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レポート21

 夜が明けて、私と葉月、琴乃ちゃんの3人とレオパルドは、朝早いうちから桜吹雪女子学園に向う事にしていた。そう葉月の通う高校だ。そしてピックパークに襲われた女の子の大半がここの生徒だった。そう言えば葉月も一度襲われているんだっけ。


 これは果たして偶然なのか?

 私たちは昨日、夜遅くまで私の部屋で作戦会議を開き、この事について話し合っていた。ディッツについては、余りにも情報が少なかった為、最初から諦めて狙いはピックパークに絞ろうと決めていた。いや、絞らざるを得ないと言った方が正確か。


 でも、ディッツまで地球に来ているとなれば姉貴はより懸賞金の多いディッツを追う可能性も高く、そうなると私にもチャンスは巡ってくるかもしれない。

 とにかく今私が一番欲しいものは実績だった。なんだ、できるじゃないかと家族から認めてもらえる実績。


 その為にはどうしてもピックパークを自分の力で捕らえなければ。そしてその鍵は犠牲になった女の子たちの共通項である、桜吹雪女子高校の生徒と言う事だ。そこに何らかの法則がある筈なのに、それが何なのか見えてこずに、部屋は重苦しい空気に包まれていた。


 そんな中、私は葉月が独自に調べた女の子たちの最終目撃地点が印してある地図を見ていてある事に気付いた。


「ねえ、この点線て何だろう……?」


 私の問い掛けに、葉月と琴乃ちゃんも地図を覗き込んでくる。

 地図には街を縦断する様に青い点線が南北に伸びている。


「それって排水溝じゃない……?」


 と、琴乃ちゃん。


「排水溝……?」


 言われてみれば、点線の両端はそれぞれ街の南北にある河川へと繋がっている。


「うん、街の中心部は郊外と比べて標高が低いのよ。だけどこれといった川が無くて、大雨が降ると昔は良く浸水してたんだって。それで昭和の初めぐらいに地下に排水溝が出来たって、お爺ちゃんが言ってたけど」


 私ははっとしてもう一度地図を見た。

 確かに青い点線は赤いバツ印の間を縫う様にして通っていた。それに葉月がピックパークに遭遇したと言う商店街は、もろに青い点線が横切っている。


「もしかしてピックパークは地下の排水溝を移動してたって事……?」


「そうか、地下を移動してたから私が気配を感じとれなかったのよ!。それにその頃地上では女王や小人たちの気配が街の至る所でしていて、偶然それがピックパークのわずかな気配を消してしまっていたのかも」


「じゃあ、この排水溝を辿れば自然とピックパークに会える!?」


「それは断定できないけれど…… だけどもう女王たちは宇宙船の中にいて、これ以上街中を徘徊する様な事は無い筈でしょ? だったら余分な気配に邪魔される事はない筈!」


 私と葉月は興奮して琴乃ちゃんに抱き付いた。

 その後で桜吹雪女子学園の近くにも排水溝が通っている事がわかり、推理は確信へと変わったのだ。

 そして今、私たちはその排水溝の入り口に向っていた。


「――レオ、そろそろ人通りが多くなるわ。フェードインして」


 自宅のある丘を降りた所で、私はレオパルドの方を振り向いた。朝日を浴びて輝く銀色のボディが心なしか喜んでいる様にも見える。落ちこぼれの私の横でずっと同じ夢を見続けてくれていた、兄弟のようでもあり悪友でもある私の大切な相棒。


「今まで待たせてごめんね。もし懸賞金が手に入ったらフルオプションを装備してやるからね!」


「本当デスカ!? デモ最初ノ懸賞金ハ貯金シテクダサイ。私ハ今ノ装備デモ満足シテイマス」


「泣かせる事言うじゃない。マシンの分際で……」


「今マデ泣カサレテキタ仕返シデス」


「ばぁか……」


「サア行キマショウ!」


 そう言ってレオパルドがすっと右手を高く掲げる。身長が高いから手の平が三メートル以上の高さがある。

 私はニヤリとして、ジャンプして右手でハイタッチする。渇いた音が朝の空に鳴り響いて、その音を合図にレオパルドの姿が消えていく。

 琴乃ちゃんが感嘆の声を上げて、姿が見えなくなったレオパルドのボディを突っ突いていて、その横では葉月が見透かした様な笑みを浮かべて立っている。


「今のは……?」


「へへ、前から決めてたんだ。二人で初仕事に出る時の合図……」


「そうなの!? じゃあ私たちもやらなきゃ!」


 琴乃ちゃんが餌を見つけた子犬の様に嬉々として割り込んできた。


「じゃあ、行くよ。いち、にい、さん!」


 と、有無を言わせず琴乃ちゃんが音頭を取り始めたので、私と葉月は照れ笑いをしながらハイタッチをする。するとその横を「ダァーッ」と言う掛け声と共に、琴乃ちゃんの握り拳が突き出されていた。


「いやいや、一、二の三ときたら普通こっちでしょ!?」


「知らないよそんなの。私、宇宙人だもん」


「私も。こけしが友達だし」


 私たち三人は腹を抱えて笑っていた。まるでピクニックにでも行くみたいに。三人でいれば無敵の様に思えた。

 たぶん、ただの世間知らずだったのだ……

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