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女子高生、ただチルく飯を食う。  作者: 片桐 りのん


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第1話 肉まんvs豚まん

 JKたちの1日は長い。


 午後7時、聖央女子高等学校の1年2組は明かりが灯っている。

「しゃあ!やっと帰れるぅ!」

 茶髪ウルフカットのJKは、テンション高めに叫んだ。

 隣で本を読んでいた黒髪ロングが口を開く。

『そもそも、ルナが試験で赤点を取るから…』

「ミコト、そんな言うなよぉ」

 そう言いながら、ルナは机にうなだれる。

『それ提出して早く帰るわよ』

「はーい」

『ルナ、アレ起こして』

 ミコトは、後ろの席で地面に寝袋を敷いて寝てる金髪ポニテを指差す。

「モモぉ、終わったから帰るぞ!」

“う〜ん、分かったぁ”

 そう言うと、モモはモソモソと寝袋から出てきた。

 10分後、無事にルナは追試の合格を認めてもらえたそうな。


 さてさて場面は移り変わって学校からの帰り道。

 例の3人は人通りがまばらな道をダベりながら帰っていました。

「外国人に道聞かれたからさ、とりあえず知ってる単語で応戦したって訳よ」

“その単語って、なんて言ったの〜?”

「えっとね、‘エクスキューズミー’とか‘グーテンターク’って連呼した!」

『アンタが尋ねてどうすんのよ…』

“ハハっ、さすがルナっち!”

“反応はどうだったの?”

「向こうはねぇ、なんか納得してどっかいった!」

『それはホントにどういう事なの…?』

 そんな事を話していると、モモがこう言った。

“モモお腹減ったかも〜”

「あたしも!」

『うーん、それじゃあ…』

 ミコトは周囲を見渡すと、交差点の向かい側に見慣れた建物が目に入った。

『あそこのコンビニに寄るわよ』

 彼女たちはコンビニへと向かっていった。


 店内は思ったより暖房が効いていて、避寒地として最適だった。

 ルナたち3人はお菓子コーナーで相談している。

“何を買おっかなぁ〜?”

「期間限定のシェイクは飲んだしなぁ」

 なかなか意見が揃わない3人。

 するとミコトが、

『あっちはどう?』

 レジ横のホットスナックを指差す。

「おっ、いいじゃん!」

“もちろん、アレにするよね?”

「おう、アレだよな!」


「豚まん」“肉まん”

「“でしょ!”」


 一瞬、時が止まった。

『…また始まったぁ』

 ミコト、額に手を当てうつむく。

「アレは豚まんでしょ?」

“何言ってるの、肉まんって書いてるじゃん〜”

「いやいや、豚が入ってるから豚まんでしょ」

“そんなの分かんないじゃんね?”

「ぶーたーまーん!」

“にーくーまーん!”

 冷える店内、沸く2人。

『どっちでもいい――』

「“よくない!”」

 どんどんヒートアップするディベート。

「じゃあ、ミコトはどっちなの?」

 急に振られるミコト。

『…私⁉︎』

“ミコトっち、どうなの?”

 審判の結果は⁉︎

『私は…肉まん派かなぁ』

 喜ぶモモに、落ち込むルナ。

“ほら、ミコトっちもそうじゃん!”

「くっそぉ!」

 ミコトは、なぜか恥ずかしい思いをしながら

『はやく買うぞ…!』

 と急かしていた。


 結局、3人はコンビニ外の駐車場でアレを食べる事に。

『ルナ、いい加減機嫌直しなよ…!』

「…納得いかないもん」

“今日はモモの勝ちじゃんね♪”

 嬉しそうに頬張るモモと、ハムスターのようにチマチマ食べるルナ。

 ミコトは暇つぶしにアレについて調べていた。

「ミコトぉ、それ食べないの?」

“早くしないと冷えちゃうよ?”

『お前らの為に…って、あった!』

 彼女は2人にスマホの画面を見せる。

「えっと、なになに…」

“『肉まんと豚まんの呼び方の違いについて』の結果?”

『…どうやら関西では豚まんが主流で、関東では肉まんがメジャーらしい』

『つまり、だ』

“『ルナっちの親の出身が大阪とかの可能性がある』、って事かにゃ〜?”

『そう!』

 落ち込んでいたルナが、一言こう言った。

「パパが大阪出身だった…はず!」

『“やっぱり!”』


『じゃ、いただきます』

 ミコトはひと段落したから、やっとアレを一口頬張った。

[カプッ]

『う〜ん!肉まんと言えば、このもっちりとした皮だよね!』

 さらにもう一口。

『そして、ジューシーな豚ひき肉と玉ねぎの甘みのハーモニーがたまんないよぉ!』

『…しあわせ♡』

“ルナっち、ミコトってさ――”

「モモ、言いたい事は分かってる」

 2人は心の中で叫ぶ。

「“食べてる姿、可愛すぎでしょ!”」


 夜も夜、夜更けの帰り道。

「ねぇミコト、モモ?」

『なに?』

“どうしたの?”


「あたし、3人でいるのが1番楽しい!」

『急に何だよ』

“今さらって感じよね〜”

「『“ハハハッ!!”』」


 これは、彼女らのチル〜くも儚い青春の記録を綴った日々と飯の短編集。

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