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一冊目

この物語は「カーデルド」という人物が書き

後世に遺した。日記には人間達の人生が細かく記されており、この日記のお陰で解決したこともある。

これはその中の一人日記を書いた本人「カーデルド」目線での話である。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「追いかけろ!!」

馬の走る音と男達の怒鳴り声が聞こえる。

「かならず捕まえてヤツの血液を採るんだ!」

「了解しました。クローヴ様…」

「はっ!行くのだ。進め!‼」

馬の足音と水溜りを踏む音が不規則に鳴る。その音は心地の悪いものであった。


「誰か…助けて…」

一人の少年が木の陰に倒れ込む

「ここら辺にあのガキは居るはずだ…。」

「必ずしも捕まえてクローヴ様に譲渡するのだ。」


3人、いや4人程度の鎧を着た兵士たちが周りを探索し始めた。


「誰か…」


少年は弱り果てている。綺麗であっただろう茶髪は泥で変色し、肌も血液と泥で汚れている。


「おい!何かあの木陰から物音がしたぞ!」

何人かが騒いだ。


「ランナウェイさん!木陰になにか居るようです…」

一人の兵士が先程の()()()()という男に命令されていた男に知らせた


「ご苦労だ。これでクローヴ様は強大な力を手にすることができる。」


先程の少年は今にも死にそうだった。

助ける者はいない

誰一人として


「た…け」


その時だった。先程から降っていた雨が一瞬消えたように感じた。

兵士達に稲妻が落ちた。目にも止まらぬ速さだった。


辺り一帯は黒焦げになり 兵士たちの姿は判別が付かないほど焦げていた


「う…ぅん。」


声を上げたのは先程の少年であった。

木が彼を稲妻から奇跡的に守ったのだ。


「いまの音は?」


少年は衰弱している。


「誰かぁ…誰かぁ…」


弱った声で言う


ザッ ザッ と草を掻きむしる音が聞こえ一人の女が来た

「あなた…どうしたの?そんな怪我…」


「助けて…ください。」


「何が起こったのか分からないけど…必ずあなたを助けますわ。」


8年後

「うーーん」

二段ベッドから一人の少年が降りる。


「おはよう。カーデルド。」


「おはよ。ロナウ。」


同い年くらいの少年同士が挨拶を交わす

「じゃあ行くかー」

ロナウという名の少年が言った


「うん。」

カーデルドが言った


階段を降りるとそこには透き通った肌 金色の髪 そして緑に輝く瞳を持った女性がそこにいた。


「あら、おはよう。カーデルド ロナウ」

「おはよう、母さん」

二人が言う。



カーデルドは汚れていた肌や髪の毛の面影もなく、綺麗な茶髪に、透き通っている肌 そして漆黒の瞳を持った。顔の整っている少年であった。


ロナウは母同様の金髪に少しニキビとそばかすがある肌、青色の瞳を持っている少年だ。


「ご飯、出来てるわよ?」

「ありがとう!母さん」


出されたのはシチューにパン、ミルクにサラダだった。


「いただきます。」


ロナウも同様に言った。


「美味いよ母さん!特にこのシチューがさぁ」

「あら、カーデルドはお世辞が上手いのねぇ」

「母さん、僕も美味いと思うよ。」


「ロナウも?二人が言うなら間違いないかしらねえ」

「うん!信じてよ!」


実際ホントに美味しかった


「食べ終わったら歯磨いて顔洗って学校に行きなさいよ〜」


「はーい」

「ご馳走さまでした!」


歯を洗いに行った。


「なあカーデルドー」

「なんだロナウ?」


「俺達の学校ってフツーだよなぁ」

「フツーってどうゆうこと?」

「いやだってよ。魔法とか剣術とか習わないんだぜ。勉学一本」


「まあ確かになぁ。でも正直勉学さえできてればいいと思うよ。」

「そりゃそうだけど…」


「この世界には偉大な魔法使いとか剣士とか沢山居るのに学者で成功した奴なんて“マリアン・ヒルート“くらいしかいないし。」


「ロナウって歴史が苦手なの?」

「え?なんでだ?」




沈黙がながれる。


「だってマリアン以外にもヤンキョースとかガンゴルとか居るじゃん。」

「あーそんなやつもいたなー?」


「結構有名だよ?」

そんなことを話すうちに二人は準備が終わった。


「はぁ…いくかぁ」

「そうだね…」


二人は少し怠い顔をして服を着た

「母さん。行ってきまぁす」


一足先に行ったのはロナウであった

「じゃあ僕も行ってきます!」


「行ってらっしゃい。2人共ー」

――――――――――――――――――――――――――――――

ロナウは短距離走が学年で一位だ。

そのおかげでとてつもなく速い。


ロナウがどんどん小さくなっていく。

「ロナウぅう…はぁ…はぁ…少し…待ってぇええ。」


彼の耳には届かない

「おぉおーい」


ついにロナウの姿が見えなくなった。

もう諦めた。ロナウにはついて行けない。


自分のほうが圧倒的に遅い

「はあー…最悪だよ。まじで。」


僕は一人で行くことにした。あんまり家の近い友人もいないし…


「そういえば…課題ってなんかあったっけかな。」

そんなことを考えながら歩く


「ちょっと待ってよ!猫ちゃん!!!」


なんだ?この声は?


「ねぇ!そこの貴方!猫を捕まえて!!」


僕にいってるのか?あの人


「ちょっと聞いてる!?」


猫が隣を走った。


「分かりましたよ。」


猫を抱きかかえる


「はぁ…ありがとう。うちの猫なのよ。この子」


自分と同じ色の茶髪、だけどすらっとした肩までくらいの髪の毛。顔は美人だけどまだ少し幼いように見えた。


「そうだったんですか。戻ってきて良かったです。」

「あなた、名前なんて言うの?」


「名前…ですか?」

知らない人に名前…教えたくないな


「ライオット・スメールです」

「ライオット?その制服についてるイニシャルはKだけど?」


何なんだこの人。僕は急いでいるのに

「ごめんなさい。急いでて…」

早くしろー


「あらそう?どこに急いでるの?」

はぁ?

「え、マーレイズスクールですけど…」


「そうね?後でお礼をするからまた会いましょ?」


二度と会わない。

()()()()()()()()()


あれは…杖…?


気づいたら僕はマーレイズスクールについていた


「おい、カーデルド…いつの間に来たんだ?俺より遅かったくせにー」


「僕もわからない」

「何言ってるんだ?おまえ?」


「いや、ホントに分からないんだ。変な女の人が来て“トラスフェリメント“って唱えた瞬間に ここに来た。」


確かにワープした。ここに


「冗談きついぜ?」

「いやホントなんだよ!」

「そうかよ。じゃあ良かったな!」


「うん。」


多分あれは魔法だ。体験したことはないけどなんとなくわかる。


なんとも不思議だった

生まれてこの方 魔法というのを直接見たことはなかった。いや、今回も見たわけじゃなく体感したわけだけど…


「でもやっぱり…僕も魔法とか剣とか使いたいなぁ。」


「そりゃあ男子全員の願いよ!でも最近は学者のほうが将来は安泰だって考えのやつらが増えてきてんだよ。」


「へぇ…だから学校も少なくなってるんだね。」


「お!おっは!キルロン!」

「おはよ!ロナウ!!!それにカーデルド!」

「おはよう。キルロン。」


キルロンは同じクラスの友達だ。気さくだし運動神経も抜群。完璧な男って言っても過言じゃない


「おはよローナウ♡」

ロナウにうっとりした声が話しかける。


「ミラコ!おっは!」

「ロナウったら今日もカッコいいね♡」


「あ、ありがとうな。」


ロナウはミラコ・コナスラという女子にうんざりしている。付きまとってきたりキスしようとしてくるらしい。

比較的顔は整っている方だが…性格がやばすぎて話にならない。


ガラ っと教室のドアが開く


「皆さん。おはようございます。」


先生のキルウィン・ドラスティックだ。眼鏡をかけており穏やか。最近結婚したらしい。


「今日の欠席はロッシーナだ。それじゃ皆さんがきちーんと学校に来ているかチェックするために出席確認をします。サボりは許さないぞ〜」


というのが毎朝恒例だ。ロッシーナは身体が弱いらしくあまり学校に来ていない。


出席確認が終わった。


「サボりはカズナリだけかぁ。また親御さんに連絡しないとじゃないか。」


「カズナリまたかよ。」


ロナウが耳打ちしてくる。

「噂では女とデートしてる。って噂あるよ。」


小声で返す


「だとしたらよぉ…その女も毎日休んでるってことか?」


「うん…そうだと思う。」


「ならロッシーナじゃね?あんま学校来てないし。」

「えー。身体が弱いんじゃなくて?」


「嘘ってのもあるぜ。」


「たしかにねえ。」

「明日!カズナリの家まで行って調査だ!キルロンも誘ってよ!三人で!」


「いいね!それ!何もなかったら…いつもの森に行こーぜ。」

「そうしよう。おーーーい!キルロン!!明日あいてるか?」


「モチのロンさ!!!」


こうゆうとこが少し嫌われている。


次の日


「みんな!準備はいいか!!!!」

ロナウが大声を上げて言う。


「いいけど…ホントにいいの?」

「んまあ確かに?ロナウは作戦かなんかあんのか?」

「いやねぇよ。でもとりあえず気になることは片っ端から片付ける!それが俺の生き方だ!!!」


ロナウはいつもこんな感じだ。


「ねぇ!!ロナウ!キルロン!静かに…」

「どうした?いたか?」

「なに!」


三人は木の陰から覗く。

「ふぁあ………」


カズナリだ。


「ん?あぁ…今行くよ…」


「だ、誰と連絡して…」


「ラーモンキ横丁でな?分かったよ。ほい、それじゃ」


ロ、ロッシーナだ。絶対


「ついていくぞ!!!」

「うん!!」



カズナリは妙にハイテンションで歩いている。


「なんだ?あいつ。あいつあんなキャラか?」

「違うと思うけど…」

「それより動き出したぞ。」


走り始めた!!?

「追いかけんだ!」





「おい…お前らいつまでついてくる気だ?」

「ば、バレてたのか。」


「後ろの二人も」

「俺達まで…」


カズナリにバレてた…何でだろう。

おかしい。


「ここは危ねえから早くどっかいけ。」


「危ないって何が?いつも通ってる道だよ?」


「今の時間はやばいんだ。理由は知らないだろうがな。」

カズナリは警戒している。


「お、ロッシーナ…大丈夫だったか?」

やっぱり!カズナリはロッシーナとデートしてたんだ!


「ラブラブじゃねぇかーー!な?言ったろ。カーデルド、キルロン!」

ロナウがドヤ顔で言う。


「ん?この人達って確か同じクラスの…」


「あぁ。カーデルド ロナウ キルロンだ。任務が忙しくて中々会えなかったろ?」


「あ、こんにちわ。私はロッシーナ」


ロッシーナは綺麗な白髪の長い髪の毛 ダイヤのように輝く瞳を持つ いかにもモテそうな感じの女子だ。


「いいから早く離れろって!!3人とも」

カズナリはデートを邪魔されたくないみたいだな。早く離れるかぁ


「待って…カズ君…もしかして…」

辺り一帯が物凄く揺れる。


ピキッと音がなり地面が割れる


「うぉあぁぁあ!!カーデルドぉおおお!」


「ロナウぅうううカーデルドぉおお!助けてぇ!!」


「落ち着いて!二人共!」


「そうよ…一旦落ち着きなさい…」


「あぁ…絶対にロッシーナと俺から離れるなよ。3人!」

カズナリが言う


「う、うん。」


カズナリとロッシーナはどうゆう関係なんだろう。この地震についても何か知ってるみたいだし…


「この力を持っていない無力な少年達よ。今、我の力に守られ。死ぬことを許さん。“ディフェンデレ”!!!」


身体が軽くなる。多分これも魔法の力だ。周りに結界みたいなものが貼られる。


「なに…これ?」


ロッシーナは答えた


「防御呪文ね。大抵の物はこれで防げるわ。」


「おおお、おい…あれみろよ。カーデルド…キルロン…」


「な、なんだよ。」

「ってなにあれ…」


そこに…あったのは、城と同じくらいのサイズの巨人だった。


「何あれ!!!カズナリ!」


「あれはビッグタイタンっていう怪物だ。この時間帯のこの場所に稀に出現する。」


あとから聞いた話だと、この()()()()()()()

ラーモンキ横丁の午後3時半にたまに出現するらしい。

性格は凶暴で放っておくとラーモンキ横丁壊滅だけではすまないらしい。


「おい!絶対に触れるなよ。アイツを怒らせるとこの星の危機だ。」


「お、おう。分かったけどあれはいったいなんだよ!?」


「そうだぞ!この化け物!」

「あとで私が説明するわ。二人もカーデルドを見習って大人しくしてなさい。」


二人はうなずく。

「ロッシーナ!お前はトドメさせ!俺が脚崩すから!!」


「分かった!信じてるわよ!」


「おう!詠唱の準備しとけ!」


魔法や剣に全く触れることを許されていなかった俺達には本で見た幻の世界が外界の魔法や剣だった。


おれ達が住んでいる街 ノールの街は魔法や剣を完全に断ち切っており、外からの旅行者は魔力や不審物が無いかをチェックされる。


その為、ここの子供は魔法や剣のことは迷信程度にしか知らず、知っているのは小説「ニックの旅行記」という本に書いてある程度の知識しか無かった。


そこにはノールから出た ニック・ソールという青年が外の世界で魔法や剣を使って世界を救う。といった架空の物語だ。


何故こっちにその本が来たかは分からないけど、この街のみんなはほとんどの小説を愛読していた。


「はぁぁああ!!!!!」

カズナリは異空間のようなものから剣を取り出しビッグタイタンに向かって走り出した。


「今日で貴様と会うのも10回目!!!貴様の特性などは理解した!今日で仕留める!!!」


カズナリが剣を振るう

バシュ!と鋭い音が鳴った後 ビッグタイタンの足首が切れた。


「ゔがぁあぁあぁああああッッッッ‼」


「うわっ!!」


轟音がなり皆耳を塞ぐ。


「待って!カズナリ君!アイツ!こっちに手を振りかざそうとしてる!!」


「待て待て待てって‼俺はただカズナリとロッシーナが付き合ってるかだけ確認したかっただけなんだってぇええ!!」


「俺だってそれに付いてきただけでやめてください!!!殺さないでぇえ」


「何言っても通じないよ!もう駄目なんだぁおしまいなんだぁ。」


僕達3人は最期の言葉を言おうとした。


()()()()()()()()()!!!」


ボン!!とビッグタイタンの腕が吹き飛んだ。

「何が…起きたの?」

血の雨が降る。

「ゔぅ…ギァァ。」


「死神よ。この悪しきものを罰し、そちらに連れて行くがいい。肉体よ!その魂を離れ消滅しろ!死ね(クレパ)!!!」



ビッグタイタンが消えた。


「はぁ…はぁ………こんなに………魔力消費の激しい魔法を連発したのはひさし…ぶりよ………。」


ロッシーナが倒れかける。


「大丈夫か。ロッシーナ。」

カズナリがロッシーナをささえた。


「今日のところはもう帰れ。明日色々説明する。」


俺達三人は自宅に帰宅した



―――――

1巻 終了

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