交戦⑤
ユカタは子供の頃から、魔物を嫌っていた。
それは、実はユカタ自身が魔物の血が混じっていたからだ。
ユカタの実母はハーフオーガだった。
父の話では、旅先で奴隷の様に扱われていた母を救ったのがなりそめらしいが・・・
母は、外見は小さな角がある程度で・・・体格も普通の女性だ。
ま〜多少は人より怪力なのは間違いないが・・・その為、母は常に被り物をして溶け込んでいた。
ユカタは、それを知られるのを恐れていた。
聖国での、亜人(この場合は魔物の血が混じった者を含む)の扱いの悪さを嫌と言うほどに見てきたからだ。
亜人は、よほどの才能とコネがなければ、聖国ではまともな生活は出来ない。
確かに商人や傭兵団に所属したり、冒険者に成っている者もいるが、奴隷階級と言っても変しくはない立場なのは変わりはない。誰かの従になるしか生活は出来ないだろう。
(だから、周りの皆に《ソレ》を知られる訳にはいかないんだ!)
魔物に対して非情な行動を取れるのは、自分が魔物の血を引いてる事、母の正体がバレる事を恐れてなのだった。
(なのに・・・よりによって救助しに来た村人が魔物だったとは・・・)
ラムトス城でようやく対面が出来た住人を見て、ユカタは脱力とガッカリしてしまった。
「ほ〜そなた等の半分は、この真実を知らなかった様な表情じゃな?」
仮面に包まれたラムトスの声が笑っている。
「そなた等の方ではどんな話に成っとるのかは知らんが・・・あの村は数十年前に人間達が《生贄》と言う名の、食い扶持減らしとして、こちらに送り付けて来た女性達が心優しい?魔の者と結ばれて作った村じゃよ?」
どうやらラムトス城では、その話は行き渡っている真実の話なのか、脇に居るオーガナイトも笑っている。
「あの村の領主は確か、中卿から小卿に格落ちたカザックという男だろう?」
ラムトスの問に、ユカタは頷く。
ユカタの知る情報なら、汚職疑惑をかけられ有耶無耶なまま地方に飛ばされる筈が何故かチャンスとして、魔王ラムトス城下の偵察を命じられた・・・その情報の報酬として?あの村の領主になってしまったのだ。
「・・・だからこそ、私は不正が無いか確認をする為に派遣され・・・」
だが、その途中で急遽にあの村の住人の奪還を命じられたのだ。
「・・・あの村の火災、タイミングが良過ぎるとは思わなかったのか?」
そのラムトスの言葉に、確かに最初から違和感を感じている事が表情に出た。
「・・・確かに私も・・・この《事件》は変しいとは思っていた・・・だが・・・まさか、この私が《魔物の血を引く者》を救助する為に魔王城まで・・・」
すぐに『魔物の血を引く者は知らぬ!』と、ユカタは全軍で引き返し、あの村の火事の調査を始めた方が良いと考えたが・・・
「・・・お話中、失礼します。魔王ラムトス様、至急にお伝えせねばならない事が・・・」
そう言って入って来たのは、ユカタが追い掛けて来たゴブリンライダーのリーダーのホブ?ゴブリンだった。
「我々を追っていた300の兵の他に、新たに1000の騎士が確認されました・・・こちらに攻めて来てます」




