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恨みのぬいぐるみ
ルミ子は自室で、ポカポカとぬいぐるみを叩いていた。
「馬鹿……馬鹿っ……!」
それはルミ子とナナがペアルックで持っていた、クマの女の子のぬいぐるみ。2人とも同じ、女の子のクマだった。
『ずっと仲良しでいようね』
『大丈夫。このぬいぐるみがきっと、うちらを繋いでくれるよ』
『この子たちは私たちの友情の証だね』
『この子のこと、ナナだと思って大事にするよ。だからその子のこと、うちだと思って大事にしてね』
しかし、今のルミ子にとってそれは、ナナの嘘の塊に見えた。
信頼の証ではなく、裏切りの証。
お揃いという名の友情のまやかし。
好きな人を親友にとられた痛みはそれほど深く、憎しみを生んだ。
ルミ子はぬいぐるみを叩くだけでは飽き足らず、殴って、投げて、踏み潰した。
何度も、何度も……。