表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
妹?観察記録  作者: 河上 誤停
ツンデレ?編
153/165

観察16:それぞれの想い

「ああは言ったものの……あれでよかったのかね」

ばふっとベッドに倒れ込みそう呟く。


『だって……あたし、もうどうしたらいいか……』


「どうしたらいいか分かんないのはオレの方だよ……」

今回のことだけじゃない。わからないのは全てだ。今まで分かっていたはずのことさえ自信がなくなってしまった。

(……そんだけ、こころに頼りきりだったってことだよな)

だからこころが崩れてしまえばオレも調子が狂う。

「ほんと……どうしたらいいのか……」

今のオレはうじうじと悩み袋小路に入るだけだった。

「あー! もうやめ! とりあえず寝る!」

ヤケクソ気味にそう言い電気を消して目を閉じる。

「……って、メールか」

マナーモードにしている携帯が揺れる。見ればメールが一件届いていた。

「瑞菜からか……内容は……」

メールを開き内容を確認し、そして返信をする。

そうした瑞菜とのメールのやり取りを何度か繰り返した。



「……俊行、今頃なにやってるかしら」

ばたんとベッドに倒れ込みあたしはそう呟く。

「今日は流石に俊行の所にいけないよね……」

というより怪我が治るまではいけるはずがない。

(……あれは結局あたしのわがままなんだから)

俊行と対等でいたいって思う傲慢な願い。でもあたしはそのままじゃ対等なんて思えないくらい自分が許せなくて……そのために俊行に罰をもらった。

(それが何よりも俊行を苦しめてるって分かってるのに……)

俊行の優しさに甘え続けた。だからもし今回の事故がなくても、あたしが俊行の傍にいる限り同じことが起きただろう。

(あたしは罪を重ね続けているんだから)

どちらにしても罪を罰で贖いきれなくなった今、あたしが俊行と対等でいることなんてできない。だから俊行に罰を求めるなんてわがままにもならない。

「……寝ようかな」

最近はいつも俊行の所に向かうか、そうでなければ何か用事をしていたからこう早く寝るのは久しぶりだ。

「……おやすみ」

電気を消して目を閉じる。そして一つのことを思ってしまう。

どうして自分が俊行のことを好きになってしまったのかと。

そうでなければこうして悩むことも……間違いを犯すこともなかっただろうにと。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ