観察5:昼ドラ娘
「おかしいんだよ」
「ん? どうしたのよ雪奈?」
「もうお兄ちゃんと3日も会ってないんだよ」
私の誕生日からずっと会ってない。
「気づくのに3日は長すぎるわね」
「? 気づくって何が?」
「自分で言ったでしょうが。おかしいって」
「んー……もしかしてお姉ちゃんは何か知ってるの?」
「知ってるも何も、雪奈も気づいたでしょ?」
「……もしかして、お兄ちゃんが私を避けてる?」
「もしかしなくてもね」
「……どうして?」
「知らないわよ。あの不器用少年の事なんて」
「むぅ……何か言ってなかった?」
「自分は距離を置くから雪奈の事を頼むって。……本当に比喩じゃなく距離を置いてるから笑えるわね」
私は全然笑えないけど。
「誕生日の日はあんなに優しかったのに……」
「そう言えば詳しくは聞いてなかったわね。あの日はどんな感じで過ごしたの?」
「膝枕してキスしてプレゼントもらったよ」
「……それだけ?」
「うん」
簡潔に言うと。
「というか……キス? それってマウスtoマウス?」
「うん」
はっきり言うと。
「……雪奈が今日まで気づかなかったのも分かるわね」
「それで私はどうしたらいいのかな?」
「いくつか選択肢があるわね」
「それってなに?」
「1:俊行を監禁して素直になるように調教
2:俊行を諦める
3:俊行殺してアンタも死ぬ」
んー……難しい選択だよ。
「とりあえず3かな」
「……流石のアタシも予想外だったわ」
「え? なんで?」
昼ドラじゃこれが普通だよね。
「……………………」
「それじゃあ行ってくる」
「行くってどこに?」
「お兄ちゃんの所に」
「何しに?」
「選択肢3を実行するために」
「……勘弁してよ」
「? どうしたの?」
「なんでもいいから冗談はほどほどにしなさい」
「冗談って何が?」
「……もしかしてまともなのってアタシだけなのかしら?」
お姉ちゃんは何を言ってるのか分からない私だった。