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魔の森の大賢者  作者: 神内 焔
第一章  森の生活編
15/33

エルフの里から拠点へ 4



 さっきから女性達のキラキラ視線が半端無い。


 確かにドラゴンは中々手強い魔物かも知れないが、そこ迄だろうか?

 それにさっきからベルフェ王も神妙な顔をして此方をずっと見ている。


 「ベルフェ王、僕の顔に何か付いてますか?」


 ベルフェ王は何かを決心した様に漸く口を開いた。


 「レン君、君が強いのは何となく最初から気付いていたが、齢10歳にしてその強さはハッキリ言って異常だ。

 君はまさかとは思うが、勇者なのかい?寧ろそうで無ければ説明が付かないのだが。」


 「この世界に於いて勇者と言うのがどの様な者かは分かりませんが、僕は勇者では有りません。あと、10歳とは時々言ってましたが、実は先日11歳になってます。まぁ些細な違いでしょうが。」


 「後日我が国に来て貰えたならステータスを確認出来る魔道具があるので、一度見せて貰えないだろうか?

 勿論下には置かない待遇は保証させて貰うし、今後共如何なる状況下であっても敵対する様な真似は絶対にしないと約束しよう。」


 物凄い高待遇だが、今迄の気安い態度とは一変して他国のVIPでも相手にしている対応だ。


 「まぁ、見せるだけなら一度お邪魔させて貰いますが、何れにせよやる事が山積みなので其れ等が片付いてからで良いですか?」


 「勿論だとも。寧ろ此方がお願いしている立場なので、期限を設けるつもりも無い。

 何ならその用事も手伝わせて貰うよ?」


 「いいえ、気持ちは有り難いですが、少々危険な場所に行かなければならないので、気持だけ頂いて置きます。」


 そうだ、折角話し掛けて来たんだから序に聞いてみるか。


 「ついでと言っては何ですが、彼女達のあの眼差しは何ですか?」


 「ドラゴンを単独で倒せる者は、過去に勇者以外居ないからね。

 況してや、あんな短時間で倒せる者など過去の歴代勇者達の記録を見ても皆無だろう。」


 え?もしかして物凄い事をやらかしちゃった?

 イヤイヤイヤイヤイヤイヤ古龍ならまだしも、地竜でそれは無いでしょう?


 あれ?あれれ?もしかしてゲイズさん達が満身創痍で家まで辿り着いたのは物凄い幸運だった?不意を衝かれてピンチになったのでは無く、普通に闘ってボロボロになった?


 「付かぬ事をお聞きしますが、一般的な兵士の強さってどれ位なんでしょうか?」


 「やっぱりその辺の事はかなり齟齬があったか。彼女達で大体平均でLv40位だ。新兵でLv30以上、隊長クラスでLv50に届くかどうかだね。

 将軍クラスだと結構飛んでLv80〜90位だ。」


 つまり、4年前の時点でLv100を超えてた自分は完全に規格外。

 転生後のユニークスキルを見た時点である程度は予想してた事だけど、その後から飽きてステータスの確認すらしてなかったから今がどの程度まで上がってるか想像も付かない。


 スキルに関しても何となく出来るからって事で気にもしなかったからなぁ。

 森に独りで暮らしていれば、レベルもスキルも一々確認する意味も無いから仕方無いと言えば仕方無い。


 「因みにベルフェ王のレベルはどの位なんですか?」


 「私は魔王としては弱い方なんで、あまり吹聴はしないで貰いたいんだけど、現時点でLv139だよ。」


 「139……。」


 「その私ですら全く歯が立たないと感じる君のレベルがどれ程なのかは想像すら出来ないんだよ。

 因みに過去の勇者のレベルで最高値はLv178だよ。昔の他国の魔王がLv160に到達して有頂天で人種の国に宣戦布告した事があってね。

 その時に召喚された勇者とその仲間達に逆に返り討ちにあって全魔族の国々は人種の国と戦争する事を禁忌としたんだ。」


 成程分かり易い説明だ。色々と細かいエピソードはあるんだろうけど、概ねの概要は理解出来た。


 軍備増強に成功していざ戦争を仕掛けてみたら、他所から核兵器を貰って来て自国を焦土にされた様なものだ。

 そりゃ反則みたいな殺戮兵器持ち出されたら戦争なんか二度とやりたくなくなるよね。


 「私が君を"勇者じゃないのか?"と聞いたのはその例があるからなんだが、文献では勇者とは例外無く黒髪黒目で15〜25歳の少年少女だったそうだ。

 だから私も最初は勇者と君が結び付かなかったのだけども、どうやら杞憂だったようで安心したよ。」


 「何故そこ迄勇者を警戒するんですか?戦争すら仕掛けて無いなら恐れる事もない筈ですが?」


 「疑問も最もだけど、勇者とは大半が愚直で騙されやすい特色があってね。それでいて対魔物、魔族特化なスキルを多く持っているんだよ。」


 多分間違いなく日本人だ。それも特に何も考えてない安い正義感を振り翳す様な勘違い善人。


 前世の頃にも何度と無く絡まれた。自分に従うのが当たり前、反論や拒否されれば尤もらしい事を並べ立てて無理矢理にでも従わせようとする奴等。


 そもそも前提から的外れな事に気付かない頭の悪い奴等だ。魔族は悪だ等と吹き込まれれば、其れが絶対の価値観になってもおかしくない。


 人間種族至上主義な国があってもおかしくない世界だ。此度エルフの里を襲撃した犯人もそんな国が主導でないとは言えない。


 魔族側が勇者の存在に過敏になっても仕方ないかも知れない。


 「話は分かりました。僕も敵対しない限り友好的な関係を結ぶと約束しましょう。勿論理不尽だと感じる事があれば指摘して頂いて構いませんし、敵対はしないが友好関係を解消したいと言う場合でも理不尽な攻勢に出ないと保証します。」


 「其れを聞いて安心したよ。勇者では無いとしても敵対したい相手では無いからね。

 それに、此方から友好を解消したいと思う事は無いだろう。多少理不尽な要求でも可能な物なら応える様にはするとも。」


 ホッとした表情でベルフェ王が握手を求めてきた。

 え?そんなに理不尽な相手に見えるの?まぁ、友好的な関係でも浅い関係で留めて置くのが肝要か。


 ズブズブの関係になればどんな裏切りに会うか前世で痛い程痛感したし。


 「此方こそ宜しくお願いします。とは言っても基本的にギブアンドテイクになると思いますよ。」


 そう言ってベルフェ王の手を握り返す。


 「勿論此方からの頼み事には報酬は付けさせて貰うさ。小国とはいえ一応王族だからね。」


 バチンとウインクするなんて、イケメンだとこんなにも様になるもんなのか。


 羨ましいとは感じないけど、自分の容姿がまるで少女のようだと告げられた時から鏡は疎か水面でも顔を直視しない様にしているから今がどんな顔に成長しているのかも分からないからな。


 誰が告げたかって聞かないでね。犯人はあの残念女神なんだから……。






 等と話している間に拠点まで着いてしまった。


 「な、な、な、ななななな。」


 「な?」


 どうした!引き付けでも起こしたかの様にアルリシアが"な"を連発している。


 「何よこれえぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」


 よく見ると、他のメンバーもポカンと口を開けて呆けているてはないか。


 「何って僕の家ですが。」


 「私が言いたいのは何でこんな物凄い御屋敷が魔の森にあるか?って事よ!しかも、この御屋敷が貴方の家?頭オカシイんじゃないの?どんだけお貴族様なのよ!」


 興奮し過ぎているせいか、言っている事が色々とオカシイ。


 「まぁまぁ、あまり興奮しないで下さい。僕の趣味が物作りだって里に行商に行っている時から結構有名だった筈ですよ。」


 「限度って物があるわよぉぉぉぉぉぉぉ!!」


 多分掴み掛かりたいのだろうけど、手足が片方ずつ無いので多脚車椅子のシートでジタバタするだけに留まっている。


 うら若き乙女がそんなにジタバタしたら見えちゃイケナイ所迄見えちゃいますよ。


 「いやぁ、私も最初は里で見たログハウスをそのまま拠点に移設するだけかと思ってたけど、此れは流石に度肝を抜かれたねぇ。」


 「ほらほら、ベルフェ王ですらこうなのよ!私がちょっとくらいビックリしたって仕方ないじゃない。」





 「お帰りなさいませレン様。何やら賑やかですね、そちらの方々がお客様ですか?」


 流石にこれだけ騒げば帰ったのが分かるよな。アルファが出迎えてくれた。


 「あぁただいま、騒がしくて済まないな。済まない序に庭でバーベキューの準備を頼めるかな。途中でドラゴンを狩ってね、皆に振る舞う約束なんだよ。」


 「まぁ、では今日は御馳走ですね。付け合せの野菜とスープの用意も致しますね。中の三人様はどうしましょうか?」


 「一緒で良いよ。お互いに紹介もしなきゃいけないし。」


 「畏まりました。」


 アルファは楚々草と屋敷内に戻って行く。


 「ちょっと!メイドまで居るの?何処まで御主人様なのよ!子供の内からそんな爛れた生活してたらロクデナシにしかならないわよ!」


 さっきから誤解も甚だしいレベルで叫んでいるが、若干思考が桃色過ぎでは無いだろうか?


 ベルフェ王等アルリシアの発言に笑いを堪えるので精一杯らしく、そっぽを向いたまま肩を震わせている。


 助けを求めて女性兵士達を探すと何やら円陣を組んでヒソヒソ話している。


 一斉に振り向いた女性兵士達の目がキラキラから再びギラギラに戻っている。


 「レン君……いや、レン様。年上のお嫁さんって興味あるっすか?大丈夫っす。魔族なら人種より長寿っすからいつの間にか見た目は年下のピチピチっすよ。」


 「あっしならおっぱい大きいからモミ放題吸い放題ですよ。どうですか?」


 「いや、貧乳の良さを先ずは覚えるべき。」


 「可愛がってくれるならエッチな奴隷でも良い……。」


 一体何がどうなっている……。アルリシアの目が汚物を見る様な侮蔑を投げ掛ける様な物に変わっている。


 「お前等武人としての誇りは無いのか!」


 流石にベルフェ王からも一括が入った。

 助かった、女性陣の勢いが凄すぎて正直タジタジだった。

 中身が中年とはいえ今は11歳の子供だ、それで無くても長い独り暮らしでコミュニケーションもやっとなのに。

 あと、アルリシアの視線が痛過ぎる。


 「と、取り敢えずはドラゴンバーベキューで交流を深めて今後の方針は明日から話し合いましょう。」


 





婚活って恐ろしい?

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