表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
白銀月夜の狼  作者: 露草緋織
序章 狼
1/15

0-1

 




 白く冷たい風が辺りの木々を撫でる。

 葉も無い枝は、サワサワと哀しく軽い音を立てて静まる。

 気温は下がっているというよりも、ない。水などの液体も存在しない。何故なら瞬時に凍ってしまうから。

 生物が全くいないようなこの真っ白な冬の森。

 真冬。闇夜。満月。雪。―――この条件が揃ったときのみ、「それ」は姿を現す。


 白銀の体毛で覆われ、睫毛も白銀。

 色が薄く、いかにも儚いといった感じで煙のように消えてしまいそうな。

 しかし濃蒼色の瞳が爛々と輝き、儚いという印象を打ち消す。その瞳は、まるで。


 

 狼。


 そこには二匹の狼が静かにこちらを見つめていた。

 

 




***




「何故だ……。何故死なねばならぬ。あのような下等な生物の為に」

「下等は貴様だ。我が掟を破るなどと愚劣な行為を」


 この場は冷たい。寒い。

 緋色の髪。燃え盛る炎の如きその髪色は、我が種族にとっては不愉快極まりない。いつだ、いつになれば……。


「お前は大罪を犯した。二度とここに現れるでないぞ」


 それは、我が同胞を護るために犯した罪だとしても。生きるために殺したのだとしても。

 掟を壊さぬために作られた掟は、あまりに残酷だ。






 

 銀よ。かつて我を創っていた銀よ。

 もう一度我を受け入れてくれたまえ。そして。




「あの森に。あいつの元へ……。逢いたいのだ……」






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ