そのにっ! 助けた女の子は吸血鬼!?
第二話です。なんとなく連投してますが気にしない方向で。
今回は咲夜華の秘密が明らかになります・・・というかタイトルで分かるかと。
「・・・は?」
代永のやつ・・・何言ってんだ?「血が欲しい」とか・・・吸血鬼じゃあるめぇし・・・
「代永?おい、気は確かか?」
「血が・・・ほしいよぉ・・・」
・・・これ、冗談抜きで考えるべき?本当に吸血鬼って考えるべきなのか?
「・・・代永、鞄の中見るぞ!」
俺は代永を抱きかかえたまま、何かないかと彼女の鞄の中を開けてみた。・・・が、中に所謂輸血パックとかそういう類は・・・ない。
・・・マジでどうするんだよ、これ・・・
「・・・あ・・・」
・・・気がついた、か?
「・・・血・・・ちょうだい・・・」
なんか代永が俺の首に近づいてきたんだけど・・・ってもしかして!?
「・・・いただき、ます・・・」
・・・かぷって・・・噛みつかれて・・・
「うおおおおっ!?な、なんじゃこれぇぇえぇぇぇええぇぇ・・・」
な、なんか、色々と吸われていく・・・感じ・・・が・・・
「・・・はふぅ・・・お腹いっぱいぃ・・・♪・・・あっ!?ま、また・・・またやっちゃった・・・」
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「・・・?」
目が覚めたら、見知らぬ天井・・・なわけなく、保健室の天井が見えた。
・・・あん時、代永に首に噛みつかれた・・・というか・・・多分ホントに血を吸われたんだと思うけど・・・気を失ったんだっけ・・・
「あ、目が覚めた?」
「・・・よ、代永!?」
声がした、と思って横を見たら代永がいた。・・・また噛みつかれたりすることないよな!?
「な、何もしないよな・・・!?」
「その・・・ホントにゴメン!」
パン!と手を合わせて代永が謝る。
・・・あれ?
「・・・ところで・・・あのさ、代永?」
「な、なに?」
「お前って・・・一体何者なわけ?「血が欲しい」って言ったり首に噛みついたり・・・まんま吸血鬼そのものな感じだけど?」
「そ、それは・・・その・・・」
代永は言いたくなさげにごにょごにょと口ごもった。
「言いたくないなら言わなくてもいいけど」
「え、えと、その・・・ね?あまり他の人に言ってほしくないんだけど・・・」
言いたくないようなことを無理して言うようにポツリ、ポツリと言い始めた。
「私・・・吸血鬼なの」
「・・・は?」
「だから、私は吸血鬼なの!」
「吸血鬼ていうと・・・ヴァンパイアとかそういう類?」
「・・・うん」
「ヴァンパイア・フィリアとかじゃなくて純粋に?」
「さっきからそう言ってるよ」
最初は冗談かなんかだろうって思ったけど、聞き返した時に断言したってとこから冗談とかじゃなくて、目の前にいる女子が本物の悪魔・・・。
確認でヴァンパイア・フィリア、別名吸血病(聞いたことがあるだけ。血を好む嗜好だ、とか血を飲まないと気が済まない、とか・・・)を疑って聞いてみたけどそれも違う。
目の前にいる女子は、紛れもなく吸血鬼なのだ。
「・・・なんとなく納得できるようなそうでもないような・・・」
「絶対に知られちゃダメって、お母さんにきつく言われてたんだけどね・・・高校入ってすぐばれちゃった・・・」
あはは、と笑う代永。しかしその顔はどこか悲しげだった。
「・・・で?どうしたいんだ?口封じでもするか?」
「そ、そんなことしないよ!ただ黙っててもらえればそれでいいし、私にそんな力ないもん!」
「ちょ、ストップ!近づかないでくれ!」
ズイッと体を乗り出して近づく代永。俺はそれを体を大袈裟に遠ざけてまで拒絶する。
・・・やばい、鳥肌が・・・
「・・・どうしたの?」
すぐに言った(というか叫んだ)のが幸いしてか、すぐ離れた。鳥肌が立っていた。
「・・・悪い、俺異性が苦手なんだよ・・・つか嫌いレベルで・・・あ」
途中まで言ってあることに気付いた。
「だったら、俺の異性嫌い直すのに付き合ってくれないか?」
等価交換の原則、とでも言えばいいのか?この提案なら乗ってくれると思う。
別に「恋人になってくれ」とか、ものっそいエロい事を言ってるわけじゃないし。こっちは黙っておく、ってだけだと代永が拒否しそうだしな。「榊君に苦労ばっかりさせられないもん」とかいって。
「それなら・・・いいよ?・・・よかった、えっちぃことしてくれ、って言われるかと思った・・・」
・・・なんで同じことを考えてんだよ代永のやつは。
「・・・あのね、榊君」
「・・・なんだよ」
「榊君って・・・前私を助けてくれたりしなかったっけ?」
「・・・知らね」
「・・・そう、だよね。こんな都合よくその人がいるわけ、ないもんね」
突然聞かれたことにそっけなく答える俺。
・・・気のせいだろ。俺も代永のことどっかで見たことあるような・・・なんて思ってるけど。
「・・・それとさ、友達に・・・なってくんねぇかな」
「友達?」
「俺、こんなだから、異性の友達いなくてさ・・・」
「友達・・・うん、いいよ!私も欲しかったんだ、気軽に話せる男の子の友達!」
突然代永が俺の手を握ってきた。それはそれは嬉しそうに・・・って!!
「うおわぁぁあっ!!だ、だから手を握ったりしないでくれ!と、鳥肌が、鳥肌が立つから!!」
「あ、わ、ご、ごめん!」
俺が怒鳴る勢いで言うと代永はすぐに離れてくれた。
こうして、吸血鬼の女の子とのギブアンドテイクな感じの生活が始まった。可愛くて親衛隊すらあるって言われる吸血鬼な女の子と、普通って言われてもおかしくない異性嫌いな男、つまり俺との。
・・・一体、何があるんだろうなぁ・・・というか幸先不安だなぁ・・・
次回は親衛隊(笑)が登場します。
この親衛隊(共)、自分でもネタキャラにします。ついでに言うとこいつら、所々出てきます。次話以降。
あ、空鍋とかは出てきませんので。ヤンデレキャラを出さない・・・つもりです。空鍋を出さないことは公言しておきますが。