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魔の森の大賢者  作者: 神内 焔
第一章  森の生活編
1/33

プロローグ

趣味で書き始めた作品です。

ちょっとの暇潰し程度でも読んで頂ければ幸いです。


不定期更新

誤字脱字が有りましたらご報告頂ければ助かります。

本業が忙しい為に感想への返信は中々出来ないと思いますので御了承下さい。


趣味での更新ですので、誹謗中傷の類いは御遠慮下さい。




 太陽の陽が暖かい今日、やっと完成した家を見上げながら僕は呟いた。


 「やり過ぎだったかな………。」


 普通森の奥に建てた家などロッジ風の小屋か、岩肌を削って作った家のような物が一般的だろう。


しかしながら、今見上げている家は何処の貴族の豪邸かと思う程立派な家であった。


 「物作りが趣味とはいえ、流石にこんな広い家は持て余すのが目に見えているな………。」


 玄関ホールから始まり、居間、食堂、寝室、書斎、果ては工房や客室に至るまで思いつくまま設計したら有に500坪はあろうかと云う程の大豪邸になってしまった。


 付与魔法のお陰で掃除等の手間は省けるものの、こんな森の奥に来客などあるわけがない。


敷地の片隅にあるコテージ風の小屋に視線を向ける。


 「こっちも用済みだけど、壊すのも勿体無いな。一応何かの役に立つかも知れないからストレージに仕舞って置くか……。」


 森に住み着いてから早5年の歳月が流れている。


 つまり、やることが無いため住処の確保や家具作りの延長で色々作るのが趣味になっていたのだ。


 更に驚いた事に、一年の長さは地球の365日とは違い少し長く396日らしい。


年の偶数月が31日、奇数月が30日で構成されているようだ。


 僅かに交流のある同じ森の中にある集落から聞いたはなしだ。


 何故地球の暦が出てくるのか不思議に思うだろう。所謂ラノベやアニメでお馴染みの異世界転生と云うやつだ。何でも前世の更に前の僕は地球とは別の世界で方陣学と言う物を飛躍的に発展させた偉人らしくて、功績に反し不幸な人生のまま生涯を終えたそうだ。


 で、次の人生である地球の生涯では、才能だけで生活の糧を得て幸せな一生を満喫するはずだった。そう、だったである。実際には才能があるにも関わらず、才能が開花するチャンスは悉く潰され、騙され利用するだけ利用して捨てられる悲惨な人生を送っていた。




◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆





 どれだけ頑張っても運が悪くそれ迄の成果が水疱に帰す。上手く行った事でも成果を横取りされる。結婚しても浮気され放題で産まれた娘すらも他人の子供だった。

本当に進みたかった道は何もかも邪魔され潰され身動きすら取れない様にされた。一体こうも不幸に愛されているかのように悪い方向ばかりに傾くのか。


 そもそも何時から俺はここに立っているのだろう…………。思い出せない。

仕事の帰りだったろうか?

買い物に出たのだろうか?

散歩の途中なのだろうか?

思い出せない………。


 そんな事を考えていたら、正面から美しい女性が歩いてきた。歳の頃は二十歳くらいだろうか?煌めくような金髪で、伸ばした髪は腰の下辺りまで長い。碧眼で肌は白くけして不健康そうな色ではない。まるで女神にでも出逢ったような気分になる。外国人など珍しくもないが、その女性は不思議と目を引く容姿をしていた。


 気のせいだろうか?此方を目指して進んでいる様に見える。イヤイヤ気のせいだ、多分歩みをズラしてすれ違うに決まっている。たが、予想は外れ俺の前でその歩みを止めた。


 「間に合いませんでしたね。助けられず申し訳有りません。」


 え?誰かと間違えてないか?こんな草臥れたオッサンだぞ?それに外国人の知り合いも居ないし。

 「神代 連也さんですね?」

 「どうして名前を?何かの取り引きでお会いしましたか?」

 少し混乱気味に思考をめぐらせるが全く分からない。

 「あぁ、なるほどまだ気付いてなかったのですね。」

 嫌な予感がする……。

 「貴方は先程お亡くなりになられました。」


 彼女が見ている方向、そう俺の背後に視線を向けると落ちて来たであろうビルの看板に押し潰され死んでいる俺が居た。呆然とその光景を見ていると彼女が言った。

 「立ち話も何ですし、場所を移しましょう。」

すると、一瞬にして何も無い真っ白な空間に変わった。

彼女との間には白いテーブルと白い揃いの椅子が設置されている。彼女は椅子に腰掛けると、何時の間にか現れたティーセットで紅茶を淹れ始めた。


 「まず、自己紹介させて頂きますね。私はラケシスと申します、地球を含め幾つかの世界を管理する女神の一人です。」


オイオイ女神とか頭は大丈夫か?まぁ女神みたいな美人さんではあるが、いや、一瞬で移動した事や既に自分が死んでいる事からもあながち嘘ではないのか?よく分からんけど、取り敢えず保留だな。

 「さっき"助けられず"って言っていたけど、どう云う事かな?もしかして、助けようとして一緒に死んでしまったとか?それなら申し訳ない事をした。」


 「いいえ、貴方が殺される事を阻止出来なかったと言う意味です。神代連也さん、貴方は前世の偉業を成した特典として、この世界で大した苦労もせず幸せ一杯の緩やかな人生を謳歌するはずでした。しかし、記録を見た限り幸せとは縁遠い人生を歩んでいた様です。貴方の人生の記録に改ざんされた形跡が見られたので調べた所事態が発覚しました。気付いた時には手遅れ、隠蔽の為に事故に見せ掛けて死亡させられた貴方の魂をギリギリの所で霧散するのを防ぐのに成功した所です。」


「何かよく解らないけど、死んだ事には変わりはないんだな?」

 涙ぐんだ俺の手に彼女の手が包み込んだ。

 「なので前世の特典の恩恵を全く享受出来なかった連也さんに前世で培った記憶や技術を返さなければならないのですが、既にアカシックレコードに組み込まれ溶け込み取り出し不可能な状態でして。かと言って生き返らせる事も出来ずどうした物かと、取り敢えず本人の希望と此方の出来る事との擦り合わせに来ました。」

 あぁ、要は幸運が不運に代わってて不注意で死んじゃったけど、此方のせいだから可能な限り希望は聞くよ。って事かなるほど。


 「状況は大体飲み込めたと思う………けど、黙っていれば分からないのに何故正直に話したのですか?こう言っては何ですが、魂が霧散?要は死んだ事も解らず、ただ消えていくだけなら放置してても何ら不都合も態々まかり越して事情を説明する事も無かったはずなのでは?」


 まず第一の疑問をぶつけてみた。人間社会でも横領や万引などバレなければ犯罪ではない等と腐った輩が横行している。彼女が善人過ぎて馬鹿が付くほどの正直者である可能性もあるかも知れないが、神にとっては人間などペットみたいな感覚だろうに、ましてや65億分の1にしかならない1個人等に。


 「疑問は最もですが、例えば自分の飼ってるペットの餌を隣の家の人が掠め取って自分のペットに与えてたとしたらどう思いますか?更に飼い主がそれに気付かずペットが飢えていたら……。隣の家に怒鳴り込んで賠償責任を取らせるとは思いませんか?ましてや、自分の家に多大な貢献をしてくれたペットなら大事にしますよね?」


 ナルホド、例えは失礼だが自分は何かしらの貢献をしていて神から大事にされていたと言う事か。


 「自分は何かしらの貢献をしていた訳ですか?全く覚えは有りませんが。」

 「覚えが無いのも当然です、貢献してくれたのは貴方の前世なのですから。前世の貴方は方陣学と言う魔法陣を飛躍的に発展させた偉人だったのです。本来魔法陣は単体で使う事しか出来ず、目的に応じて専用の魔法陣を態々創らなければ機能しませんでした。そこに一石を投じたのが貴方の前世だったのてすよ。連結型魔法陣、築層型魔法陣、曼荼羅型魔法陣、立体型魔法陣など、その発明は多岐に渡り凡そ500年分の発展の基礎を作り上げたのです。」

 つまりPCで言う所の本来マイコンしか無かった時代に、PCの発明マザーボードだけでなくメモリの増設、グラフィックボードや外部機器など様々な発明をしたって事か。

 「はい、その通りです♪」

 「心を読むな!」

 ニッコリと笑顔で正解!と札を出している自称女神にツッコミをいれる。

 「いえ、全部声に出てましたよ。」

 さいですか………。

 「大体は解りました。それでも普通は賠償させて終わりですよね?ペットに新たにそれ迄の分を返したりはせず、金銭等で飼い主に還元されると思うのですが?」


 「はい、そうしない理由は前世の偉業に対して神々から貴方に方陣学のノウハウを新たな世界に役立てる見返りとして来世での何ら苦労もなく幸せな人生を約束していたからなのです。神々に取って契約は絶対。約束を違えたら急速に力が衰えます。故に今回の件に対して最大限貴方に優遇措置を取る必要があったのです。」


ようやく事態が飲み込めた。彼女は本当の女神で、俺の人生の損失分を補填する為にやってきたと言う訳だ。なら可能な限り優遇して貰おう。

 「ようやく理解出来ました。ては、この先何をして貰えるのか説明をお願いします。」

「は、はい、まず貴方には別の世界へ転生か転移して頂きます。天国と言うのは基本存在しません。人間の宗教等に出てくる天国や地獄と言うのは、次の人生を始める為の一時待機場所兼浄化設備と思って下さって間違い有りません。なので、天国で楽しく永遠にとは行きませんので御了承下さい。

 転生、又は転移の際にある程度魂の許容範囲までユニークスキルを与える事が出来ます。基本特典として経験値2倍のユニークスキルと言語理解を付与させて頂きます。ここ迄で何かご質問はありますか?」


 「転生と転移だと、どっちがお得なんですかね?」

 大事な所だ、転生を選んでまた親に虐待されたり、何かしらの不自由な人生を強要されては堪らない。


「転生にしろ、転移にしろ一長一短があります。転生は0歳から始めなければならないのと、生まれた家庭如何で不自由な生活をする場合もあれば何不自由無く生活出来る場合もあります。最悪なのは生後数週間で死亡する場合も滅多にありませんが、可能性としてはあり得ます。転移に関しては、出処不明、後ろ盾も無し、全てを0から構築しなければ生活もままならないので大変苦労します。なので、通信手段の未発達な世界に転移させる事が多いですね。しかし、一度構築に成功すれば自由度は転生とは比較にならないでしょう。転移の場合でも容姿や年齢等は優遇しますよ。例外があるとするなら勇者召喚ですね。」


 要は異世界転生物のラノベやアニメでお馴染みの展開らしい。経験値2倍は早めに強くなってある程度の脅威から身を守るにはもってこいだ。言語理解も助かる、1から文字を覚える手間は流石にしんどい。

 「それならば、転移でお願いします。流石に転生でハズレ家庭に生まれたら目も当てられないので。年齢は動き回るのに不自由しない範囲でなるべく若く。容姿は今の姿じゃないならお任せします。余程不細工でなければ文句は言いません。」


 「了解しました。尚、レベルアップと共に通常スキルやユニークスキルに目覚める場合もありますので頑張って見てください。あまり急速に強くなるとスキルが使いこなせなかったり、習熟が追いつかなかったりするので2倍以上の経験値倍加のスキルは習得条件から除外しておきますね。下手すると魔王認定されたり、畏怖の対象にされかねませんから。最悪各国から戦争の道具にされて、果ては暗殺で締めくくる未来もあり得ますから。勇者の末路も結構このパターンが多いんですよ。」


 そんな物騒な世界に送り込むなよ!と言いかけて立ち上がると。

 「地球のような平和な世界になるほどその傾向が強くなるんですよ。国の上層部以外の個人が国家戦力以上の力を持つと危険視されて排除されるものです。」


 言葉を失い席に座り直す。確かに平和な世界ほど個人が圧倒的に力を持つと、何も悪い事をしてなくてもその力を取り上げるか従えようとするだろう。思い通りにならなければ排除対象になるのは自明の理だ。かと言って力を持たなければ、心無い権力者や荒くれ者たちに潰されるのが落ちだろう。


 「理解しました。ところで、経験値倍加があるとするならその世界は僕が想像してる世界と見て間違い無いんですよね?例えばモンスターが出るとかダンジョンがあるとか。」


 女神ラケシスの表情が強ばるのをみのがさなかった。

 「それは…確かに地球のような平和な世界から見れば危険な世界に見えるかも知れませんが、地球より遥かに邑楽かで純僕な世界だとおもいますよ。」

 「それに、前世での偉業を差し出す代わりに貰える筈だった人生に比べると格段に住み難い筈ですよね?」

 「ううっダメですか?今更前世の功績と記憶を返せとか言われても世界を一個丸々滅ぼす事になっちゃうんですけど………。」


 なるほど、ならば妥協案を考えなくては。何か無いか……。

 「はぁ、分かりました。けと、妥協案として前世の知識を閲覧出来る権利とその知識を有効利用出来る知力を所望します。出来ればその知識を喪失する事なく継承出来る措置をお願いします。時代によって必要な知識は変わるでしょうが、後になってから知識が喪失されてて滅亡の危機なんて子孫が居たら嫌ですからね。まぁ、100代後の子孫とかなら他人も同然ですが、子、孫、曾孫辺りにそんな事があったら流石にやり切れないので。」


 ラケシスさん?安堵してるのか困ってるのか微妙な表情ですが、何か不都合がありますかね?世界を丸々滅ぼす事に比べたら破格の妥協案だとおもいますが?

 「はぁ、判りました。世界の命運と引き換えなら致し方ないと言えますね。では、その知識は本の形で顕現させ、継承権の無い者は閲覧不可。継承は転生した神代 連也さんの子孫か弟子に設定。本のタイトルは方陣錬金術大全これで宜しいでしようか?」


 意外と制約が多いな、これだと……。

「この条件だと知識の広がりに支障が出過ぎなのでは?知識とは万人に広めてこそ価値があるはず。」


ラケシスはニッコリと笑い訂正してきた。

 「あくまでも継承には人選が必要というだけです。普通に学問として教える分には問題が有りません。正直これから行く世界にはオーバーテクノロジーも甚だしい程の技術ですので、制約は必要不可欠になります。」

 なる程な道理だ。


 「他のユニークスキルはどうしましょうか?」

何!今の本もユニークスキル扱いなのか?しかも、継承可能なユニークスキル。しかも、オーバーテクノロジーとか微妙な顔をする訳だ。内心結構御立腹?ビビっても始まらない、世界方陣錬金術大全を十全に活用出来るスキルがいいな。ならば………。


 「了承しました。ユニークスキル二つ目はメニュー、ストレージに入れたままで世界方陣錬金術大全の使用可。三つ目は鑑定スキル完全版、知りたい情報をその都度表示で宜しいですか?」


「それで問題ありません。」


メニューはゲーム等に付き物の標準装備だ、オマケで近隣のマップ機能まで付いてくる優れもの。

良い買い物をした時みたいに自然と笑みが溢れそうになる。

鑑定は薬など作る時に役に立つだろう。

 

 「ところで、容姿に関してですが、本当にお任せでいいのですか?やっぱり無しとか言いませんか?」

 今迄に無い程の食い付きだな。ちょっと怖いかも………。

 「あ〜いえ、まぁお任せで大丈夫です。」

怖いけど一度出た言葉は引っ込まないからな……。


 「お任せ下さい!私の趣味を目一杯反映させた最高のボディをご用意させて頂きます!大丈夫!絶対に満足出来る出来栄えにしますので、大船に乗ったつもりでいてください。」

 うわぁ……テンション高え………。やっぱり早まったのかな?

 「その大船の名前は聞いてもいいですか?」

 え?って顔をするなよ、不安になるだろうが。

「えっと……。タイタニック号?」

 うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!不安しかねぇ!

 「じ、じゃあ………メアリーセレスト号?」

 何で沈んだり謎の怪事件が起こった船ばかりチョイスするんだよ!


 「では、新たな人生をお楽しみ下さい。最悪国の一個や二個滅ぼしても構いませんので♪」

 「まて!誤魔化すな!あと、サラッと不穏当な台詞を………。」


最後まで言う事も出来ずに意識が無くなった。



女神様最初はまともそうだったのに………。


2020年11月06日大幅に本文を改定。

女神との遣り取りの詳細を詳しくしました。

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