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52 第十三独立戦隊

 花見の翌日、ミゲールからの招集がかかった。どうやら例の作戦についてのようだ。


 ブリーフィングルームに入るとルシン、ファロム姉妹は既に座って待っていた。コレットは少しだけ遅れて到着。最後にジャンヌとソニアが入ってきた。


「全員揃ったな。ではブリーフィングを始める」


 椅子があるにも関わらず、テーブルに腰をかけるとミゲールが話し始める。


「まず、最初に。このメンバーは正式に部隊として扱われる事になった。第十三独立戦隊。これが部隊名になる」


 ミゲールが全員を見渡しながら書類をバサっと机に置くといくつもの紙が散らばり細かに書かれた資料が垣間見えた。


「まぁ、要は扱いにくいお前たちは他所の部隊に入れれないから独立部隊っていう名前をつけてまとめておくらしい。一応、今までの実績を加味されてはいるらしい、がな」


 確かに、コレットやソータはかなりの異端児であり、ミュータントなんかは異分子でしかない。よその部隊には任せられないし扱いにくいだろう。


「昨日、伝えたようにムーカン山の奥で索敵、偵察をおこなっていた部隊の消息が絶った。遭難の可能性もあるがガイアと遭遇した可能性も捨てきれない」

「遭難?一部隊が?」


 思わずソータは声に出して言ってしまう。挙手もせず意見をしたソータをミゲールはジロリと睨みつけた。


「あの辺りは大戦当時の生物兵器や凶暴化した野生生物がそのまま放置されていてな。だからこそ、一部の召喚獣と区別がしにくいのではないかと危惧してたのだが」

 珍しくまともに話を聞いているコレットを見ながら言葉を続ける。


「アイツが見分けがつくというので、かなり楽になるはずだ」


「見分けはつくけど、召喚獣を倒したら相手にバレるのよ。リンクが切れる程度だけど、いなくなったのは分かるから怪しまれるわ」


 アイツ呼ばわりされ、机の前で眉をひそめたコレットはその不遜な呼び名に膨れっ面の様子だ。


「それほど遠くまで召喚獣を動かせないだろう?奴らが近くにいるって事だからな。それだけでも十分だ」


 ルシンがおずおずと手を挙げると、自信なさげにやや小さめの声でミゲールに質問する。


「すみません、ガイアがいる前提の話しに聞こえるのですが、消息を絶った部隊からそのような情報があったのでしょうか?」


「ない!が、うちの部隊が生物兵器如きに遅れをとるとはあまり考えたくないのでな」


「Ωって可能性は?前回、街まで来ていたのが一部隊だけとは考えにくいし」


 コレットの発言にミゲールはフムっ、と腕を組んで思案する事数秒。


「ないとは言えないが、限りなく低いな。アイツらもかなり数が少なくなっているからな。そうそう出会える事はない」


 完全な勘で動いているらしいミゲールにさすがのコレットもは更に眉をひそめているがミゲールは余程自信があるのかその方向で作戦を伝えていった。ファロムはすっかり退屈しているようで隅っこで一人遊びをしていた。

 要は部隊捜索と救出、もし遭遇すればガイアは殲滅するというのが任務の内容になっていた。今まで通りに単純明快であり、山の中という事なら前回のように誰かに目撃される事もないだろう。


「……という流れになる。何か不明な点があればジャンヌ少尉に確認するように。あとソータ」


「はいっ!」

 ヤバっ、後半ちゃんと聞いてなかったのがバレたか。


「今回の作戦は僻地になるから、普段より重武装が可能だ。ソニアとよく相談して搭載兵器を検討するように。以上、解散」


 皆それぞれに部屋から出て行くがソータはソニアにぐいっと手を引かれる。


「さっ、私達のミーティングをしましょうか」



 ラボに入るとソニアがうきうきした楽しげな顔で振り返る。


「今回は普段と違う感じだからね。ちょっと色々用意してみたのよ」


 そういうと、奥からなにやら色々と引っ張り出してきた。ソータが普段では見た事がないものばかりの物ばかりであり、その多くが新しく武器のようだ。


「ソータ君が以前から言ってた新兵器のアイデアとか既存の物の改良とか含めて作ってみたの」


 内蔵兵器と思わしきパーツと剣や斧も置いてある。

「半分は新兵器の実戦を兼ねたデータ収集が目的だけどねー。なにせ、サイボーグ兵士ってソータ君しかいないのよ。大戦時の詳しい資料を手に入れるのも大変だから自前で作るしかなくて」


 だから色々試してみたデータが欲しいというわけのようだ。どんな物も使って見ないことには分からない事は多いので仕方ないが、なんだかんだでソニアはやはり技術屋のようだ。


「あと、ネマに戦闘時も含めてもっと、積極的にバックアップが出来るようにお願いしてみて。使い過ぎはよくないかもしれないけど、過去のソータ君の戦闘データを元に適切にサポートしてくれるはずよ」


 ネマのサポートがあるとかなり助かる事は多いはずなのでその点はありがたいと思う。今の所、悪い影響は一切ないので心配しすぎたと思うのだが、過去が過去だけに仕方ないのかもしれない。


「ソータ君の身体は私達が全力をあげて作り出した物だからちょっとやそっとでは壊れないわよ。心配しないで」


 自慢げにVサインをするとソニアは積み上げた義手の一つを持ち上げる。


「これなんかどうかな。前に聞いてのを改良してみたんだけど……」




 長い時間をかけ一通りの説明が終わったソニアが満足した顔で立ち上がる。対照的にソータはげんなりした表情だ。


「今回のは試作段階だから見た目まで手を入れれてないのよ。性能は心配ないから安心して」


「これ何?」

 所謂、ロングソードが置いてあったので手に取ってみたが重さが普通のものより遥かに重いようだ。


「ヒートソード。ナイフを大型化してみたのよ。必要エネルギー量が多いのがまだ課題案件だけど人より大きい相手には有効でしょー」


 確かにナイフではどうしても切断範囲も攻撃範囲も小さく大型の敵には十分に通用しなかった?街では子供が帯剣していると目立ちやすいが外なら問題ないだろう。

 

「こっちは?」

「そっちは内蔵武器よ。それは指先からマシンガンが撃てるの」

「すごい、これにスタンナックルもつけたら遠近両用でいいんじゃない」

「あー、ダメよ。内蔵武器は各肢体にひとつだけ。片腕には一つだけよ」


 さっきの長い説明の中にあったようだが後半、聞き流していたソータは覚えていなかった。


「あと、見た目があまりにも酷いのは置いてないから。ソータくんがブサイクになるのは許せないの!」


 フンス!と鼻息荒くいうソニアはそこは絶対に譲らないようだった。ソータとしてもそこまで気にしていないとはいえ、明らかに異なる容姿になるのは流石に抵抗があった。そして、格好いいならそれに越した事はない。


 さてさて、どの兵器がおもしろいんだろうか。

 いくつも置かれているパーツを前にオモチャを見ているようなワクワクした気持ちで一つずつ手に取っていった。

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