そのにじゅうっ! 臨海研修学校! その7 帰りのバスでの珍喜劇、そして帰ってきた「幼馴染」
臨海学校編終了です。まぁ・・・長いと言えば長くて、短いと言えば短い、そんな臨海学校でした。・・・敏豪の心に大きな傷を残したまま・・・
あと、前アンケートを取って、見事決定したゼバル娘が出ます。
三日目。今日はちょこっと土産物屋を見て帰るだけ。なんか修学旅行と殆ど変りなかった気もする研修旅行も終わる。そして、俺にとって、(嫌な意味で)二度と忘れられない旅行が。
「ダーリン・・・ふふっ・・・♪」
そして、そのきっかけを作ってくれやがった原因が俺の右腕に抱きついていた。
「ナタリア・・・離れてくれ、歩きづらい・・・」
「嫌なのです♪」
「・・・ちょっと、リーアフォルテさん!」
「何なのです、負け犬のちっぱい?」
「うぐっ・・・」
・・・またこいつは火に油を注ぐようなことを・・・
「い、いくら敏豪君と・・・その、え、エッチなことしたからって、ひ、ひっつき過ぎだと思うの!」
「勝者ゆえの特権なのです」
「・・・~っ!!」
「うおっ!?」
突然開いている左腕に引力を感じた。・・・見たらルナが引っ張っていた。つーか・・・痛い!
「何してるのです編入生!ダーリンは絶対に渡さないのですよ!?」
「~~~っ!!」
なんか・・・もう俺の取り合いに発展してんですけど・・・!?
☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★
バスの中。なぜか4人個室式になっているという変わったバスの中。そこでもまた・・・
「ちっぱいも編入生もいい加減に現実を認めて諦めるのです!!」
「そのアドバンテージがいつまでも続くと思わないでよ!!」
「そうです!私達が同じことをしたら同等なんですからね!?」
「咲夜華!ナタリア!俺の腕を引っ張るな!!ルナ!頼むから腰を引っ張らないでくれ!こ、腰が抜け、じゃなくて折れるって!!つか鳥肌!鳥肌立ってるから!!」
敏豪の取り合いが繰り広げられていた。ちなみに彼らのいる個室は前後と左側は同じ1-Bの生徒だったため、何の問題も無かった。というか寧ろ・・・
『咲夜華もルナも諦め悪いよねー。ナタリアが食べちゃったってのにさー』
『それだけ敏っちにぞっこんなんだよ、あの二人。そうじゃなきゃあんなまで張り合ったりしないよ?』
『というかナタりん大胆だったよねー。まさか研修旅行でやっちゃうなんてさー』
というガールズトークも・・・
『榊のヤロー、美少女3人に惚れられてリア充が移動まっしぐらじゃねーかよ。後で思いっきりいj・・・じゃなかった、祝福してやろうぜ?金曜の放課後は結婚式か?』
『お、いいんじゃね?そうだ、仲人は桐生に任せた方がいいんじゃね?一番のダチはあいつなんだからよ』
などという男子の話も盛り上がっていた。
「・・・むー・・・」
一向に折れる気のない咲夜華・ルナにむぅと唸るナタリア。咲夜華は敏豪を一度見て・・・
「・・・敏豪君、忘れて・・・ないよね・・・?」
「・・・忘れてって・・・あの朝のあれか!?一体何する気だよおい!?」
虚ろな目で見つめてくる咲夜華に、敏豪は戦々恐々とする。
「何って・・・決まってるよ!」
「一体何を・・・うっ!?」
敏豪の首筋に噛みついた咲夜華。いつものようなかぷり、などという可愛らしい音はたってない。寧ろガブリといった感じだ。
「ちょ、ちっぱい!?何してやがるのです!?」
「おひおふぃ!」
「ちょ、ま、い、勢い良く吸ったらあぁぁぁぁぁぁぁ・・・」
今迄のようにチューチュー吸うのではない。ズゾゾゾ、という音が聞こえるほど勢い良く吸っているのだ。
「あ・・・や・・・ば・・・」
勢いがあるため、一気に敏豪の意識は失われた。時間にして、僅か3分。
「ちっぱいー!!何してくれやがるのです!?ダーリンが・・・ダーリンが!!」
「ぷはっ・・・致死量までは吸ってないもん!」
「わわっ・・・敏豪さん、しっかりしてください!!」
離れたことでもたれかかってきた敏豪を支えようとするルナ。ただ・・・
「と、敏豪さん、しっか・・・きゃあっ!!」
上手く支えることが出来ず、もつれこんで倒れてしまう。結局・・・
「と、敏豪さ・・・ひゃうっ!!」
敏豪がルナの胸に顔面ダイブする形になってしまっていたのだ。
「・・・ルナちゃん!卑怯だよ、それ!!」
「色仕掛けは私の専売特許なのです!!」
「今色仕掛けって言った!!」
「あっ・・・」
咲夜華とナタリアが言い合っているその間、ルナは必死に起きあがろうとしたが・・・
「ん~っ!!ふぅ~っ!!と、敏豪さぁ~んっ!!お、起きてくださ~いっ!!」
ただもがくだけしかできないでいた。
☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★
「・・・まったく、酷い目にあったぜ畜生・・・」
俺は一人帰路についていた。咲夜華とナタリアは気がついた後、何故かご立腹で、ルナはどこか嬉しそうな顔をしていたのが分からなかったよ畜生。
「・・・今日だけで一体どんだけ血を吸われた?・・・あー畜生、まだふらつくって・・・」
足元がふらつく・・・というか途中でなんか柔らかいものに顔を突っ込んだ感じがするけど・・・何だったんだ?
「ただいまー・・・おろ?靴?」
帰ってきたら、玄関に靴があった。・・・なんか女物?
『お帰りー。アンタに客よー?』
「客ぅ?」
そんなんいるわけねぇのに・・・もしかして・・・あの女物の靴・・・
「・・・部屋に行くか」
俺はリビングに行くのを止め、自分の部屋に行った。
☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★
「・・・やーっと帰ってこr「敏豪!!」・・・マジで?」
部屋に入った時、やけに聞き覚えがある・・・ような声がした。前を見たら・・・赤い髪の女子がいた。赤じゃないな、深紅だな。そしてその髪で俺を知っていると言ったら、一人しかいない・・・
「ひ、久しぶりだな・・・音羽・・・」
「ほんっとに久しぶり!元気だった?」
「あ、ああ・・・まあ・・・な・・・」
・・・久しぶりに会ったとはいえ・・・音羽は女・・・やっぱり・・・
「敏豪?どうしたの?」
「いや、その・・・なんというか・・・」
「言って」
「は?」
「洗い浚い言えって言ってるの!!言わないと酷い目遭わすわよ!?」
「・・・お前の酷い目って昔っから頭に噛みつくことだったろ・・・」
・・・なんとなく分かってる。昔、こいつがキレると絶対に頭に噛みついていたんだよな・・・
「・・・何?噛みついて欲しいの?だったら・・・遠慮なくやらせてもらうわよっ!!」
「ぎゃああああああっ!!」
噛みついた。思い切り。痛い!頭蓋骨が砕ける・・・なんてことはないが痛い!!
「痛い!痛いって!離せ音羽!」
「らっはらいいらはいお!!」
「言うから!!言うから!!」
俺が言うといったら離した。・・・めっちゃ痛ぇ!!
「で?どうなのよ、敏豪」
「なんつーか・・・その・・・あーもう、お前、言ったことで何も事起こすなよ!?」
「しないわよ。恋人が出来たとか、(閲覧禁止)した、とかじゃなかったら」
・・・言えなくなった。・・・音羽の正体を知っている以上、迂闊には言えない・・・
「まぁ、なんつーか・・・俺、女子に好かれた・・・」
「・・・よし、今度縊るわ」
「やめろ」
あっさり言いやがった。やっぱり予想通りというべきだな。
「お前なぁ・・・」
「もしくは・・・不妊症か不感症にでもしてやろうかしら?それとも・・・くふふ・・・」
「だから止めろ」
「あだっ!?」
あまりにも怖い事を言い出したから、頭に思い切り拳骨を食らわせてやった。
「いったいじゃないのよ!」
「アホ、物騒なこと言うなっつーの。後始末すんのいっつも俺だったんだからよ、それくらい考えろ」
「うー・・・」
懐かしいジト目。・・・やっぱ音羽だわ。変わってねぇ。
「・・・あ、そだ敏豪」
「なんだよ」
「あたし、明日から敏豪と同じガッコ通うからよろしくね!」
「はぁっ!?」
こいつ、肝心なことを後々思い出したように言いやがって・・・!
「あ、それと・・・」
「今度はなんっ!?」
頭を上げた瞬間、音羽にキスされた!
「ふぅ・・・。どう?久しぶりのあたしの唇は?」
「ちょ、おま、何を・・・」
「宣戦布告よ!敏豪はあたしの物なのよ?誰にも取られてたまるもんですかって!!」
「・・・宣戦布告って・・・」
「じゃあね敏豪!明日迎えにくるからね!!」
固まった俺を置いて、音羽は行ってしまった。
『おばさーん、また明日来るからねー!!』
『はいはい、待ってるわよー?なんなら、朝御飯もどう?』
『家で食べてくるからいい!!じゃあねー!!』
・・・嵐のような幼馴染、音羽は帰っていった・・・
「・・・ったく、なんなんだよ・・・」
俺はそう呟くしかなかった・・・
「・・・あれ?そういえば音羽にキスされた時・・・鳥肌立ってなかったような・・・?」
ついに出ましたゼバルっ娘。他の三人とはまた違う感じを目指してみたのですが・・・如何でしょうかね?
次回は彼女が一騒動を起こす前編です。・・・それ以外にもナタリアが色々してくれますが。