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レポート43

 ディッツの巨大な拳が大地に突き刺さると、叩きつけられた皿のように地面は粉々に砕け散り、直径10メートルほどのクレーターがぽっかりと口を開けていた。


「葉月! 琴乃ちゃん!」


 私は巨大な拳から逃げるだけで精一杯で、舞い上がった砂塵の中で張り裂けそうな思いで見失った二人の姿を探した。

 すると――


「玉子!」


「お玉ここだよここ!」


 と、クレーターの底で結界の中に閉じこもって手を振っている葉月と琴乃ちゃんを見つけて、私はホッとすると同時にタッキーと司令官まで結界の中に居るのを見つけて何か釈然としない思いを感じた。


「ひ、ひどいよ。みんなして仲良く…… こっちは死に物狂いで逃げたのに……」


「だって私、足挫いてるから動けないし――!」


「そうだよ。ぼくだってケガをしていてまともに動けないのに、どこかの誰かはさっさと一人で逃げちゃうし…… ほんと葉月ちゃんが居なかったらマジでヤバかったぞ」


「あ、つい……」


 葉月とタッキーにそう言われると私はバツの悪さに頭を搔いて誤魔化すしかなかった。


「と、とりあえずこの中に居るなら皆のことは心配しなくていいわけね――!」


 私は巨大化したディッツを振り返った。

 ディッツは地面から引き抜いた拳をもう一度振り上げようとしていたが、その様子がどうもおかしい。

 両手で頭を押さえたり、胸を掻き毟るような仕草をしていて、遂には口から泡を吹き始めて見るからに苦しそうだ。


「たぶんピックパークの肉玉とヘルタースケルターが拒絶反応を起こしているんだ。このまま気絶でもしてくれればいいんだが……」


 とタッキーが呟いた途端、ふらついたディッツが足元の宇宙船を蹴り飛ばした拍子にシールド発生装置が破壊されて周囲のシールドが消えた。

 そして苦しんでいるディッツはそのままフラフラと学校の敷地外に向かって歩いていくので、タッキーが素っ頓狂な声を上げた。


「おいおい、まずいぞ。このまま街に繰り出されたらとんでもないパニックだ。いや、もうディッツの姿を周辺住民に見られているかも…… ああ、ぼくが赴任して以来のとんでもない事態だ!」


「とりあえずアーマーロイド部隊に出撃の指示は出した。あと母船の主砲ならばあの海賊を一撃で跡形もなく吹き飛ばすことができるが?」


 と、司令官。


「いや、そんなもの地球で、しかもこんな住宅地で使用されたら何もかもが滅茶苦茶になってしまう……」


 タッキーの貧血気味の顔色がさらに青くなって、今にも気を失いそうになっている。


「タッキー安心して。とにかく私がなんとかして見るから!」


 私は巨大ディッツの後を追いかけた。

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