そのななっ! (色んな意味で)死にかけた敏豪、勃発する咲夜華VSナタリア
何で死にかけているのかは・・・その辺は察してください。『みせられないよ!』なことはないので。
あの咲夜華にも不得手がある、ということが垣間見えます。
あの朝、咲夜華とナタリアに盛大な告白をされてからというもの、俺は毎日が忙しいものになった。
親衛隊の奴らには追われるようになったし・・・なんか増えたし・・・
その結果・・・
「かゆ・・・うま・・・」
「・・・敏豪、お前、口からなんか出てるぞ・・・」
「し・・・ぬ・・・」
俺は絶賛、太陽光によって干からびたミミズ状態になっていた。仕方ないだろ、休まる場所が家しかないんだから・・・
そして、休まらない理由その2が・・・
「だーリーん♪」
来た。突然告白し、そして俺を何故かダーリンと呼ぶ女、ナタリアが。
「ダーリン、次は移動教室なのです。一緒に行きたいのです」
「だーっ!ひっつくな引っ張るな抱きしめるな!!止めてくれ鳥肌が立つ!!ついでに言うと暑苦しい!!」
何故暑苦しいかって?現在7月。上旬だけど夏真っ盛り。暑いのは当然だろ?
ナタリアはぐいぐいと腕を引っ張っている。あの告白以来、胸に着けていたコルセットは外して下着を着けたらしく、もろに当たって・・・
「だめーっ!!」
「にゅっ!?」
突然声が聞こえたなー・・・とか思ったら衝撃が。ナタリアが誰か・・・いやまあ、大体予想はつくけど・・・に突き飛ばされて、腕に抱きつかれていた俺もその反動で転げ落ちそうになって・・・
「くぁwせdrftgyふじこlp!?」
一樹の急所に俺の後頭部がクリーンヒット。・・・これは痛い。絶対痛い。しかし俺のせいではない。俺が休まらない理由その3が原因だ。
「り、リーアフォルテさんなんかに絶対!ぜーったい!敏豪君は渡さないもん!!」
「・・・ちっぱい・・・よくもやってくれやがったのです・・・」
「・・・ちっぱいじゃないって何度も言ってるよね?」
「・・・私から見ればお前もちっぱいに変わりないのです」
・・・もう言い争い。その3は咲夜華だ。もう仲が悪いとしか言いようがないくらいに言い争ってる。内容は専ら胸な気がするが。
「やっぱりリーアフォルテさんは胸ばっかりに栄養いってるんだね、そんなことしか言えないんだもん」
「そういうちっぱいは頭ばっかりに栄養いってるからちっぱいなのです」
足元には急所に俺のヘッドバットが決まって悶絶中の一樹、俺の両腕には只今絶賛言い争い中の『自称・榊敏豪の彼女』の二人。
「・・・どうしたもんかね、これ・・・」
鳥肌立ってるのに気付いて欲しい。しかし気付いてくれない。そんな悲しい状況に、なす術もなく振り回されていた・・・
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時間変わって3限目。科目は体育(1-Aと合同)。男子は中でバレーか外で野球。女子は外で全員でソフトボール・・・なのは良いが。
野球をしていた男子、1-Aのやつらは全員授業にならなかった。理由は・・・女子・・・の一部。
「・・・な、なあ、見ろよあれ・・・」
「すげぇ・・・ぷるんぷるんしてやがる・・・」
・・・ま、言わずもがな、視線はある一点に集中してる。咲夜華とナタリアの、だ。特にナタリアの方に凄い集中してる。
・・・仕方ないっちゃ・・・仕方ないんだよな・・・。今までは胸にコルセットをして締め付けて小さく見せていたって話だから・・・
「こらお前ら、ちゃんと授業に参加しろー」
・・・うん、先生からお叱り。仕方ないね、うん。ちゃんとしてくれて俺ゃ嬉しいよ。
「いくら代永やリーアフォルテの胸が気になるっていってもだな、さすがに授業くらいはしっかりしろ。終わってからの報酬と思えー」
前言撤回、最悪だこの人。
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女子のソフトボールは、最早咲夜華VSナタリアの構図になっていた。投手はそれぞれ咲夜華とナタリアがやっていた。
咲夜華の投げる球は速度こそないが、コントロールに長けていて、毎度毎度エグイ所(ストライクゾーンぎりぎり)に投げていた。無論、打てるわけがない。見る限りインサイドぎりぎりだからだ。
対するナタリアはコントロールはぼろぼろだが、それを補う速度で投げていた。こっちも打てるわけがない。早過ぎるからだ。
「・・・ちっぱい、お前の球を最初に打つのは私なのです。今度こそ当ててやるのです」
「・・・絶対打たせないからね」
そして、打者ナタリアVS投手咲夜華という構図が三度出来た。今のところはどちらも打ててない。
「せぇ・・・のっ!」
「・・・ここなのです!」
すかっ。
「ストライク」
「・・・今のはボールだったのです」
「完全にストライク。ギリギリだったけど私の目は誤魔化せないよ?」
「むー・・・」
そしてまた投げて、空振って・・・
「ストライク、バッターアウト。ついでにチェンジね」
「むぅ・・・」
とぼとぼと歩いてグローブを取り、マウンドへ。そしてその次の一人目が・・・
「・・・というか、結局バトルなのです。今度は私が勝たせてもらうのです」
「ぜ、絶対に打つもん!」
完全に逆になった戦いになった。・・・こちらも状況は一緒。
「・・・ということで・・・死ぬがいいですっ!!」
「・・・!(キュピン!)」
咲夜華は突然バットを横倒しにした。これが意味することはつまり・・・
こん。
「バント!?卑怯なのです!」
「打てばいいんだもん!打ったもん勝ちだよ!」
やはり策士的な方向では咲夜華に軍配が上がっていた。
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ちなみに男子は・・・
「・・・だ、ダメだ・・・」
「あ、あの揺れる山を見てると・・・」
・・・はっきり言えば、とても体育をやれる状況じゃなかった。
「おーし1-Bメンバー、とっとと3アウト取るぞー」
「OKー。とっとと取って唖然とさせてやるぞー!」
「というか敏豪の嫁さん達をガッツリ見てるとこうなっぞって思い知らせてやるぞー!!」
俺?キャッチャーが一樹だったからとっととバスバス投げてとっとと3アウト取ってるけど?
つか「敏豪の嫁さん達」とか言ったやつ後でシバく。
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昼休み。俺は授業終了のチャイムと共に教室から姿を晦ました。一樹には説明済みだ。逃げるためだと。そして俺は屋上に向かった。
二人には居場所を告げていなかった。いなかったのに・・・
「やっほ♪」
「・・・いたのかよ」
咲夜華がいた。まるで待ってたかのように。
「やっぱりお前がいんのかよ・・・」
「だって、敏豪君がいる所ってここか教室か図書館だもん、お昼食べるならここしかないと思って。あ、そうだ」
突然持っていた手提げ鞄をごそごそとして・・・
「えと・・・お弁当、作ってきたんだ。食べて・・・くれる?」
「弁・・・当?」
「・・・うん」
よく見たら咲夜華の手は所々に絆創膏が貼ってあった。で、開けてみたら・・・
「えと・・・その・・・初めて・・・自分以外の人のために料理したから・・・」
「・・・もしかして今まで作ってたのってトマト料理とか?んで殆ど包丁を使わないものだった?」
「う、うん・・・」
どうやら作るのは専ら具の少ないパスタものらしい。指に切り傷があったのはそのためか・・・
弁当箱の中身は、御世辞にも料理上手、と言えるような状況の物はなかったが、それでもおいしそうだった。
「・・・んじゃ、ありがたくもらうよ。・・・というかお前はどうすんだよ?」
「わ、私は自分の分も作ったから」
と、手提げ鞄をまたごそごそとして、出てきた可愛らしい弁当箱。
「なら大丈夫だな。んじゃ、いただきま・・・」
「そうは問屋が卸さないのです!」
突然ドアが開いたと思ったら、ナタリアが登場。もうやだ・・・
「私だってお弁当を作ってきたのです!!絶対そこのちっぱいよりおいしい・・・はずなのです!」
「なぜそこで詰まった!?」
「・・・私だって初めて作ったのです・・・」
・・・ちくしょう、初めて女の子の手料理食べるけどさ・・・
どっちも料理初心者かよーっ!!
結果、撃沈したぜ・・・。咲夜華の料理は味が濃くて・・・ナタリアのは見た目ですらもうダメだった・・・味?ダメに決まってんだろ・・・
「ちょっとー!敏豪君倒れちゃったよ!?絶対リーアフォルテさんの料理のせいだからね!?」
「何を言いやがりますかちっぱい!!お前の料理が下手過ぎるのが悪いのです!!」
・・・お前ら二人の責任だよ・・・!
1-Aの男子共の行動は、分かると思います。そして1-Bのやつらは・・・もう、ね。いいやつらですよ。ノリ的な意味で。
次回は新キャラ増えます。前にも言いましたソロモン72柱の1柱です(悪魔はよく1匹2匹と数えることが多いかも、ですが、実際は1柱2柱とも数えるそうです。ここでは使い分けますが)。さて、一体どの悪魔でしょうか?それはお楽しみに。