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魔の森の大賢者  作者: 神内 焔
第一章  森の生活編
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採取の旅路  前々夜 2




 「だ、大賢者って……、それにレベル535?」


 流石のベルフェ王も驚愕を通り越して呆れ顔で呟いた。


 「旦那、魔力が9999999ってのは上限一杯って事か?」


 「いや、恐らくこのボードで表示出来る限界がこの値なのだろう。」


 「って事は。」


 「あぁ、レン君の魔力は1000万以上あると言う事だろう。」


 「凄過ぎて実感沸かねぇな。」


 二人共そのまま黙り込んでしまった。


 「あ、あの何かすいません。」


 重苦しい沈黙に思わず謝ってしまった。


 「あ、いや、別にレン君が悪い訳では無いんだから謝る必要は無いんだよ。」


 「スマネェな。あまりの事に言葉を失っちまっただけなんだよ。」


二人共笑いかけてくれるが笑顔がぎこち無い。やはり女神様が言っていた様に強過ぎる者は敬遠されるのだろうか?


 そんな事を考え込む迄に至ると、何だか寂しいやら悲しい気持ちになってきた。


 「済まないレン君、君にそんな顔をさせるつもりじゃ無かった。」


 「わりぃ、数値が高くて頭が追い付かなかっただけなんだ。坊主が気に病む必要は無いんだ。」


 前世の記憶があるとは言っても実際にそれだけの経験年数がある訳では無く、他人の人生経験を追体験しただけに過ぎない筈。

 転生者の文献も多少はあるが、精神は肉体の年齢に引き摺られると聞いた。

 どの様な感覚なのかは解らないが、精神と肉体のバランスが取れてないのではかなり不安定な筈。


 11歳と言う若さな上に男の子とは思えぬ可憐な姿、悪意に晒され易い下地は揃っている。

 もし、この子が全てに絶望し、自暴自棄にでもなる様な事態になれば国どころか、世界が滅んだとしても不思議では無いだろう。


 いやぁ、七魔王全てが束になって掛かっても傷も付かない様な気がするなぁ。

 神龍で互角か……いや、神龍がどの程度強いか分からないけどね。


 「そう言えば、ドラゴンを狩った時に魔法の類は一切使ってなかったけど、魔法は使えないのかな?」


 「いや、坊主は魔法使えるぜ。最も俺が見たのは回復魔法だけどな。」


 「一応魔法は全部使えます。火、風、水、地の四元素魔法、炎、嵐、氷、重の上位魔法、複合魔法、時、空、付与の理術魔法、その他錬金魔法に、パワーライズや鷹の目等がある強化魔法、召喚やテイム等の系統外魔法とか全て。

 得意不得意はありますが、一応発動するので使えます。」


 「本当に規格外だねぇ。なら、何でドラゴンに魔法を使わなかったんだい?使えば出合い頭に仕留める事も出来たんじゃないかな?」


 「確かに仕留める事は出来たでしょうが、周りの被害も尋常じゃないので……ファイアボールだけでもドラゴンは炭化するし、余波で辺り数百メートルは焼け野原になるので。」


 「な、成程。」


 ベルフェ王もあまりの事に頭を抱えてしまった。ゲイズなど口をポカンと空けて呆けている。

 俗に言う"開いた口が塞がらない"と言うのだろう。


 「因みに苦手なのは?」


 「系統外魔法全般。あと、時魔法ですね。空間魔法はストレージ以外はあまり使わないせいか、一キロ程度しか飛べません。」


 「一キロ飛べたら凄いからね……。」


 「ガハハハハ、坊主スゲェんたな。何処へでも飛べたら俺等の街にも遊びに来れるのにな。」


 豪快に笑うゲイズには最早最初に見せた戸惑いの様子は欠片も無くなっていた。


 「そこ迄笑い飛ばせる君が羨ましいねぇ。」


 「ベルフェの旦那は難しく考え過ぎなんだよ。幾ら強くても坊主は俺達大人が守ってやらなきゃならねぇ子供の一人なんだって思えばどうって事ねぇだろ。」


 「成程、それもそうだね。」


 肩を竦めて納得のジェスチャーをするベルフェ王。


 「僕からも一つ質問良いですか?」


 珍しいとでも言うような顔でレンの方を見る二人。


 「答えられる事なら何でも答えるよ。」


 ウンウンと快く頷いてくれるので、思い切って言って見よう。


 「人種でも魔族でも女性達は僕みたいな子供に求婚する程困窮しているんですか?」


 「済まないレン君、彼女達にはキツク言って置くから成人する迄求婚されても本気にしないでくれ。」


 「子供だから求婚したんじゃ無くてだな、サリシャは坊主の料理で餌付けされた様なもんだ、それに此処の生活環境は常軌を逸している。

 まるで別世界に迷い込んだかと思ったくらいだ。」


 「うちの兵士達も似たような物だよ。拠点と言うから安全地帯で良くて田舎の荒屋暮らしか、悪ければサバイバル生活も覚悟してたらしいからね。


 蓋を空けて見れば、何処ぞの大貴族じやないのか?ってくらいの大豪邸に潤沢な高級食材、出て来る料理は皆美味となれば贅沢三昧させてくれる生活が保証される。


 外に出れば兇悪な魔物に遭遇する為に一定範囲から出られない不自由と結婚相手が若過ぎるって事に目を瞑れば理想の旦那様だと思うよ。


 それに外に出なければ身の危険は無い訳だし。」


 成程そりゃ鼻息も荒くなるのも納得だ。

 しかし、外から見たら此処の暮らしは考えられ無い程の上級の設備があると言う事か。


 エルフの里の暮らしを見て薄々は感じていたけど、どうやら典型的なファンタジーラノベ見たいに前世の日本とは比べられない位に発展してない様だな。


 それに、以前から気になってた事も聞いてみるか。


 「僕はそこ迄カワイイ顔してますかね?そりゃ女のコっぽいなとは思った事もありますけど。」


 「ん〜、髪がバサバサで適当に切っているから分からないのかも知れないけど、髪を整えたら貴族令嬢か王女様ってくらいにはなるんじゃないかな?」


 5年前からまさかとは思っていたが、あの女神様"男の娘"好きだったのか。


 任せると言った以上文句は言えないが、流石に此れは事前に同意を求めるべきでは無いだろうか。


 せめて成人若しくは結婚適齢期迄には男らしい顔付きになる事を祈るしか無いな。


 「男の子としては複雑ですね。ズボラしないで思い切って短くした方が少しはマシになるかな?」


 「そんな美しい御髪を切り刻むなんてとんでも御座いません!」


 ずっと後に控えて沈黙を保っていたアリスが血相変えた様に捲し立てた。


 「御理解頂けてない様ですから申し上げますが、主様の髪はミスリルブロンドと言うとても珍しい髪色なのです。

 更に髪の艶も申し分なく、毛先に至るまで柔らかさきめ細やかさも最高峰と言う言葉しか思い付けない程の上質な状態を保っているのです。


 初めてお会いした時から思っておりましたが、主様は身嗜みに無頓着過ぎます。此れからは私めに一切のお世話をお任せくだされば………。」


 何か熱く語りだした。アリスのあまりの圧にタジタジになって静かに成り行きを見守っていた二人に助けを求めて振り向くと、既に音も無く二人は消え去っていた。


 「そ、そんな〜。」


 「良いですか!今後は私に任せて頂ければ何処に出しても恥ずかしくないスタイリッシュな髪型を維持して差し上げます故、決してご自分で切ろう等とは考えない様にお願いします。

 もし、私に黙って切った暁には……。」


 「暁には?」


 物凄い剣幕のアリスに恐る恐る聞き返してみると、アリスが覚悟を決めた様な真剣な面持ちで言い放つ。












 「自害させて頂きます。」


 「分かった!分かったからぁぁぁぁぁぁぁ!」


 こうして僕専属のスタイリストが決定した瞬間だった。




この先どんな髪にされるのか乞うご期待。

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