ミランが抱えているもの
俺の部屋に何故こいつがいる…?それは数時間前だった。
あの日の言い合いを父が見ていて仲がいいと思ったのか俺の家へ招いたのだ。関わりたくないのに!
そして、いつ来るか知らされずに今日来たのだった。溜息をついた。「俺といるのが嫌なのか」
睨んで来る。これは面倒くさいな。「嫌じゃないけど…」すると、突然ミランの肩が震えた。
「本当に…?俺が嫌いじゃない?」思い出した。ミランは親に愛されていなかった。変わりに弟だけが
溺愛されてミランは必死に嫌われないようにしていた。こんな風に弱さを見せることなんて滅多にない。
ヒロインにしか見せなかった。「ああ」手を伸ばそうとしたら、弾き返されてしまった。
「うるさい!そんなこと思ってもない癖に!」そう叫んで部屋を出ていってしまった。
どうする!このままじゃ、俺破滅する。それに…あいつは放っておけない。絶対に!
俺は急いでミランを追いかけた。
屋敷の中にもいなくて必死に探していると…庭にある大樹の前にミランが座っていた。泣きながら…。
俺はそこに近づいた。「ミラン」呼ぶと、顔を上げて俺を見た。「どうして…」「探してた」
ミランは俯いた。「俺のこと嫌いなくせに…皆、皆いなくなってほしいと思ってるくせに!」
俺が思ってる以上にミランは辛かった。そして、自分自身がいなくなりたいと思っていることも。
俺がこいつを変えられるのなら変えたい。俺はミランに言った。「嫌いな奴のことを探すと思うか?
それに俺はお前にいなくなってほしくない」「え…?」ミランは恐る恐る顔を上げた。その顔は涙に濡れて
いた。「だってお前は…俺の大切な友達だろ?お前を嫌いになるわけないし、それ以上に大好きだから」
ミランは目を見開いた。そして、更に涙を流した。「お、おい!泣くなって!」俺は慌てふためいた。
「…ほんと、に?」泣きながら言葉が途切れ途切れになりながらも聞いてくる。「本当。嘘つくと思うか?」
ミランは首を必死に振る。「なら、もういなくなりたいって思うなよ?」ミランは一瞬茫然としていた
けど、頷いてくれた。これでミランは俺を破滅へと導かないはず…。
そう確信した。