ王からこっ酷く怒られた為、今回の依頼であるアルリシアの護衛兼世話役が終わる迄一切禁止とされてしまった。


 依頼が終わったら会う機会も無くなると騒ぎ抗議したのだが、そもそも11歳の子供に求婚する事自体外聞が悪い事もあり却下されてしまった。





 〜アルリシアSide〜


 私とした事が思わず自分の気持ちを認めてしまった。

 寄りにも寄って子供に心を奪われるなんて、いやいや、此れは一時の気の迷いに違いない。


 でも、一部始終を見れた訳じゃ無いけど、ドラゴンを簡単に倒してしまったレン君格好良かったなぁ……ってそうじゃなくて!


 そもそもこんな辺境に家を構えてるなんて、一体何をやらかせばあの歳で世捨て人なんかになるのよ。


 里の大人達も言ってたわ、【子供だから物の価値が分かってない、水晶鹿の角を胡椒や味噌、醤油等の調味料と交換なんて馬鹿のする事だ】って。


 幾らエルフが排他的でも、鉄器も欲しければ価値のある装飾品だって欲しがる。


 狩猟民族だから日々の食料の確保だけで精一杯で、あんなレアな魔物やイービル・ボア等滅多に捕れない高級品だ。


 なのに、さも当然の様に村では安値の調味料や果物と交換などして足元見られているのも解らない子供と馬鹿にされていた。


 人種にとってエルフは排他的な代わりに高潔で道理を通す誇り高き種族と思われがちだけど、長過ぎた平和の為か傲慢で他種族を見下す誇りの欠片も無い者が増えて来ている。


 そんな種族の生き残りに【恩返しの為だから】と、里の危機に駆け付けて私を助け出した。


 更には身体を元の状態に戻して見せるだなんて、とても信じられない話だけれども、どうしてそこ迄出来るのか。


 いっそ里のエルフ達があの子に対してどの様な扱いをして騙していたか暴露してやろうかとも考えたが、自分の気持ちに気付いてしまった今となっては恐怖の方が勝ってしまっている。


 彼ならば笑い飛ばして許してくれそうな気がする。しかし、許してくれなかったら?殺されるだけならまだ良い。

 けれど、苦しむ様に此処を追い出されたら?追い出されなくても嫌嫌最低限の食事だけ与えられて一生涯孤独に飼い殺しの様な生活をさせられたら?


 何より嫌われて顔も見たくないと思われるのが一番怖い。

 ならば、付かず離れずの距離感で静かに姿を眺めていられる方がずっとマシだ。


 最早片腕、片足を失い顔も醜い傷が付いている者など娶る物好きも居ないだろう。


 この前口では治せなかった弱みに付け込んで娶らせる様な事も言ってしまったが、そもそも治せなかったからと言ってそれが悪いと言う訳でも無いのだ。


 寧ろそこで駄々を捏ねれば煙たがれる可能性の方が高い筈で。


 考えれば考える程涙が溢れてくる。それ程迄にレンの事が好きになっていた自分に再び驚く。


 どっちにしろ自分が報われる未来など夢見るだけ惨めだと思い考える事を放棄せざるを得なかった。


 明日からは世話役としか会わない、帰ってきた時出たとこ勝負で良いだろう。

 なる様になれだ。


 色々と考えている内に扉をノックする音が聞こえた。

 もうそんな時間か、今夜は女子会とか言う物に誘われていた。


 怖い考えは棚に仕舞い込んで、楽しいからと誘われた女子会を満喫してやろう。







 色々と各自の頭の中を全く表現出来ていない事に気付きました。

 小説って難しいですね。

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