そのじゅうっ! 明らかになった編入生の正体、追ってきたソロモン序列1位の王(キング)と逃げてきたソロモン序列6位の公爵(デューク)
タイトルくっそ長いのは気にしないでください。
タイトルで分かると思いますが、バトル勃発します。相手は・・・タイトルで見てください。
ついでに後書きで補足入れます。
ヴェイルフォールが転んで落ちてきたり咲夜華やナタリアがかなり大袈裟に騒いだその日の放課後。
「・・・珍しく部活が休みになったし、今日は久しぶりに本屋でも寄ってから帰るか」
咲夜華は用事があってさっさと教室を出て行ってしまい(かなり落ち込んでいたが)、ナタリアも買い物に行かないといけないとのことで帰った。つまり、実質今は俺一人。
「・・・久しぶりだな、一人ってのも」
一人、商店街の方へと歩いて行った。この後、大変なことになるとは思いもしなかった・・・
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「今日もいろんな事があったなぁ・・・」
帰り道、ルナはぼそっとそういうことを呟いた。編入生としてクラスに入った途端、いきなり騒ぎだしたクラスの皆。困っているように見えるけど、優しく接してくれた榊君。その榊君が好きで好きでたまらないなんて言葉が似合うくらい榊君が好きな代永さんやリーアフォルテさん。いろんな事があったな、としみじみ思った。
(でも、楽しかったなぁ・・・。明日もまた、何かあるんだろうなぁ・・・)
そんな事を思いながら歩いていたその時だった。
『・・・ようやく見つけたぞ、ヴァレフォール・・・』
「っ!?」
突然聞こえた声に立ち止まって周りをきょろきょろと見渡すルナ。その顔には驚愕の色が。
『何故正体を知っているのかって顔をしているな・・・?当然だろう?同じソロモン王に封ぜられた者同士なのだからな』
「あなたは・・・誰ですか!?」
「・・・ふん、この声を忘れたとは言わせぬぞ・・・『盗賊公爵』ヴァレフォールよ・・・」
通りの陰からぬっと現われた男。一瞬ルナは誰か分からなかったが、自身の異名を言われ、ハッとする。
「あ、貴方は・・・『魔王』バエル・・・!?」
細身の男を見て、怯えてしまうルナ。何せ、目の前にいたのは悪魔の中でも最上の存在、『魔王』バエルがいるのだから。
「ようやく思い出したようだな。・・・二度目の転生で性別を変え、三度目では威厳すら捨てた・・・嘆かわしいことよ」
「わ、私は・・・ヴァレフォールの血を引くだけの存在で、生まれ変わりなどでは・・・!」
「右脇腹。そこに右上の欠けたダビデの星があるはずだ」
「っ!!」
自分が徹底的に隠してきた秘密をあっさりと的中され、驚愕が顔に浮かんでしまう。
「・・・やはりな。二度目の転生を果たした貴様に、我は心を奪われてしまった。盗賊公爵と呼ばれるだけあると思った瞬間だった。・・・さあ、我の妾となれ」
「い、嫌です!誰があなたと結婚なんか!!」
足が痛むのを堪え、一歩一歩確実に下がるルナ。
「そうか・・・。ならば・・・」
右手を空へと上げる。瞬間、その手に空間が湾曲したような球体が現れた。
「今一度・・・心を折られ我に服従するがいい!」
それをルナへと向けるバエル。
(あれは・・・闇の炎!?あれに当たったらいけない・・・!)
咄嗟に避けようとした・・・が、ここでルナに異変が。
「あっ・・・っつ・・・」
捻った右足を忘れて走ろうとしたため、転んでしまう。そして迫る炎。避けることもできず・・・
「きゃあああああああっ!!」
闇の炎を直に浴びてしまう。そして吹き飛ばされてしまい、地面を転がる。
「無様だな、盗賊公爵。威厳どころかその動きすら失ったか」
「う・・・ぅ・・・」
立て続けに闇の炎を浴び、転がされるルナ。最早されるがままだった。
(・・・誰か・・・助けて・・・!)
今のルナには、誰かの助けを願うだけしかできなかった・・・
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「ちくしょー、売り切れって聞いてねぇよ・・・」
欲しかったライトノベルは売り切れ、漫画も次回入荷が未定という散々な事態だった。
「・・・これ以上は何もないだろうし・・・ってなんだあの焦げ跡?」
遠目に焦げ跡を見つけた。しかも車が急ブレーキをかけたような跡じゃない。火を着けたその後・・・みたいな感じの。
『・・・ぁぁ・・・っ・・・』
「・・・声?」
うっすらとだったが、声が聞こえた。それが誰のかは聞こえないが、何か大変なことが起きているのだろうと思う。画、下手にかかわるのもな、と思った俺は放置することにした。
「・・・帰るか」
と踵を返した時だった。
「きゃああああっ!!」
突然目の前に人が飛んできた。・・・よく見ると・・・同じ学校の制服。所々焦げ、燃え尽きてか下着が見えている部分もあった・・・
「お、おい!大丈夫か!?」
同じ学校、ということで思わず声をかけた。長い銀髪、真っ白な肌・・・もしかして・・・
「さ・・・榊・・・君・・・?」
「ヴェイル・・・フォール・・・!?一体・・・一体どうしたんだよ!?」
「に・・・逃げ・・・て・・・」
ヴェイルフォールの口から発せられた「逃げて」の言葉。その意味が分からずいた時だった。
「ほう・・・人間風情が此処にいるとはな・・・」
傲慢な、他人を見下したかのような声が聞こえた。
「てめぇ・・・誰だよ!?」
「人間風情に名乗る名などないわ。我はそこの女に用がある。今すぐ消えろ」
さっきからアイツの言葉に混じっている『我』とかの偉そうな言葉。もしかしたら・・・
「てめぇも悪魔か・・・!」
「・・・ふん、貴様のような人間が悪魔を知っているとはな・・・。落ちぶれたものだ、存在を知られるとは・・・」
やっぱり・・・そうだった・・・
「特別に名を教えよう、人間。我が名はバエル、ソロモン72柱の序列1位にして魔王。そこいらの一辺倒の有象無象とは一線を画す悪魔ぞ」
ソロモン72柱序列1位・・・こいつが狙っているのはヴェイルフォール・・・やっぱりそうか・・・!
「・・・ヴェイルフォール・・・お前はやっぱりソロモン72柱序列6位のヴァレフォールか・・・!」
「・・・」
ゆっくりと、だが確実に顔を背けた。その行動で分かる。当たりだと。
「学友が悪魔、しかも序列6位という存在。絶望しただろう?そのような存在が学友とは思うまい?」
バエルは俺にヴェイルフォールの本性を告げる。明らかに異端視しろ、嫌えと言わんばかりに。しかし、俺は自分の中に怒りがふつふつと沸いてくるのが分かった。そのことを黙っていたヴェイルフォールにじゃない。俺が今キレたいのは・・・
「悪魔だからなんだってんだよ!」
「・・・?」
目の前の不遜な態度しかとれない野郎に、だ。
「ほう・・・?人間如きが我に意見するか」
「だ、ダメ・・・です・・・!逃げて・・・ください・・・!」
「・・・ヴェイルフォール、お前が悪魔だって関係ねぇよ。どんなやつだろうと、同じクラスのやつはクラスメートなんだからよ」
ヴェイルフォールに言い切る。俺の周りにも悪魔はいる。だが、普通に学生やっている。例えソロモンの悪魔だといっても、一人の女子なんだから・・・
「だから・・・」
「・・・む?」
ゆっくりと立ち上がる。そして・・・
「絶対に・・・ヴェイルフォールを守ってやる!テメェは・・・俺が殴って二度とヴェイルフォールに近づけられないようにする!!」
バエルに盛大に啖呵を切った。
「・・・面白い、人間風情が我に戦いを挑むか!」
バエルと対峙。やっぱり序列1位だけあって威圧は半端ない。だが・・・負けられない・・・!ヴェイルフォールのために・・・!
「テメェには・・・ぜってぇ負けねぇ!!」
「我に歯向かうこと、それ即ち愚ということを、その身を持って思い知るがいい!!」
次回は敏豪VSバエル回です。ボロボロになっても立ち向かう敏豪に、ルナは何を思うのか?
アンケート、まだまだ受け付けてます。感想もお願いします!!
ついでに補足。
ソロモン序列1位のバアルは、バエルとも呼ばれており、今回はその呼び方を使わせてもらいました。「果敢、復讐、決意、高慢、野望、恥、感性、聡明」を司る魔王です。
ソロモン序列6位のウァレフォルはヴァレファールやヴァラファールなどとも呼ばれるため、ヴァレフォールという呼び方を使わせてもらいました。「盗賊公爵」の異名をもち、「 格闘技、謀り、失意、悲しみ、物品の欠乏 」を司る堕天使です。