ペアルック
その日の夜、ルミ子はベッドの上で1人、考え込んでいた。
ナナを殺したのは、私なのかも知れない、と。
だってあの死に方は、まさに丑の刻参りではないか。
楽しかった思い出が、今更のようにルミ子の頭の中を駆け巡った。泣いて笑って喧嘩して、そんな当たり前の日々を走馬灯のように思い出す。
なんで呪い殺してしまったんだろう。あんなちっぽけなことで。
呪いなんてかからないと思っていたのに。
それがいけなかった……。
ルミ子は一人、この罪は一生負わなければならないのだと悟り、そう決めた。
(……重たい)
いつの間に寝てしまったのだろう。しかも、金縛りにあってしまったではないか。
体が、動かない。
(……誰か、いるの?)
なんとか目だけは開いた。
そこには、誰かがいた。
誰かがルミ子の上にいる。
目が慣れるにつれ、見えてくる。
(……ぬいぐるみ)
ルミ子がナナとペアルックで持っていた、あのぬいぐるみが巨大化して、そこにいた。
(おっきいと、重たいんだ……しかも、動けるんだね。棚の上からここまで来るなんて)
そこまで考えて、ふと気づく。
(待って。私のぬいぐるみは……ここにはない)
そう。
丑の刻参りで使ったから、ここにぬいぐるみがある訳がないのだ。
目が赤く光り、手を挙げた。
ぬいぐるみの手には——
——トンカチがあった。
翌朝、ルミ子は死んでいた。
頭はトンカチで叩き潰されて、血と骨と脳とがぐちゃぐちゃになっていた……。
「ペアルック」を読んでくださった皆様、ありがとうございました!いかがでしたでしょうか。
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また、この小説は夏のホラー企画2018に参加しております。