そのにじゅうきゅうっ! ぶつかって出会ったネコ耳お嬢様!?
・・・多分ラストのヒロインです・・・。多分。
今回から体育祭編です。ただし!ただの体育祭と思う事なか、です。
「敏豪、あんた大丈夫なの!?」
「コンビニで朝飯買って学校で食う!」
夏休み終わって前期の残り1ヵ月が始まった。その初日・・・盛大に寝坊したよこん畜生!!・・・寝坊したっつっても何時も出てる7:10から20分遅れただけだけどそれでも寝坊なんだよ!
「フィーちゃんはお母さんが送ってっておくから、あんたは急ぎなさい!」
「分かった、頼むわ母さん!!」
アンナとフィーリアは編入手続きのため遅れていくことは決まっていた。特にフィーリアは陽のあたる所を歩くことが出来ないため、送り迎えは必然だった。
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「ち、遅刻ですぅ~!!」
敏豪が丁度コンビニで慌ててパンを買って出た頃、敏豪の通る道へと一人の少女が走っていた。少女が身に纏っているのは制服だが、西条東高校のとは違うものだ。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・」
彼女の学校もまだ始業には早いが、彼女にとっては遅刻だという話な訳で。
「まだ早いかもですけど・・・遅れるのは・・・嫌です~!!」
急いで走る少女。慌てていたのが災難だった。横から走ってくる影に気付けなかった。
「うわっ!?」
「ひゃあっ!?」
思いっきりどしんとぶつかってしまう二人。片方はその少女、もう片方は・・・敏豪だった。
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「痛つつ・・・」
「あうぅ・・・」
ぶつかった後目を開けたら、女の子とぶつかっていた・・・
「わ、悪い!前全く見てなかったから気付かなかった!」
「わ、私もまったく前を見てなかったです!ごめんなさいです!!」
お互いに頭を下げて謝る。
「とりあえず立てるか?」
「えと、その、あうっ!」
手を貸し(この時敏豪は鳥肌が立っていたが敢えて我慢した)、少女を立たせた時、少女の顔が痛みに歪んだ。
「足を・・・捻ったみたい・・・です・・・」
「ぶつかった時に変に捻ったか・・・しょうがない、家まで連れてくよ」
「いえ、その、あの、が、学校に連れていってほしいです!休みたくないです!!」
慌ててそういうものの、また無理に立ったため「痛っ」と言う少女。
「・・・分かった分かった。とりあえず連れていくから。・・・学校どこだ?」
「西条女学院です」
「・・・女学!?あのお嬢様高校の!?」
「は、はいです」
突然大声を上げた敏豪に驚く少女。
「いや、あの名門のお嬢様学校だとか・・・うええっ!?」
「えうっ!?い、一体如何したです!?」
「いや、その、ネコ耳・・・!」
「ネコ・・・ひゃああっ!?み、見ないでほしいですぅ~っ!!」
少女の頭にはぴょこんとネコ耳が出てきていた。髪の色と同じ色をした、ネコ耳が。
「・・・とにかく見なかったことにするから!」
少女におぶさるように言う敏豪。その少女もおどおどしながらもしなだれかかる。
(・・・うおっ・・・鳥肌が・・・!けど我慢・・・!!悪いのは俺なんだから・・・!!)
敏豪はとりあえず少女をおぶって、西条女学院へと向かった。
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「ふぅ・・・とりあえず一仕事完了っと・・・って結構遅刻!?これじゃマジものの遅刻になっちまうよ!!」
俺は大慌てで学校まで走っていった。
・・・結果、ギリギリ間に合ったという奇跡。しかし教室で詰問された。特に咲夜華とナタリアと音羽に。必死に宥めようとしてくれたルナには本当に悪い事をした・・・
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「・・・」
西条女学院。朝、敏豪と衝突しおぶってもらって登校した少女は、教室の自分の机で考え事をしていた・・・というか顔を赤くして俯いていただけだったが。
「青葉さん、どうかしたの?」
「ふえぇっ!?な、なんでもないです、なんでも・・・」
「心愛、顔真っ赤だよ?茹蛸みたいだよ?」
「もしかして・・・白馬様?白馬様がいらっしゃったー、とか?」
白馬様・・・西条女学院1年生の間で使われる隠語。つまり彼氏。「ある行事」でのみ、1年生は恋人を作ってはいけないという決まりがあったため、隠語を用いてその話をすることに(学生の間では)なっていた。
その話題の中心となった少女・・・青葉 心愛は顔を真っ赤にして全力否定していた。・・・が、心を考えると全然全力じゃなかった。
「そ、そういうことじゃないですよ!?けけ、決してそういうことじゃ!!」
「青葉さん、「あれ」は今月末だから、その時に思い切って言っちゃえば?」
「お、思い切る・・・」
顔を真っ赤にして俯く心愛。それが全てを物語っていた。
「それで、相手は?」
「・・・朝、衝突して・・・」
「ああ、それで足を捻ってかー。それで、その人は?」
「・・・私をここまでおぶってくれたです・・・」
このあと、学級委員長に叱られるまでこの話で盛り上がっていた女子たち。その中で心愛ははある事を考えていた・・・
(あの人・・・前にどこかで会った気がするです・・・。・・・いえ、会っただけじゃなく、遊んだような・・・)
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「女の子とぶつかって学校まで連れてった?」
「そうだよ、悪いか」
俺は絶賛、音羽&ナタリアに詰問されていた。咲夜華はなんとなく納得してくれたみたいで、ルナは元から問いただす気がなかったらしい。
「悪くはないのです・・・けど釈然としないのです」
「あの、敏豪さんに落ち度はないんですから・・・」
「そうだよ、故意にぶつかったわけじゃないんだからさ、そんな目くじら立てなくっても」
「私の怒りのベクトルと違うのです!」
なんかナタリアが急にキレた。・・・怖い。この子怖い・・・色々と・・・
「なんでぶつかったのがあたしじゃないのか、ってことよ!!」
「知るかよ!?」
理由は分かった。・・・そんなの知るか!
「うー・・・やっぱりなんか気に入らないぃ~!!」
「敏豪、今度の日曜デート!それで許すわ!」
「違うのです!ダーリンとは私がデートするのです!!」
「待て、俺の本来の優雅な休日は!?」
『そんなもんない(のです)!!』
「お前ら最低だ!!・・・日曜は逃げる・・・」
硬くそう誓った時だった。・・・冷たく俺の運命を縛るような言葉が聞こえたのは・・・
「逃げたら脳筋と同じ行動するから」
「・・・」
・・・俺の日曜は儚く消えた・・・
「お、同じ・・・リーアフォルテさんと・・・同じこと・・・」
「る、ルナちゃん!?顔真っ赤だよ!?」
「え、え、え、えっちぃことはダメだと思います!!」
あ、ルナが壊れた。
「無理矢理は一番良くないです!!お互いの同意がないと!!」
「あ、あれ?ルナちゃん?同意があってもダメだと思うんだけど・・・?」
この日、ルナがすっごい俺に色々言ってきたが・・・俺が日曜を犠牲にすれば問題ないと言ったら突然脱力してしなだれかかってきた・・・
(・・・あれ?)
そこで違和感に気付いた・・・
次回は・・・一部の競技の参加者決めです。そして敏豪が相変わらず保健室に行きます。
そして音羽がぶち切れます。・・・さて、それはなんででしょう?それは次回のお楽しみ。ちなみに結構怖いです。一部の人には既視感があるかも?