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そのさんじゅうにっ! アリアネルゼ最大の危機!?現れた恋敵

タイトルから分かる通り、アリアネルゼにとって最大の危機が。



ちなみに、一樹には何の非もありません。それは本文で確認してください。

「・・・なあ敏豪」

「どうした名誉会長」



一樹は敏豪に相談をしていた。珍しく一人で。



「茶化すな、真面目な相談なんだからよ」

「悪い悪い。で、何だよ?話くらいなら聞いてやるけど」

「・・・最近・・・じっと見られてる気がするんだ・・・」

「・・・は?」



一樹の言ったことに理解が出来ず、思わず声を漏らす敏豪。



「いやだから、最近誰かに見られてるような気がするんだ」

「・・・自意識過剰?」

「ちっげぇよ!!」

「トーラレイアがどっかからじーっと見てるんじゃねえのか?前一度話したけど、彼女内気な性格だから」

「アリアは違う。あいつは・・・」



そこまで言った時、教室のドアが大人しめに開いた。その先にいたのは話題に上がった少女、アリアネルゼだった。彼女は教室をきょろきょろして、一樹を見つけるや否や、とてとてと駆け寄り抱きついた。



「こうだから」

「・・・了解、まったくの別人だって事が分かった」



幸せそうな顔をするアリアネルゼを見て、納得する敏豪。



「・・・ところで今視線を感じるか?」

「・・・今もなお感じる・・・」

「・・・?」



話を知らないアリアネルゼがきょとんと首を傾げて一樹を見る中、敏豪は周りをぐるりと見回した。



「・・・誰もいないな・・・」

「・・・でも感じるんだけど、視線を」

「・・・(くいくい)」



アリアネルゼが一樹の袖を引っ張った。



【私も視線感じるよ】

「アリアも?で、どんな?」

【なんか私のこと怨んでるような視線 怖い】



きゅっと一樹の袖を掴み、震えるアリアネルゼ。



「一樹、何か思い当たる節は?というかお前に対する視線は?」

「少なくともアリアが感じるような視線じゃないな。・・・というか思い当たる節・・・?」



頭を抱え考えてみる一樹。アリアネルゼも隣で自分が一緒にいた時のことも考えてみた。



「・・・あ」

「どうした?」

「一回だけあったわ、思い当たる節」



ぽつりと一樹が漏らした。



「三日ほど前だけどよ、階段の上から足を滑らせて落ちてきた子がいたんだわ。左目と左腕に包帯をしてたからよく覚えてる。その子の下敷きになったって言う記憶がある」

「それが助けたと?」

「少なくともあの子にとっちゃ助けられたと思われたんだろうな」



そんな時、アリアネルゼがぷくっと頬を膨らませた。



「・・・トーラレイア、嫉妬か?」

「・・・(むーっ)」



完全な嫉妬モード。一樹に抱きつく力が強くなったため・・・



「うひょっ!?」



当然、彼女の豊満すぎる胸が強く押し付けられるわけで、一樹は変に上ずった声を上げた。



「・・・とりあえずこれに関してはお前がどうこうする問題だ、俺が関与することはまったくない」

「・・・畜生、お前なら何とかしてくれるって思ってたのによ」

「・・・だがまあ、助言だけならしてやれなくもないな。とりあえずどっかで一人きりになって相手の方から出てくるのを待ってみろ。そんでもってからしっかり話せ。「俺には彼女がいる」って」

「・・・やってみる」



そう言った時、アリアネルゼがスケッチブックを出した。



【浮気ダメだよ?】

「しないから」



































☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★



昼休み、屋上で一人立つ一樹。



「・・・まだ視線を感じる・・・」



アリアネルゼにも了承をもらい、ただ一人屋上に立つ一樹は、視線の主をきょろきょろと探した。



「・・・隠れてみて正体を突き止めるか・・・」



一樹は唯一隠れられるタンクの後ろに向かった。






































☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★



「・・・あっちに行った・・・」



一樹をじっと見ていた女子は、一樹がタンクの裏に動いたのを見て、追いかけ始めた。無論、一樹の目論見など知る由もない。



「タンクの裏に・・・あ、あれ・・・?」



タンクの裏に行った女子は、そこに目的の人物がいないことに疑問を持った。そして次の瞬間。



「・・・ったく、やっと見つけたよ視線の主」

「・・・ひぅっ・・・!」



肩を掴まれたその先には、女子が思うその相手・・・一樹がいた。





































☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★



「誰かと思ったらあの時俺を下敷きにしたお前だったのか」

「・・・うん」



一樹をストーカーし続けていた女子、神凪かみなぎ・アルティオン・雫は今は一樹の隣で大人しくしていた。



「一体何で俺をストーカーし続けたわけ?」

「ストーカーじゃないもん」

「え?」


質問から返ってきたのは思っていたものとは違うものだった。



「じゃないって・・・だったらなんなんだよ、お前のやってること、全くもってストーカーそのものだぞ?」

「一緒にいたいのに、いつもあの子がいて近づけなくて、だから見てるだけしかできなかったんだもん。だからストーカーじゃないもん」

「そらなぁ・・・アリアは恋人だし・・・つかそれでもストーカーと同義だっての」



同時に雫はぷぅ、と頬を膨らませた。



「好きな人と一緒にいたいんだもん」

「・・・は?」



今まで明後日の方角を見ていた一樹は、声に驚いて雫を見た。その時の雫は一樹をうるうるとした目で見ていた・・・ように見えた。



「一緒にいちゃ・・・ダメなの・・・?」

「うっ!?」



一瞬、本当に一瞬だった。一樹の心が傾きかけたのは。だが、あくまで『傾きかけた』だけだ。



(いやいや、傾いたらダメだ桐生一樹!俺にはアリアという最愛の彼女がいるんだから!!)



一樹はいつものあの光景を想像した。アリアネルゼが抱きついて来て、あの小さく恥ずかしがるような声で「桐生君、好き」というその光景を(ちなみに部活終了まで一樹を待っており、帰る時は抱きついていつもそう言っているのだ)



「悪魔だから・・・ダメなの・・・?」

「悪魔?」



一樹が思わず聞き返した時、雫はしまった、というような顔をしていたが、すぐに話し始めた。



「私・・・バールベリトっていう悪魔だから・・・」



一樹はついに退路を失った。一人の少女の本当の姿を知ってしまったのだから。が、すぐに退路を見つけ出せた。・・・本当に偶然に。なぜなら・・・



























突然、誰もいないはずの屋上のドアがバンっ、と開いたのだから。





































☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★



〈一緒にいちゃ・・・ダメなの・・・?〉


(か、一樹君が盗られちゃう・・・!?)



屋上のドアの前、アリアネルゼは一樹のことが心配だったため、そこにいた。とはいうものの、浮気しちゃうんじゃないか、誘惑されるのではないか、というあまりに世俗的な理由だったが。



その後の彼女は何を言ったのかは一切覚えていない。なぜなら・・・



「(バンッ!)だ、ダメぇっ!!」



無我夢中でドアを開けてしまったのだから。



































☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★



「だ、ダメぇっ!!」



突然聞こえた声に、その方を向く一樹と雫。



「あ、アリア!?なんで!?俺一人って言ってたよな、敏豪が!!」



叫ぶ一樹に向かって、いつもの二割増しな速度でとてとてと駆け寄るアリアネルゼ(実は彼女、極度の運動音痴なのだ。レベルで言うと、自他共に認める運動音痴なルナをも超えるもので、100mを30秒以内に走ることが出来ないのだ)。そしてそのまま・・・



「っ!!」

「ぐふぅっ!?」



一樹目掛けて飛び込んだ。絶対に離さない、と言わんばかりに一樹の首に腕をまわして抱きしめ、彼女の超豊満な胸が一樹の体と自分の体の間で潰れ拉げようと、お構いなしに抱きついた。なお、アリアネルゼが一樹を押し倒している状況なのは余談。



「・・・絶対に渡さない!」

「~~~~っ!!」



アリアネルゼを押し退けようとする雫とそれに対して必死の抵抗をするアリアネルゼ。その二人の取り合いの原因となり果てた一樹はというと・・・



「あいだだだだ!?ちょ、胸痛いから!!ああでも幸せかも・・・じゃなくて!!」



一瞬不穏な声が聞こえたが、敢えてそこは無視せざるを得ないということで・・・







































☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★



「め、名誉会長が!名誉会長がっ!!」

「どうしたんだ堀!」



慌てて教室に入ってきた堀に、現会長:金純が聞き返した。



「名誉会長が・・・二人目を攻略なされたぞぉっ!!」

『なん・・・だと・・・!?』



一斉に驚愕に染まった声を上げる。それは既に来ていた敏豪もだった(もっとも、彼の場合は、自分が想定していた結果と違う結果だったことから)。



「場所は何処だ!」

「現在、生徒玄関にて取り合い勃発中!女の子の胸に挟まれて窒息しているのが羨ましい限りであります!!」

「総員、出撃ぃっ!!」




金純が告げ、全員が教室を出た。目的地は、生徒玄関。



「・・・まさか俺の想定していた結果と異なっちまう結果になろうなんてなぁ・・・」



敏豪は一人、教室に残って机に突っ伏した。朝、ルナが来て焦るまでずっと。
































そして一樹は・・・現在完全に窒息していた。それまでの流れは・・・


















朝、アリアネルゼと共に玄関に入る

雫が後ろから一樹に飛び付き抱きつく

最初は呆然としていたが、一樹にキスを迫る雫を見て一樹を奪還する(運悪く首の横側を引っ張り上げてしまう)アリアネルゼ

この時、アリアネルゼの胸に一樹の顔が沈む(9割ほど、この時点で窒息第一段階)

雫が一樹を奪い返す(一樹の顔が5割ほど沈んだ)

アリアネルゼが引っ張った時、雫も強く引っ張ったため、左右からサンドイッチ状態になる(完全に窒息、第二段階に突入)

















結果、一樹は酸欠状態になり、腕がだらりと垂れて動かない一樹を見つけた1-Bメンバーが慌ててアリアネルゼと雫を各二人がかりで引き剥がし、一樹を残りのメンバーで保健室に搬送した。

とりあえず今回初登場の雫が一樹に惚れた経緯について簡単にまとめます。



1.雫が階段で足を踏み外す

2.偶然一樹が階段を登ってきた

3.一樹に雫が直撃、一樹が下敷きになる

4.雫が『一樹が助けてくれた』と勘違い


=惚れた




こんな感じです。一樹も気持ちが一瞬揺らいだもののどうにか持ち直し、「無理だ」ときっぱりと言っていたので罪はない・・・はずです。






・・・ただ・・・世の中の彼氏いない男達には妬まれるでしょうね・・・








次回はルナがある決心をします。ちなみに敏豪には一切関係ありません。女の子にとって重要なこと(多分)です。


決意の内容が共通してくるのは『夏バテ』『ボクシング』です。この二つの共通点を考えてくと、自然に答えが出てくるはずです。

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