そのにじゅういちっ! 音羽パニック(前編)
音羽が敏豪にとって面倒を起こしてくれます。どんな面倒かは・・・本編で。
ついでにナタリアも面倒を起こしてくれます。
「あー、転校生が来たから紹介するわ。つーかとっとと席座れー」
朝。我らの担任はこんなことを言ってくれやがった。俺と一樹は知っている。・・・あいつだということを・・・
「敏豪、お前、今日こそ危なくねーか?」
「・・・一樹、俺が死んだら俺の灰は川にでも流してくれ・・・」
「・・・安心しろ、死ぬのは一緒だ、どうせ・・・」
既に葬式ムードが出来あがっている俺達。仕方がないさ。転校してくるのがアイツだから・・・。
で、全員が席に着いた頃。
「んじゃー入ってこい」
担任の一言で教室のドアが開き入ってくる。・・・来た。深紅というのが相応しいくらい赤く長い髪の女子が。
「テキトーに自己紹介頼まー」
「えっと、姫川音羽です。よろしくお願いします!以上!!」
適当に自己紹介しやがった。・・・ま、予想通りっちゃ予想通りなんだけど。
「姫川は・・・丁度榊の後ろが空いてるからそこ座れー」
「はーい」
さらっと言いよったこの幼馴染み、俺の後ろに行った。・・・ああめんどくせぇ・・・
「よろしくね、敏豪♪」
『っ!!』
そして後ろから囁く音羽。当然横に入る咲夜華・ナタリアは過剰反応するわけで・・・
「・・・(おろおろ)」
そして斜め後ろのルナはおろおろするしかなかった・・・らしい。
☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★
「ダーリン!!これは一体どういうことなのです!?正確に、正直に説明してほしいのです!!」
「どうもこうもないわよー。さっさと現実を認めなさいよ」
「あ、あの、二人とも、け、ケンカは・・・その・・・だ、ダメですよ・・・?」
「敏豪君!!」
「だからお前ら人の話を聞け!」
SHRが終わってすぐの休み時間。案の定詰問される俺。当然、音羽のこと。・・・ルナ、お前の立ち位置は本当に申し訳ないって思ってる・・・
「あたしは敏豪の幼なじみで初恋の相手なのよ?会ったばっかのあんたらじゃ話になんないわよ」
「う、うーっ!!」
「で、でも、その、き、キスすら済ませてないような気も・・・」
「あら残念。あたしはもうとっくにキスしたわよ。小学校のこ・ろ・に♪」
「き、キス済み!?」
「あ・・・ぁぅ・・・ぁぅ・・・」
愕然とする咲夜華に呆然とするルナ。自分が俺のファーストキスを奪ったと思っていたらしい。・・・ゴメン、ルナ・・・
「やっぱり結局は私の独壇場だったのです牛」
「牛っ・・・!?あ、あんただって牛じゃないの!!」
「お前に比べれば牛じゃないのです、それに私の方がお前より圧倒的優位性があるのです」
「な、なによ・・・」
や、止めろナタリア・・・!それを言ったら俺が・・・俺が死ぬ!
「私はダーリンと「それ以上言うなーっ!!」・・・ダーリン・・・?」
大声で制止をかけた。絶対これ以上言わせるわけにはいかない!何が何でも言わせるものか!言ったら・・・俺が死ぬから!!
「・・・敏豪・・・一体何があったか・・・説明してくれるかしら・・・?」
「・・・音羽?顔が怖いぞ?般若のような顔は・・・やめ・・・ぎゃああああああっ!!!」
噛みつかれたあああああっ!!
☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★
「敏豪のバカッ!変態!女たらし!!」
「ふざけんな!俺は完全に被害者なんだから!!」
「うっさい!!」
・・・結局一樹が暴露しやがってこの様。・・・俺、何も悪くないよな?
「・・・いーもん・・・」
「は?」
「あたしだってその内敏豪を(禁則事項)やるんだから!!」
「うおーい!いきなり爆弾発言すんな!!」
「うっさい!あたしはやると言ったらやる女だっての忘れたの!?」
いや、忘れたわけじゃないけどよ!
「何か言うのに時と場を弁えろって言いたいんだよ!!」
「気にしないの!というか何ならここで宣言してあげよっか?あんたの嫁はあたしだって!」
「やめい!」
「あだっ!!」
後半へ続く・・・
次回は後編。その最後でルナからある提案が。それは何かは・・・待て次回!