第7話 新たな出会い→台湾ドーナツ
土曜日の午後2時。
町を歩く1人のJKがいた。
彼女の名前は一ノ瀬ミコト。
とある目的のために隣町まで訪れていた。
昨日、何となく眺めていたリール動画。
すると流れてきた。
隣町に新たにできたという台湾料理のカフェの紹介。
スワイプする手が止まった。
1つのスイーツ。
食べてなくても分かってしまう――
[これを食べれば、しあわせになれる♡]
彼女はいてもたってもいられず、それを食べに来たという訳である。
スマホのマップを見て目的地へ到着する。
長蛇の列ができていた。
当然、並ぶ事は分かっていた。
だがしかし、今の彼女にとってそれも一種の楽しみとして来ていたのである。
1時間半後、ついに店内へ。
彼女はすぐに店員を呼ぶ。
そして一言、
『台湾ドーナツをください』
店の看板メニューであり、彼女の目的の一品。
スマホで時間を潰していると、思った以上に早く来た。
想像以上だった。
それは動画で見ていたサイズとは似ても似つかなかった。
皿を埋め尽くすほどの大きさであり、片手でギリギリ持てるか怪しいほどのサイズだった。
何よりビジュアルである。
油でカリッカリに揚げられたドーナツを粉糖やきな粉で味付けしており、その姿はまさに圧巻で凶悪なビジュアルをしていた。
ミコトは食べ方が分からず、一瞬だけ困惑した。
結果、両手で思いっきりかぶりついた。
[サクッ]
懐かしい感じだった。
外は想像していた通りサクサクとしていたが、中はドーナツ本来のふわふわ感ともっちり感を兼ね備えていた。
懐かしさの根本を思考する…
そうだ!
かつて給食で食べた揚げパンだ!
きな粉と砂糖でコーティングされた味もそれを思い出させた。
かつての記憶と今の感覚がリンクしたのである。
食べる口が止まらない。
食べれば食べるほど、口の中が幸せで満たされる。
そして、不意に出る――
『しあわせぇ♡』
待つのは長かったが、食べるのは瞬間であった。
彼女は思い出したかのように、スマホ内のフォルダに先程撮った台湾ドーナツの写真を入れる。
フォルダ名:[ルナ・モモと食べに行くやつ]
彼女は食べる為に今日も生きる。




