観察6:日曜日の約束
「ねぇとーくん。今度の日曜日暇?」
放課後。いつものように遊び、休憩にと入った喫茶店で瑞菜はそう聞いてきた。
「今のところ用事は入ってないな」
永野のところのバイトも最近は音沙汰無いし、紘輔さんのところのバイトはいつもいきなりだが用事があれば断ることもできる。
「じゃあ、とーくんの休日を予約してもいいかな?」
「そりゃ、もちろん」
こころに言われていろいろ考えたが、結局オレ自身がどう思ってるのかとかよく分からなかった。ただ、瑞菜のことを何よりも優先しようと、そう決めた。
「あはは、もう少し悩んでもいいんだよ?」
「悩むって言われてもなぁ……特に断る理由が思い浮かばないし」
「んー……じゃあもし雪奈ちゃんが日曜日一緒に遊ぼうって言ってきたらどうする?」
「先約がいるんだ。普通に断るよ」
「先に約束してたのが雪奈ちゃんだったら? 私の誘いは断った?」
「……分からないな。瑞菜がただ遊びに行こうっていう誘いだったら断ると思う」
けど、もし何か大切なことだったら雪奈には悪いが……。
「あはは……そっか。でもありがとう。日曜日はよろしくね」
いつものように笑う瑞菜。オレにはやはりどこか無理しているように感じられて仕方なかった。
「というわけで、日曜はでかけるからそのつもりでな」
夕食。食卓を一緒に囲む居候と半居候にオレは放課後での瑞菜との約束を告げる。
「却下だよ」
「却下を却下」
「むぅ……」
「むくれないむくれない。あたしがちゃんと遊んであげるから」
わかりやすくむくれる雪奈をこころがなだめる。
「むぅ……なんだか子供扱いされてる気が……」
「気のせいだろ」
「気のせい気のせい」
「うぅ……いろんな意味で納得いかない」
拗ねた様子だが、文句を言うのはそこまでにして雪奈は食事を再開する。駄々っ子に見られるのが嫌だったとかそんな感じだろうか。
「でも瑞菜さん、なんの用事なのかしらね?」
「さぁな。いつも一緒にいるのにわざわざ日を決めて約束取り付けてきたんだからそれなりに大事な用事なんだろ」
「くすくす……もしかしたら告白されたりするかもね」
ぴくっと雪奈が反応を示す。
「ないない。……たぶん」
瑞菜の考えてることはいまいちつかめない。感じれる部分はいくらかあるんだが。
「あるかもよ? 最近のあんたと瑞菜さんなんかいい雰囲気出てきてるし」
ぴくぴくと雪奈が反応を示した。
「それは……まぁ否定はしないけど」
少しだけ付き合ってた頃の雰囲気が出てきた気がする。それでも一線を超えるきはしないが。
「もしかしたら告白してそのまま勢いで……」
ぶるぶると雪奈が震える。
「…………お前、雪奈で遊んでるだろ?」
「あ、バレた?」
「お姉ちゃーん」
情けない声を出してこころに抗議をしている雪奈を眺めつつ、オレは食事を再開した。




