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7食目、麻婆豆腐辛さ☆1

 中華料理には、どんだけ辛い物好きなんだと伝える諺に似た言葉がある。


 ・四川しせん人は辛さを恐れず

 ・湖南こなん人は辛くとも恐れず

 ・貴州きしゅう人は辛くないのを恐れる


 上記のような言葉がある。言葉だけでもどれだけ辛いもの好きだと伝わってくる。

 そこで、この中にある四川料理で最も有名であろう料理を注文したお客様がいる。


「麻婆豆腐のBセット1、回鍋肉のCセット1入りました。辛さは両方共1でお願いします。それと、テイクアウトで焼き餃子を20お願いします」

「作るのでございます」

「フェイちゃんに任せなさい」


 麻婆豆腐は焼き物なので、焼き物担当は熊人族のガウンが作る。だけど、細かいところは手分けしたりする。

 麺やスープ担当の俺は2cmの正方形に切り分けてある木綿豆腐を2分程茹でる。こうする事で崩れ難く出来る。

 茹でた豆腐をガウンに渡し、それを調味料と豚挽き肉を既に炒めてある中華鍋に投入した。

 豆腐を入れる前に炒めた調味料は次の通りだ。豆板醤トウバンジャン豆鼓醤トウチジャン甜麺醤テンメンジャン、唐辛子の輪切りだ。

 豆腐を軽く炒め、チキンスープ、酒、塩胡椒を少々加える。一気に豆腐と挽き肉が赤く染まっていく。

 煮たつ頃合いに水溶き片栗粉を加えとろみを付ける。その上から辣油を回し掛け、花山椒ホアジャオを振り掛けて出来上がりだ。

 見事に赤く端から見てるこっちまで汗が吹き出そうになってくる。だけど、これで辛さのレベル1で一番辛くない。

 見た目よりもお子様が食べられるレベルに調整してある。レベルは1~5まであり、5までになると流石に悠真もダウンし、作った本人であるガウンですら火を吹き出す程にヤバい兵器へと化す。


「ガウン特製四川麻婆豆腐の出来上がりでございます」


 だけど、今回は辛さレベル1なので安心設計だ。お子様にも食べれると言ったが、子供の舌には少し辛く感じるかもしれない。

 だけど、辛さの奥には複雑怪奇な旨さとコクが押し寄せ虜になること必至だ。


 その麻婆豆腐が乗ったトレーには、他に餃子、ご飯、中華スープが乗り湯気が立ち上る。

 スンメイが、ちょうど来たようで器用に重さを感じないようにお客様へ運んでいく。


「お待ちどうなのよ。こちら四川麻婆豆腐のBセットになるのよ。辛さランク1になるのよ」

「あっ、ワタシです」

「ごゆっくりどうぞなのよ」


 お母さんが連れて来たようで可愛いらしい10歳にも満たない女の子だ。髪型はツインテールに纏めてあり、ピョコンと頭上に黒白の縞模様の三角耳が聳え立っている。

 スカートの裾からは虎縞の尻尾が覗き込み、四川麻婆豆腐が美味しいからか?尻尾が左右に振られてる。


「ハフハフ、旨っ!ちょっと辛いけど、手が止まらないのです」


 レンゲで豆腐と真っ赤なアンを一緒にすくい、口に運ぶ。口に入れた瞬間、豆腐はホロホロと崩れ溶けていく。

 そして、複雑に絡み合うアンの辛さの後から追い付くように言葉では言い表せない旨味がやってくる。

 これは最早味の芸術と言って良い程に口に運ぶ手が止まらない。

 1/3程食べ進めたところで、虎縞模様の女の子は、まだご飯と餃子に手をつけてない事を思い出した。


「全て食べてしまうところだったのです」


 白い粒々でフックラと炊き上がってるご飯を片手に持ち、そこにレンゲで麻婆豆腐をすくい乗せた。

 所謂、簡易的な麻婆豆腐丼の出来上がりだ。スパイシーなアンがご飯に染み込み真っ赤に染める。

 一見、行儀が悪い食べ方に見えるが、ここは大衆食堂、たまに立場を隠して貴族以上の方達もいらっしゃるが、基本的には一般国民━━━貧困の差を感じさせない様々な種族が来店している。

 その中では、むしろご飯に何かを乗せて食べる行為は目立たない。やってるお客様の方が多い。

 それに丼物というご飯の上に何かしらの具材を乗せてある料理が何品かある。なので、全然おかしくはない。


「ふはぁ~、このご飯(ライス)にマーボードウフに乗せると美味しい」


 尻尾をブンブンと振り回し、とても美味しいという表現を十二分に醸し出している。

 無我夢中でご飯と麻婆豆腐のコラボに手が止まらず、目一杯に口へ放り込み辛さから来る旨味を堪能し飲み込む。

 そう堪能してる間、額に汗が吹き出ては頬に伝い落ちる。いくら最低の辛味でも香辛料をふんだんに使ってるのは変わらない。

 2/3程食べ進めたところで虎縞模様の女の子は、水が入ったコップに手を伸ばし、一気に飲み干す。


「ぷっはー、ハァハァ……………ヒィヒィ」


 最低ランクの辛味でも女の子には辛かったようだ。舌を出しヒリヒリと沁みてるようで、一旦中断している。

 だけど、残りも食べる気まんまで数分経つと、また残りを食べ始めた。

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