守りたい者
俺はミラン・サーデルト、第一王子として生まれた。俺は弟より優れていなく、弟は俺より剣も、学力も
俺より優れていた。俺は人より出来ていたけれど、弟より劣っていた。だから、それを見て両親も弟ばかり
を愛しそれを見ていた俺などいないように扱われ、城の者達も俺のことなど助けてくれなかった。唯一、
ジャックがいたから死なずに済んだが既に生きる意味などもう失っていた。そんなある日、とある伯爵に
招待され行ったところ伯爵の息子と思わしき子供が座っていた。ラピスラズリの様な美しい髪を持ってい
た。思わず見惚れてしまった。こいつも俺を王子としか見ていないのかと確かめたくなり、わざと名字
で呼んだ。すると…「俺はアンディって名前があるんですけど!」いきなり王族相手にタメ口で言い放って
来て思わず大声で笑ってしまった。面白いと思った。そして、身分も関係なく俺と話してくれた。王族の
俺をアンディは王子としてみていなかった。ただのミランとして見ていてくれた。その時、俺はアンディに
救われた。だけど…不安がよぎった。アンディは俺が嫌いなんじゃないかと、いなくなってほしいのでは
ないかと。だから、アンディに大好きと言われて思わず嫌いなんだと勝手に決めつけて喚いて部屋を飛び出
した。
木の下に座って俺は泣いていた。言い過ぎて、自分の気持ちを押し付けて…。傷つけてしまったのだから
もう会えない。失望されたのかもしれない。でも、その方が両方にとってもいい。
俺なんかといても…楽しくはないだろう。次からはもう会わないようにしよう。そう決めたその時…
「ミラン」呼ばれて顔を上げた。すると、そこにはアンディがいた。会わないと決めた奴が…。
「どうして…」ここにいるんだ。アンディは「探してた。」俺は俯いた。「俺のこと嫌いなくせに…皆、皆
いなくなってほしいと思ってるくせに!」いつも城の者達や、両親が俺のことを陰でいろいろ言っていることは知っていた。だから、自分でも消えたいと願っていた。なのに…どうして嫌いにならないんだ。
「嫌いな奴のことを探すと思うか?「いないだろ?それに俺はお前にいなくなってほしくない。」「え…?」
俺は恐る恐る顔を上げた。アンディは笑っていた。「だってお前は…俺の大切な友達だろ?お前を嫌いに
なるわけないし、それ以上に大好きだから」「っ!」その言葉は両親にも言われなかった。
だから、心に響いて涙が勝手に出てきた。「…ほんと、に?」言葉が途切れ途切れになりながらも聞き返
した。「本当、嘘つくと思うか?」必死に首を振った。アンディが嘘つくなんて思わなかったから。
「なら、もういなくなりたいなんて思うなよ?」俺がいなくなりたいと思っていることはアンディには
バレていた。そのことにショックを受けていたが、我に返って頷いた。
アンディ、ありがとうな。お前は俺の光だ。