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エッセイ 2

日本は四季の無い国になる?

作者: NOMAR

(* ̄∇ ̄)ノ 奇才ノマが極論を述べる。


 2020年7月


 停滞する梅雨前線の影響で地域によっては雨量が1000ミリを超え、例年の7月の1ヶ月分の雨量の3倍に達するなど、記録的な大雨となった。


 大雨が降った地域では地盤が緩み、川の堤防が傷んだ場所があるところでは、災害の危険性が非常に高い状態が続く。

 気象庁は土砂災害や川の氾濫、低い土地の浸水に厳重に警戒し、また、落雷や竜巻などの激しい突風にも十分注意するように呼びかけた。


■梅雨前線の長期停滞


 各地に記録的な大雨をもたらした梅雨前線。

 通常であれば北上し梅雨明けとなるはずが、位置がほとんど変わらずに豪雨をもたらした。


 これは、これまでの梅雨前線には見られない状態だという。


■気候変動


 気候変動とは、長い時間軸で見たときの気候の変化、変動のことを言う。かつては地球温暖化と呼ばれていた問題を含む。


『地球温暖化』とは、人の活動に伴って発生する温室効果ガスが、大気中の温室効果ガスの濃度を増加させることにより、地表及び大気の温度が上昇する現象。


『気候変動』とは、地球の大気の組成を変化させる人間活動に直接又は間接に起因する気候の変化。比較可能な期間において観測される気候の自然な変動に対して追加的に生ずるものをいう。


 ただ、気候変化(climate change)と、異常気象の原因となる気候変動(climate variability)の混同があり、気候変動という言葉は誤訳が広まっている、という話もある。


■気候変動の要因


 気候変動の主な原因として、自然的要因と人為的要因のふたつがある。


 自然的要因は、海洋の変動、太陽活動の変動、火山活動による大気中の微粒子の変化。


 人為的要因は人間が行う活動、化石燃料の燃焼、森林伐採、畜産などによる二酸化炭素やメタンといった温室効果ガスの増加。

 日本も年平均気温は上昇している。

 1990年代以降に各地で最高温度の記録が更新されており、年平均気温は21世紀末に全国的に上昇することが予測されている。


 夏季には猛暑日の日数が10年あたり0.2日の割合で増加。

 また大雨による被害も増えている。

 ゲリラ豪雨といった短時間に降る大雨が水害を起こす。


 一方で降水日数そのものは減少。地域によって水不足が起こる可能性も高まっている。


 農作物への影響、大規模な自然災害の増加、野生生物の絶滅危機などなど、気候変動による自然環境や生態系への影響が危惧されている。


■大気と海水の変化


 二酸化炭素量の増加


 2015年から2019年の5年間に排出された二酸化炭素量は、2010年から2014年と比べて20%上昇。


 平均気温の上昇


 2015年から2019年の5年間の世界の平均気温が観測史上最も高くなり、2010年から2014年と比べて0.2度上昇。

 これは産業革命以前と比べて1.1度高くなっている。


 海面の上昇


 2014年から2019年の5年間で海面が年間5mm上昇。

 これは2007年から2016年の10年間の年間上昇の4mmから見ると、海面の上昇速度は速まっている。


 1993年以降、衛星海面高度計により観測値はより正確となる。

 1993年には海面の上昇は1年で3.1mm。1993年以降の25年間、世界の海面は平均で毎年0.1mmずつ加速しなが上昇している。


 海水温の上昇


 気候変動により生じた熱エネルギーが海に吸収、蓄積されている。この海水が大気の熱エネルギーを吸収することで、大気の温度上昇が抑えられる。

 代わりに海水温の上昇は台風の大型化の要因となる。


 海洋酸性化


 海は二酸化炭素を吸収、蓄積しており、大気中の二酸化炭素割合の増加が抑えられる一方で、海水の酸化が進む。

 産業革命以前と比較すると、海洋の酸性度は26%増加しているとされる。


 大気の変化


 産業革命が始まって以降、大量の人為的な温室効果ガスが大気に放出されている。

 1750年の産業革命以来、二酸化炭素濃度は31%、メタンは151%、窒素酸化物17%、対流圏のオゾンが36%増加しているという。


 現代に暮らす私たちは、過去の人類が吸ったことの無い空気の中で生活しているらしい。


■二酸化炭素の人体への影響


 二酸化炭素の濃度が1000ppmを超えると人間の思考に何らかの影響を及ぼす、という実験結果がある。

 二酸化炭素の濃度が3000ppmを超えると、疲労感の増加や注意力の低下、さらに眠気や頭痛を訴える人が増加する。

 思考力、判断力、集中力などが低下し、これが密閉された車内で起きる居眠り運転の要因のひとつと言われる。


 このことからオフィスでの仕事の効率化の為に、オフィスに二酸化炭素濃度計を取り付けるところもある。


 二酸化炭素濃度が高まる程に人の思考力、判断力が低下するというなら、人は少しずつ少しずつ愚かになっていくのだろうか。


■気候行動サミット


 近年、温室効果ガスの増加による地球温暖化に対する懸念から、人為的要因が気候変動に与える影響に関心が高まっている。


 国連は気候変動を深刻に捉え、気候変動による災害が地球規模で起きていると警鐘を鳴らす。


 パリ協定では、産業革命以前と比較して平均気温の上昇を2度より低く抑えること、そして1.5度以内に抑える努力を続けることを目標に掲げた。

 2020年以降の世界の温室効果ガス削減等のために、2016年の締結時点で175の国と地域が署名。現在は183の国と地域が批准している。


 2019年3月には世界各地で気候変動の緊急性を訴えようと、デモが繰り広げられた。

 ニューヨークのデモでは、若者が作ったプラカードには、


『将来のために勉強しろと言うが、私の将来はもう破壊されている』


『大人は老衰で死ぬけど、僕は気候変動で死ぬ』


 といった言葉が並ぶ。


 2019年9月、国連気候行動サミットが行われる

 アントニオ・グテーレス国連事務総長はこのサミットで、各国のリーダーに対して2020年までに各国の具体的な計画を提出するよう呼びかけた。

 サミットでは、65カ国が2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにすることを約束し、70カ国が2020年までに自国の行動計画を強化予定、もしくはすでに強化を始めていることを発表した。


 自然災害の増加(森林火災、洪水、干ばつ、竜巻、落雷など)

 農作物の収穫への影響、食物不足

 資源の争い、紛争、環境難民、移民の発生

 動物、植物の絶滅危機


 これらの気候変動により生じる恐れのある世界規模の問題を解決しようというもの。


■日本の総理大臣はお断り


 気候サミット開催に先立ち、グテーレス事務総長は、温室効果ガスを削減するための具体的な対応策を持ってきた国の代表者のみに演説を許可するとしていた。


 グテーレス事務総長は2050年までに二酸化炭素排出量を正味ゼロにすることを目指すことに加え、各国に化石燃料への補助金を削減し、新規の石炭火力発電所の建設中止を求めている。


 この石炭火力発電をめぐり、日本の安倍晋三首相とオーストラリアのスコット・モリソン首相は、参加が認められなかった。

 日本は小泉進次郎環境相が出席したが演説の機会は無かった。


■気候変動から起きる災害


 気候変動問題の怖いところは、これまで観測してきた気候のデータが役に立たなくなることにもある。

 百年に一度の気候災害が毎年起こることも有り得る。


 日本付近では、20世紀における100年に1度の洪水が21世紀には10年に1度程度の頻度になるという研究結果もある。


 洪水、干ばつ、豪雨、高潮などの災害の頻度が上がる。また台風の大型化から電線、電柱なども作り直す必要がある。

 水害は台風や豪雨などの二次災害として発生することもあるため注意が必要になる。


■四季の消失


 日本の文化は四季と密接な関係があるという。

 春は収穫を祈願する祭りが、夏は暑さに負けない様に無病息災や厄除けを祈る。秋は収穫祭。

 四季の移り変わりによる旬を楽しみ、四季によって変わる風景から俳句には季語が入る。季節の変化を感じる文化が他の国よりも色濃くあるという。


 しかし日本の気候が亜熱帯に変われば春と秋は無くなっていくのだろう。温度の変化から桜は咲かなくなり、ミカンが取れなくなるかもしれない。マラリヤのような病気が日本で広まる可能性もある。


 日本の四季は過去に描かれた物語の中にしかない、という時代になるのかもしれない。


 夏は暑くなり、年々気温は上昇していく。昔の日本の夏はこれほど暑かっただろうか?


 2016年には沖縄で国内最大のサンゴ礁の97%が白化、70%以上が死滅した。原因は海水温度の上昇。海の中でも熱中症死が増えている。


 このまま気候変動が悪化すると、2100年には日本は1年の100日以上が30℃を超える真夏日になるという予測もある。


 1年の3分の1の日々を熱中症対策しなければならない未来が近づいている。


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