狂い始めた歯車
私の親友。大切な親友。
——ずっと、信じてたのに。
ルミ子は明るく元気な女の子。ナナはおっとり静かな女の子。2人とも高校2年生で気分屋さん。小学校の頃からの幼馴染で、親友だった。
しかし、そんなルミ子とナナに、悲劇が訪れた。
ルミ子には、好きな子がいた。
好きな子の名前はショウタ。高校で出会った、優しくて笑顔が素敵な男の子。
ルミ子は誰とでも仲良くできる子だったから、ショウタともよく話していた。
しかし、昨日の昼間……
……ルミ子はショウタに告白しようとしたのだ。
「あのねっ……あたし、ショウタのことが、ずっと好きだったの……付き合って、ください」
「……ごめん。もう、付き合ってる子がいるんだ」
困ったような顔で、ショウタは言った。
「……知ってるんだと思ってたよ。ハセガワって、ナナと仲いいだろ?」
「……へっ?」
ハセガワ……それは、ルミ子のこと。
ナナ……ナナはあのナナしかいないだろう。
ルミ子の親友の——
「——ナナと。いつも一緒だろ?」
ルミ子は、ナナにいつも恋愛相談にも乗ってもらっていた。当然、ナナはルミ子の好きな人を知っている。
ショウタの呼び方からして、付き合っている相手はナナだろう。
「そ……っか。そう、だね。でも、好き……だったから。ごめん……ね」
ルミ子は喉から声を絞り出し、その場を後にした。
「——ナナの……裏切り者っ……!」
走りながら、ルミ子は血を吐くかのように、叫ぶ。
ルミ子とナナの間にあった信頼と絆という名の糸は、あっけなく、プツリと切れた。