そのよんっ! 進展した(?)二人の距離
さて、何が進展したのか?それは本文を見てからのお楽しみ、です。
相変わらず親衛隊共に追われて追われて・・・な間の昼。
「・・・ちくしょう、パンは確保できたけど場所が確保できねぇって・・・」
廊下をぶつくさ言いながら歩く俺。教室には戻れない。戻ったところであいつら・・・親衛隊がいる。さっきも「姫から離れろ軟弱者めが」とか言われて追いかけ回された。・・・軟弱者て・・・
「・・・しゃーなし、だな。屋上で飯食うか」
昼だけこっそり開放されている屋上。そこなら誰も来ないだろうと思った俺は屋上へと繋がる階段を上っていった。
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「・・・お邪魔しますよーっと・・・」
誰もいない(はずの)屋上のドアを、「お邪魔します」なんてふざけて行ったら・・・
「へっ!?」
・・・いきなり声が聞こえた。女子の。うわ、最悪。
「・・・って、榊君か・・・」
「・・・なんでここに代永がいるんだよ」
「ここにいると落ち着くんだ。誰もいないし、のんびり空を見れるから」
「・・・なるほどな」
俺は金網にもたれて座り込んだ。
「あ、そこ汚いよ?ちょっとずれるから一緒に座らない?」
さすがにそれはまずいと思ったらしく、代永は俺の手を掴んだ。
「ちょ、まっ、待て!!い、いきなり掴まれると鳥肌立つ!!」
「え、あ、ご、ごめん・・・。で、でも、こうやってかないと異性恐怖症・・・だっけ?治らないよ?」
「とか言って急いだってすっと治るもんじゃないだろ!?」
「こういうのって少しでも強引な行動しないと治らないって聞いたよ!?」
「強引にやって逆に悪化したらどうすんだよ!!」
お互い譲らずの言い合いは、結局俺が折れる形となって終息した。
「・・・ダメだ、やっぱり鳥肌が・・・」
「我慢しないと!大丈夫だよ、その内慣れるって。・・・あふぅ・・・」
突然代永が変な声を出した。
「代永?」
「・・・え、あ、ご、ごめんね?変な声出しちゃって・・・」
一体何かあったのだろうか?と、心配そうにしていたら・・・
「・・・実は・・・ね?あの時榊君の血、飲んじゃったでしょ?そしたら・・・榊君見てたら血が飲みたくなっちゃって・・・てへ♪」
「いや、てへじゃないだろてへじゃ」
舌をちょろっと出して可愛らしく「てへ♪」と言う。しかしそれは俺にとっては死刑宣告間違いないわけで。
「・・・ダメ?」
「ダメに決まってんだろ?俺の命にも関わるし、下手にやってばれたらどうすんだよ?」
「ちょっとだけ・・・ね?ホントにちょっとだけだから・・・お願い!」
「・・・ちょっと待て・・・」
俺は辺りをきょろきょろ見渡してみる。・・・親衛隊の奴らはいない、ここは俺と一樹しか知らないし、一樹は教室で飯を食ってるからいない・・・大丈夫、か?
「・・・しゃーねー。こういう時だけだからな?ホントは絶対吸わせねーんだけどな」
「ありがと!じゃ、いただきまーす♪」
しかし・・・吸われるってのは・・・いい気分じゃねぇ・・・な・・・
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「・・・はふぅ・・・ごちそうさまでした♪」
「・・・お、お粗末さま・・・でした・・・」
ちびちびと、だったが・・・たっぷり2分、吸われた・・・。その2分間はとても俺に耐えられる時間じゃなかった・・・。鳥肌が立っているし、実質今気を失いそうだから・・・
「さ、さっさと戻るぞ。授業に遅れるのは絶対にいけねぇしな」
「そだね。じゃ、戻ろっか」
にこにこと先を行く代永と、ちょっとやつれた感じの俺。二人で教室に戻った。親衛隊の奴らには見られてなかったのは救いだった。
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「・・・尻尾、掴んだのです」
屋上の給水タンクの陰で、少女が呟いた。彼女は終始二人の行動を見ていたのだ。それはまるでストーカーさながら。
「・・・今日の放課後、一気に滅してあげるのです・・・代永咲夜華・・・」
ちょっと敏豪が異性嫌いを克服しようとした一瞬でした(咲夜華に血を吸わせた、という行動が、です)
次回はちょっとバトル入りまーす。ほんのちょっとでーす。
「そのさんっ!」から出てるなーんか祓魔師っぽいよーな女の子については、次回正体が分かります。ちなみに祓魔師としてはあり得ない存在なのです。
プチ問題。
敏豪の名前には元ネタがあります。さて、その元ネタとは?
・・・別に正解しても特に何かあるわけではないので、答えたい人だけ答えてみてください。正解は「そのごっ!」で。