ヲタッキーズ67 芳林パークの謎
ある日、聖都アキバに発生した"リアルの裂け目"!
異次元人、時空海賊、科学ギャングの侵略が始まる!
秋葉原の危機に立ち上がる美アラサーのスーパーヒロイン。
彼女が率いる"ヲタッキーズ"がヲタクの平和を護り抜く。
ヲトナのジュブナイル第67話"芳林パークの謎"。さて、今回は裏アキバの芳林パークで巨大陥没事故が発生!
地下のピラミッドが原因と判明しますが盗掘を狙う一味、異次元人、警察や秘密防衛組織が入り乱れて…
お楽しみいただければ幸いです。
第1章 公園のブラックホール
裏アキバにある芳林パーク。
アキバが萌える以前は、市場関係者が煙草を吸い散らかす公園だったらしい。
ソレが今では世界中のヲタクが"聖都のセントラルパーク"と呼び出す騒ぎ←
君もヲタ芸の練習とかしたコトあるょね?
「ママー!滑るから見てて!ねぇ見てぇ!」
「まぁ滑り台に登れたの?すごーい」
「わーい」
だが、午前中のパークはヲタクが知らない顔になる。
御近所系の遊び場、キッズとヤンママの聖地なのだ。
と、ソコへ…
「ハイ、ココから入っちゃダメだょ!パークの拡張工事ナンだ。来週には終わるからね」
「カッケー!わーい、ミニシャベルだ!この前、誕生日のプレゼントでミニカーを買ってもらった!」
「違うょ!アレは油圧シャベルが内向きだからバックホーだ!ドラグショベルとも言う」←
いつの世も男の子は"働く車"ヲタクだw
「さぁみんな、コッチに来て!今日は、路面を割る日だから近づかないでね。月曜の朝には、パークがもっと広がってるハズょ。ね?マリク」
「YES。雨さえ降らなけばな、トゥル」
「ありがとう。子供達に気をつけて工事をしてね!」
マリクはサムアップで応え、キッズに手を振る。
バックホーで舗装面を割ると路面に亀裂が走る。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「進化とは何か?ソレは種が生き残りを賭けて戦う、血塗られた道に他ならない!」
小鼻を膨らまし断言スル車掌服の女子。
ソレをリモート越しに見て溜息をつく。
「変化への対応を怠り、進化を拒んだ種には、滅びが訪れる。かつて地球を跋扈した恐竜の如し!」
「僕は恐竜に生まれたかったな」
「テリィたん、司令官代理に何か言われたの?」
あ、後ろ2つは僕とルイナ限定のチャットだ。
「ジャドーのレイカ司令官が月面のタプハベースで陣頭指揮をとられる間、司令官代理を拝命したマデラです(リモート全員が拍手w)。ありがとう。古巣に戻れて光栄だわ」
リモート挨拶は続くが、ルイナとのチャットも続くw
「古巣?この女子、前にジャドーにいたの?」
「市ヶ谷の宇宙作戦隊だって。ソッチでテリィたんとは会ってナイの?」
「ヤメてくれ。僕は、しがない第3新東京電力のサラリーマンだぜ?」
「あーらテリィたんが衛星軌道で何をやってるか知ってるわょ。首相官邸アドバイザーを甘く見ないで」
いつもメイド服のルイナは、史上最年少の首相官邸アドバイザーで、驚異的知能指数の、いわゆる天才だ。
「げ。とにかく!彼女が、ジャドーに来る前は何処にいたのか教えてょ」
「南極だって。物理、数学、天文学のお勉強をしてたらしいわ」
「ペンギンを先生に?」
ジャドーメンバーへの司令官代理の着任挨拶は続く…あ、ジャドーは、アキバに開いた"リアルの裂け目"からヲタクを護る、首相官邸直轄の秘密防衛組織だ。
「科学者の才能を活かし、ジャドーに活気を取り戻しましょう。さて、この組織に長くいて良かったと思うコトがアリます。ソレは、みなさんの秘密を数多く知るコトが出来た点です(笑い声w)」
「うわぁイヤらしいなw挑発的だょ!」
「テリィたん。進化は良いモノょ」
僕は"無精髭に覆われた"顔をしかめる。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「ルイナ先生。テリィたんは、地下トンネル?」
「はい。御就任おめでとうございます、マデラ司令官代理。科学重視の指揮官を心より歓迎します」
「昔は、和製ヒーローには必ず"博士"が付き物だったわ。鉄人の敷島博士、アトムのお茶の水博士、ガッチャマンの南部博士…科学は、人類が手にスル最凶の利器ょ。ジャドーは、もっと科学と連携を深めねばね」
就任パーティ?ジャドー司令部で、シャンパングラス片手のルイナと談笑スルのは…マデラ司令官代理だw
司令部がゲーセン地下にある関係で、メンバーは全員カモフラージュでゲーセン店員のコスプレをしてる。
マデラ代理殿は…車掌さんのコスプレだw
「司令官代理、全く同感です」
「ウレしいわ。もちろん貴女にも期待してるの、ルイナ先生。返事を聞かせてくれる?」
「終身アドバイザーの件、お受けします」
「素晴らしいわ。明日の宇宙戦略委員会から出て」
「わかりました」
ココで、やっとルイナは、僕がオンライン待機してるコトを思い出すw
「あ。マデラ司令官代理、コチラはテリィたん。私の元カレです」←
なんちゅう紹介だっ!そもそも付き合ってナイょ!
「マデラです。よろしくね」
「こちらこそ」
「1年半、南極で研究生活をして来たのょ。ペンギンを先生に」
げ。チャット読まれたかなwしかし、ロマンスカー名物のツインテ車掌のコスプレとは!どストライクだ←
「南極では、アイスキューブに閉じ込められた超古代の大気組成を分析して気候変動の確かな証拠を掴まれたとか?」
「惜しい。アイスキューブじゃなくてアイ"ズ"キューブょ。表向きはニュートリノ望遠鏡だけど…実はジャドーの新兵器なの。しっかりエンジニアのお仕事をして来たわ。とは言っても週に3度ダイヤル調整して…後は座禅を組んで瞑想してた」
「何か効果はありましたか?」
「組織を回す上での、大変重要な教訓を得たわ」
「ソレは何でしょう?」
「人材を無駄にするな」
スマホの中で、マデラ司令官代理はニッコリ微笑む。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
その頃、芳林パークでは。
「みんなー。そろそろオヤツょー!」
「えええっ?もっと遊びたい!」
「焼きたてクッキー、食べたくないの?」
一方、パークの片隅ではバックホーが激しく舗装を割って、路面に入ったヒビはドンドン大きくなり…
バックホーが最後の一撃を加えた瞬間、路面が陥没、突如生じた巨大な穴に全てが吸い込まれて逝く!
「キャー!助けて!」
「ママー!」
「吸い込まれる!何なのコレ?」
陥没した穴の中は真っ暗闇…いや、全くの漆黒の闇で距離感がナイ?さらにその闇が渦を巻き雷鳴が轟く!
「コレは…"リアルの裂け目"?!」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
1時間後。現場は警察、消防の車、重機でゴッタ返すw
"リアルの裂け目"の向こう側、つまり異次元に落ちたキッズの救助活動が秒を争い続けられる。
銀色のヘルメットに耐熱服、ボンベを背負った男達をクレーンで"裂け目"へ吊り下げる作戦だ。
救助隊員は、消防士にカモフラージュしたジャドーの戦闘工兵。
「恐らく"裂け目"に落ちたキッズは2名。"裂け目"のコンディションが極めて不安定で、もしも救助活動中に"裂け目"が閉じれば、キッズはおろか、君達も生きて秋葉原には戻れない」
「全員志願しました。準備次第、突入します」
「待って。コレ、ジャドーの担当なの?」
話に割り込むのは、万世橋警察署ラギィ警部…と思ったら、腰までアル漆黒の髪を振り乱して現れたのは…
「最高検察庁 次長検事のミクス。"裂け目"に落ちた者以外の状況は?」
「次長検事?他に病院へ搬送中のキッズ3名とキッズを救おうと"裂け目"に飛び込みかけて救助された女性の容体が芳しくありません。しかし、検察の幹部がナゼ現場に?」
「ケルベ建設は、最高検の捜査対象ょ。政財界を巻き込んだ賄賂、電信詐欺、手抜き工事…政権を揺るがす疑獄事件に発展スル可能性がアル」
「外神田全域に事業所がアル大企業ですょ?あ、所轄のラギィ警部です。万世橋警察署 特捜班」
ガッチリ握手を交わす"鉄の女"達。
今回の"察"系女子はヤバそうだw
「ケルベ建設は、芳林小学校の建設や運動場を請け負ったが、その時は詐欺では立件出来なかったの」
「でも、今回は犠牲者も出たし」
「世間の注目を集めた。一気に叩くわょ!所轄には、厳重な捜査を依頼したい。目下、殺人罪での起訴は保留中。先ずは証拠を固めて」
「わかりました。引率ヘルパーの女性は多分助かりません。先ずは工事に手抜きがなかったかを調べます。
先ず掘削作業員から…」
「彼に非は無い。ケルベ建設の手抜き工事が原因ょ!」
「アラ嫌だ。ホント恨み節なのね」
「何か言った?所轄は黙って捜査して…ケルベの連中は、罰金を払えば済むと思ってる。今回は、絶対に実刑で責任を取らせるわ!」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「俺は、ボランティアだ。好意でパークの拡張工事を無償で請け負った。運動場には最初から亀裂があったンだ!」
ラギィ警部の取調べに、バックホーのオペレーター、マリクは必死に弁明スル。
聞けば、遊んでいたキッズの父親とかで、どーやらホンキで彼は潔白のようだ。
ところが…
「アンタがバックホーのオペレーター?どーゆーつもり?勝手に工事をスルなんて。教育委員会の承認は取ったの?」
「いや、何年待っても承認は降りそうもナイから見切りで…」
「何ょ!承認が降りないのは、まるで教育長である私の怠慢だとでも言いたげね?アンタ、ケルベ建設の臨時雇いでしょ?クビょクビ!」
何処でどう聞いて来たのか、取調室に乱入してラギィを差し置き、まくし立てるスーツ姿のヒステリー女w
「私は、教育長のリアサ。この騒ぎの全責任は、オペレーターであるアンタにアル!」
「そ、そんな…」
「引率ヘルプの女性が亡くなったわ」
善意のオペレーターは息を飲む。
「トゥルが?あぁ神田明神ょ照覧あれ!」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
事故現場。
ハシゴ消防車に模した装甲回収車が、陥没した穴の上にブームクレーンを伸ばし隊員を降ろそうとスルが…
「あ、危ない!」
陥没した穴の中は、闇が渦巻き雷鳴が鳴り響く"リアルの裂け目"だ。この渦巻く闇の先は異次元の世界…
「地盤がアスファルトより異様にモロい謎の物質だ。何だかは見当もつかナイ。吊下・索引設備の足場強度が不十分で、救助隊員を安全に"裂け目"に降ろすコトは困難だ」
「陥没は地質構造の欠陥が露呈した結果だ。自然発生とは考え辛い。地下水の流れが何らかの影響を与えたのではないか?水流の算出に必要なのは、土壌サンプルと地質図だ」
「ソンなコトしてちゃ間に合わない!この"裂け目"は、間も無く閉じる。早くキッズを救い出さないと…」
その時!
「みなさんの祈りが届きました!ギリギリセーフ?」
"リアルの裂け目"からムーンライトセレナーダーが飛び出す!両脇にキッズを抱えている!歓声が沸く!
純白のセパレートへそ出しコスチュームのスーパーヒロインは僕の推しミユリさんが変身した姿でもある。
起重機や巻上機が林立スル現場にフワリと舞い降りる。
「ソーマ!ソーマ!」
「ママー!」
「ありがとう、ムーンライトセレナーダー!」
ソーマと母親が抱き合って喜ぶ姿を笑顔で見届けるムーンライトセレナーダー。
その周囲をジャドー、警察、消防が取り囲み、拍手と歓声の輪が広がって逝く。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
僕の推しが晴れがましい大活躍をしている頃…
御成街道架道橋の下、中央通りエディオン前歩道路面でグレーチングが開くw
行き交う歩行者が不審顔で見下ろす中、アリスパックを背負った男が現れる。
「今日から2月か。まだ寒いな、地上は」
「…(あら?あの"地下鉄ホームレス"は?)」
「さ。グレーチングは閉めて、と」
無精髭を伸ばした"僕"は、暫し昼下がりの太陽に目を細め、雑踏に消える。
第2章 第1始祖コロナ
「弁護士が来たわ」
万世橋の捜査本部でミクス次長検事が身構える。
ケルベ建設のお抱え弁護士は…腰まで長い金髪w
「ラギィ警部、御紹介スルわ。コチラ、ライワ・ブラド弁護士。通称"発狂弁護士のライワ"。あらゆる方面から警察の捜査を妨害する名手ょ」
「あらあら。随分な御紹介ね。こんにちは、警部。先入観ナシでよろしくね」
「先ず、運動場の設計図を提出願います。ソレから御社の経理状況、環境調査報告書なども」
「ライワ!今回は隠しても無駄ょ。令状もアル」
ハナからミクス次長検事は戦闘的w
でも、ライワ弁護士も負けてない←
「わかったわ。ラギィ警部、弊社に過失があれば、直ちに対処します」
「今までと同じように?結局、罪も認めズ何もしないじゃないの!」
「…警部。救出活動は進んでいますか?あ、そうそう。亡くなった女性は、コロナだったそうですね。急に重症化されたとか。お気の毒に」
「ソレを何処で知られましたか?未だ公表してませんが?」
「御遺族とお話をしたいの」
「ダメよっ!買収スル気でしょ?」
「まさか。CEOからのお見舞いの言葉をお伝えしたい。その一心だわ」
「え。CEO本人は来ないの?」
「私が法的な権利義務を一任されています」
「でしょうね。ライワ、今度は負けないわ。世論は、"リアルの裂け目"に落ちたキッズに同情的なのよっ!」
「…ライワさん。とにかく、至急書類の提出をお願いします」
「分りました、警部」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
その頃、ジャドー司令部では。
「水は不思議だ!睡眠中の脳が個体を夢見るように、物体に染み込んで逝く」
「え。あ、テリィたん。ソコの地質図を取って…うわぁ無精髭、すごぉいw」
「…水は表面を流れ、万物に浸透して逝く。自然は、偉大なる師だ」
地下トンネルを出た僕はジャドーの専用ラボにルイナを訪ねる。
国家的天才のルイナは、このラボを自分の研究拠点にしている。
「ケルベ建設の手抜き工事で、帯水層から水が徐々に流出して地下に空洞が出来、陥没したのカモしれないわ。ねぇテリィたん、どう思う?」
「悠久の時が過ぎ、何千年にも渡って水に侵食された石灰石が、鬱積した怒りを大地に秘めて、悲惨な崩落の瞬間を待っていたのか」
「素敵。絶好調ね」
皮肉な声に振り向くと、ラボのドアにマデラ司令官代理殿が寄りかかっている。恐しく良くない出逢いだw
「テリィたん。やっと見つけたわ」
「悪いけど、今から"潜り酒場"に御帰宅ナンだ」
「私の歓迎会の招待状を送ろうとしたら、貴方のアドレスがわからなくて驚いたわ」
「メールをくれょ。電話はNG」
「さすが、秋葉原のスナフキンね。貴方が何処に住もうと自由ょ。プライバシーも目一杯尊重スルわ」
「僕達は気が合いそうだ」
「でもね…旧万世橋駅の地下トンネルはダメ」
げ。見てたのかw
「私も学生の頃、トンネルでサバゲーしたわ。でも、住み着くのは良くない。旧万世橋駅は封鎖します」
「え。ソンな…」
「テリィたん、良い週末を」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
結局、僕はマデラ司令官代理にラボを追い払われるw
ホウホウのテイで逃げ出す僕を見送って、ルイナは…
「マデラ代理!テリィたんが旧万世橋駅に住んでた?確か地下鉄の廃駅ですょね?ソレであんなホームレスみたいな無精髭に…」
「私は何処とは言ってナイわ。でも、気にしてあげて。アレじゃ終戦直後の地下鉄浮浪児ょ。火垂るの墓だわ」←
「テリィたんの節子になりたい!でも、テリィたんはミユリ姉様の御屋敷に"住んでる"のに…」
ソレには応えズ、マデラはルイナのPCを覗き込む。
「地下水流の計算?」
「はい。例の事件、万世橋との合同捜査になったので」
「ソレについても制限しないとね」
「制限?」
「貴女には、ジャドーでの責務をキチンと果たして欲しいの。わかった?」
「マデラ司令官代理?」
「ソレとジャドーの財務委員会の委員長になって」
「ソンな時間はありません」
「あらあら。私は相談してナイわ。コレは命令ょ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
"リアルの裂け目"から生還したソーマは"外神田ER"に担ぎ込まれて、そのママ入院している。
僕の推しミユリさんは、ムーンライトセレナーダーから変身を解き、メイド服でソーマを見舞う。
あいにくソーマは就寝中で、御両親が応対。
「秋葉原のメイドを代表して、お見舞いに来ました。全てのヲタクがソーマ君を応援しています」
「ありがとう…でも、息子が助かったら引っ越すつもりです」
「え。この秋葉原から?」
「YES。行政が姿を見せるのは大惨事の時だけ。学校にはコロナのキッズが溢れてる。かといって引っ越しても、ヲタクの子と差別されるだけだし…」
「そんな…」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
一方、万世橋警察署には宅配便のトラックが次々と乗り付け、台車に何台もの膨大な資料が運び込まれるw
「ヤラレタわ。無関係の膨大な資料で送りつけ、捜査を撹乱スル気だわ!」
「でも、この中に決定的証拠が紛れているハズ。隣接スル芳林小学校のキッズにコロナが異様に多いそうだけど…」
「"リアルの裂け目"から生還した子は?」
「ソーマ君?"外神田ER"に入院中ょ。重体だったけど、回復する見込みです」
「警部!現場の路面には、新素材による道路舗装材が使われていた模様です」
「芳林パークで遊んだキッズにコロナが多発してる?
都心の小学校でこの確率はどうなの?」
「おい!ソッチの箱も開けて、ジャドーのパツキン姐さんに見てもらえ!姐さん、オンラインか?」
「はい、捜査本部のみなさん。会議アプリでモニターしてるわ…確かに隣接スル芳林小学校キッズのコロナ発症率は異常ね」
「特に芳林パークで遊んだキッズのコロナ発症率が高いようです」
「キッズの屋外活動に伴うクラスター発生?統計的には稀なハズ。何かバイアスがかかってる可能性がアルわ」
「バイアス?」
「ねぇ射撃をイメージして。初めて銃を持った警官が的に向かって射撃スル。その後で撃ち抜いた穴の周りに、もう1度的を描き直したら…」
「百発百中か!誰でも射撃の名手になれるってコトか?!」
「誤った推論とまでは言わないけど、コロナの感染経路調査では恣意や先入観が不要な深読みを助長スル傾向がアルの」
「姐さん!コッチは特許取得済の舗装材だ。サンプルもついてる」
「書類を見せて」
「原料は…リサイクル材ね?TCE、重金属、過塩素酸塩…ねぇコレってヤバくない?」
サンプルでお手玉をしてた刑事がフト手を止める。
「成分的には、全て有毒廃棄物だわ。よくもまぁコレだけ…まるで有毒物質のデパートじゃない」
「まさか。コレ、合法なのか?」
「特許を取った処理法に拠って、不活性化が出来てるハズだけど…とりあえずは、触らない方がお利口さんカモ」
慌ててサンプルを放り投げる刑事w
「姐さん、コロナのクラスター発生もコレが原因か?」
「まさか。コロナは飛沫感染でしょ?でも、地面が陥没した原因はコレじゃないかしら。地下水による浸食の結果カモしれないけど」
「発ガン性とかもアルんじゃナイの?」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
その頃お隣の取調室では。
「全ての工事契約に、リアサ教育長、貴女の署名がありますね?」
「ソレが仕事だモノ」
「しかし、工事に使用される舗装材の原料は、全て有毒廃棄物ですが、御存知でしたか?」
「有毒廃棄物?でも、環境省の認可が降りてるそーじゃないの」
「おやおや。とても良く御存知で」
「もちろんょ。でも、私は関係ないわ」
「いえ、無関係では済みません。ケルベ建設から年間たった数千円で借りている軽井沢の別荘は?」
「罪をなすりつける気なら、私の弁護士と話して頂戴」
「貴女の弁護士?…やや?ライワ弁護士?待ってょ。ケルベ建設の顧問弁護士じゃナイの!」
「有能な弁護士として紹介されたけど、何か?」
「あのね、リアサ教育長。陥没事故に伴う死傷事故への関与が判明すれば、貴女も無傷じゃ済まないのょ?」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
その頃、ソーマが入院している"外神田ER"には、芳林小学校の保護者が大勢詰め掛けている。何の騒ぎ?
「ソーマ君は?"リアルの裂け目"に落ちたけどムーンライトセレナーダーに救出されたソーマ君は大丈夫?」
「御心配なく!手術は成功し安静中です。御家族が付き添っておられます」
「そーじゃなくて!ソーマ君はコロナになってないの?神経障害やガン、学習障害や行動異常は?」
詰め掛ける保護者達の異様な目つきに、対応に出たハモナ女医はタジタジだ。再度PCR検査やろうかしらw
「芳林パークで野外授業を受けたキッズに、神経障害やガン、学習障害や行動異常を伴うコロナ変異種が多発してるってホントなの?政権は、ソレを知りながら東京オリンピックが終わるまで国民には隠してたって話じゃない。私達は裏切られダマされた。許せない!」
「陰謀論キターwでも、ソレは当院ではわかりかねる御質問です…でも、幸い首相官邸筋に陰謀論大好きヲタクがいるので、話しておきましょう」←
「芳林パークとコロナの関連性を大至急調べて!キッズの命の問題なの!私達、意識高い系保護者として譲れない!」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
アキバに市場があった頃からの医院を切り盛りしてるハモナ女医から話を聞いた僕はジャドーラボへ逝く。
しかし、ケータイの頃から電話嫌いの僕目掛けミユリさんにスマホしてくる辺りサスガだ。ソレにしても…
"陰謀論好きょね?"って念を押されたが何だろ?
「…と逝うワケなんだけど、データ解析の時ちょっち気にかけてくれる?」
「わかったわ。素敵な先入観をありがとうwねぇ今宵お食事でもどう?好きでしょ恵方巻?」←
「もう今朝、食べたょ。いつもウチは朝ナンだ」
「…そ、そぉ?じゃ消えて。また司令官代理に見つかると面倒だわ」
「あら!テリィたん!」
ぎゃ!時、既にお寿司…じゃなかった遅しw
「あ、落とし物を届けに来ただけです。ルイナ、次からはハンカチには自分の名前をチャンと描いておくんだぞ。ティッシュには1枚1枚描かなくて良いからな。OK?じゃサヨナラ…」
「…ねぇルイナ永世アドバイザー。貴女は、テリィたんの言いなりなの?」
「ええ」←
「…わかりました。今から量子コンピューターのジョブの優先度を変えるわ。コレは万世橋の推しゴトね?」
またまたマデラは、ルイナのPCを覗き込むw
「いいえ。コンピューター占いでテリィたんとの恋人診断を…」
「ルイナ先生?」
「万世橋の捜査協力で、コロナに伴う小児がん先天異常神経障害と有毒物質との関連性を疫学的側面からデータ解析中です」
小脇に抱えてたタブレットを操作するマデラ。
「今、優先度を下げました」
「司令官代理!膨大なデータを迅速かつ正確に計算するには量子コンピューターが必要です」
「コロナ被害家族には同情するわ。私も父をコロナで亡くした。だから、コロナ感染経路の発見を心から望んでいる。でも、ソレは量子コンピューターを使った厚生省が見つけるの。だから、センセはジャドーの任務に精励して」
「捜査協力で国民に迷惑をかけたコトはありません」
「別の形で社会に貢献してと言ってるの」
ルイナは自分のPCのフタをピシャリと閉じる。
「マデラ。侮辱はよして。特にテリィたんの前では」
「自分をよく見るコトょセンセ」
「ナンですって?!」
「ヲタクじみたメイド服を着て、推しはテリィたん?」
「あらあら。ジャドーの顧問にはドレスコードがアルのかしら。そーゆーの、最初に教えて」
「貴女は、国家的な天才なの。貴女の天才は国家の資産なのょ?」
「ソレは、私が好きなコトをやって来た結果に過ぎない。余計なお世話ょ!」
「顧問ではなく、天才という自覚を持って。テリィたん推しのヲタクは卒業して欲しいの」
「お断り。私は、私が廃人になるまで好きなコトをやるわ。ヲタクだから」
「ジャドーの任務を全うしなさい」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
同時刻。"外神田ER"。
「で、お孫さんがコロナを発症したのは?」
「去年だ。ケイテは、芳林パークのブランコが大好きで、見上げる高さまで漕いでは、みんなを驚かせていたょ」
上品なジャケットを着た初老の男は、熱心に耳を傾けるハモナ女医に1葉の写真を見せる。今どき写真とはw
「先のコロナ宣言の解除直後、久しぶりに芳林パークに遊びに来て帰り道で発熱した。コチラで神経芽細胞腫を併発と診断され、目下、化学療法中だ。すっかり髪が抜け落ちて…」
不覚にも泣き崩れ、続く言葉は慟哭の中に消える…
「何かがおかしい!いったい誰の責任ナンだ!」
「…まだ分かりません。でも今、友人が調査中です」
第3章 不機嫌ニウム、ふたたび
万世橋の捜査本部。
「ルイナ。何か進展は?」
「芳林小学校のコロナ発症率、そしてコロナ起因と思われるガンや神経障害の発症率は全国平均より遥かに高いわ」
「やっぱり?」
「コロナ患者に占める小児白血病の発病率だけど、通常なら1万人に1人なの。ソレが、あの小学校はその7倍ょ」
「多過ぎる…あら、この図は?」
ルイナとラギィ警部は、アプリでリモート会議中ナンだけど、捜査本部のモニターにアキバの地図が出る。
「コレは、秋葉原全域を対象にした、小児毒物学の統計図ょ。1ドットが発症者1人。発症者はキッズに限らない。オトナも対象にした。青ドットは、急性骨髄性白血病。赤ドットは、神経障害。緑ドットは、先天異常」
ミクス次長検事がイライラと割り込む。
「ねぇコレとケルベ建設と何か関係があるの?」
「あるわ。こうすればわかる。今から、この地図にケルベ建設が請け負った工事現場を重ねるわね」
モニターの地図のアチコチに網掛けがかかる。
「え。ケルベ建設が工事を行なった後で、コロナのクラスターが発生してる?」
「YES。ソレも1ヶ所や2ヶ所じゃない。千代田保健所はオミクロンで全然手が回ってナイけど、私の疫学的解析に拠れば、秋葉原全域で17ヶ所のクラスターが発生してる」
「ケルベ建設の従業員が移動クラスターとなって、秋葉原にコロナをバラ撒いてる?」
「惜しい!斬新な発想だけど、ソレじゃケルベは動機が不明な愉快犯になっちゃうわ」
「ダメ。そんなンじゃ困る。何とか実刑に持ち込みたいの!」
「う、うん。まぁ、その(間違ったw)熱意に応えるワケでは決してナイけど…この網掛けした工事現場はね、ケルベ建設が受注した工事現場の内、例の特許の舗装材を使った道路工事に限ってる。つまり、あの舗装材、絶対に何かアルわ」
捜査本部にドヨメキが起きる。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
リモート会議に聞き耳立ててた捜査本部は大騒ぎだ!
「舗装材とコロナの因果関係が判明したぞ!」
「でも、未だ状況証拠でしかない」
「しかし、クラスターは実在スル」
「舗装材の製造元は?」
「ケルベ建設の親会社デブルだ。全国で有毒廃棄物の回収を行っている。廃棄物を全量溶解して舗装材などに加工するリサイクル企業。地球環境大賞も受賞してる」
「バブルの頃の話だろ?子会社のケルベ建設に買わせて道路工事の舗装材にしてルンだ」
「その都度、公共工事特有の大金が行き交うワケか。良い商売だ。詐欺に加え環境犯罪とは!」
「ケルベ建設の事業所は秋葉原全域にあるの?」
「YES。大騒ぎになるわ」
「親会社のデブルは、司法取引に持ち込むだろうな」
「ダメよっ!絶対に実刑にしたい!」←
興奮したミクス次長検事が刑事達になだめられるw
「わかった。実刑は当然だわ」
「慎重に動かないと」
「頭を使ってね」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「だーれだ?」
地下アイドル通りを歩いてたら、いきなりステーキが開店してた…じゃなかった、イキナリ目隠しされるw
「その声は…ルイナ?」
「当ったりー!」
「…と逝うコトは」
ヲタクに変装した完全武装の特殊部隊が、実に空々しく街のアチコチに立って、外出中の国家的天才ルイナを護衛している。恐らく上空の爆音は…戦闘ヘリだw
「ルイナ、税金の無駄遣いヤメろ。何の騒ぎだょ?」
「テリィたん。私のラボに泊まって」
「私とラブホに泊まって?!」
「全く違います。でも、ソレでもOKょキャッ!」
「ソンなコト、口走って良いのか?どーせこの会話も偵察衛星経由で司令官代理が聞いてルンだろ?」
いきなり特殊部隊によるフラッシュモブとかが始まりそうな、限りなくウザい予感がして背筋が寒くなるw
「とにかく、地下鉄の廃駅で暮らすのはヤメて」
「自由を愛する放浪者に命令スルな」
「私は…てっきりミユリ姉様との同棲が破綻…」
「同棲じゃなくてシェアハウスだ。破綻もしてない」
「私の家に泊まって」
「お申し出には感謝しきれない」
「じゃ来て。ベッドサイドにテリィたん専用の引き出しも用意した」
「スマナイがムリだ」
「どーして?」
「長風呂だから」
「はい?」
「お風呂がヌルいと出れなくなってしまう。ルイナのトコロ、バスタブは1つだろ?」
「でも、廃駅にいた頃はお風呂ナンか無かったでしょ?」
「仕方がない。奇癖はヲタクの専売特許だし」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
一方、状況証拠ばかりだが、揺さぶりも兼ねてケルベ建設の本社に乗り込むラギィ警部とミクス次長検事。
「ケルベ建設の親会社、デブル工業CEOのラスボだ。デブルグループはグループが掲げる環境コラボ憲章に則り、あらゆる安全措置を自主的に取っている」
「実際問題、秋葉原にコロナのクラスターが17も発生したのょ!しかも、キッズ感染の場合、重症化は小児ガンという最悪の形で顕在化してる。芳林特有の変異種なの!」
「深刻な問題だわ!時間をかけて必ず調査しましょう。約束スルわ」
話に割り込むのはケルベ建設お抱えのライワ弁護士。
「アンタ、親会社の悪事にも顔を突っ込むの?」
「YES!この世に不当捜査のある限り!ところで、私はデブルグループ全体の顧問弁護士ょ」
「グループ挙げての犯罪を指南してるワケ?」
「名誉毀損!」
「そーゆーアンタは、舗装材が有毒物質と知りながら埋設してる!」
「不活性物質!複数の公的機関の検査を通過し、環境省の認可も得ているわ」
「複数ったって、全部環境省の天下り先ばかりじゃないの。検査官達も、今頃は全員、軽井沢の別荘でおくつろぎ中でしょ?」
「デブル社は、合法的に危険な廃棄物を処理し、資源のリサイクルに積極的に取り組んでいる。当然、法令遵守の上で…」
ココで上品な初老の男ラスボCEOが意外な発言を…
「待て、ライワ君。どうやら、コレは重大な問題のようだ。確かに舗装材の長期的な分解特性は不明だ。わかった。事実の解明に全面的に協力しよう。過失があれば責任を持って対処したい」
熾烈?な皮肉合戦を展開中のライワ弁護士とラギィ警部&ミクス次長検事は、全員ポカンと口を開け絶句w
先に正気?を取り戻したのはライワ弁護士←
「ま、まぁラスボCEO。そう焦らズに。そもそもラスボスにしては登場が早過ぎるし」
「ライワ君。私にも可愛い孫がいる。いつか、孫に会社を継がせる時を思うと、今、デブルの社名を汚すのは避けたい。原因は、可及的速やかに調査します。先ずは被害家族に賠償し、芳林パークの現場の再工事に着手しましょう。直ちに」
ラギィとミクスは、未だ口を開けたママだw
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
その夜の"潜り酒場"。
御屋敷のバックヤードをスチームパンクに改装したらヤタラ居心地良くなって常連が沈殿し実は困ってるw
「ジャドーが金星ロケットの護衛をスルんだけど"リアルの裂け目"の発生確率を踏まえた最適弾道軌道の計算をスルように言われた。ヤンなっちゃう」
「へぇ。自由を愛する僕ならヤラナイな」
「でも、テリィたんは第3新東京電力のサラリーマンなんでしょ?社命なら?」
「モチロン従う」←
僕はカウンター席に座って、ミユリさんのスマホ越しにルイナと"リモート会議"をしてる。
スマホは会社から渡されてるけど、通話が苦手で電源OFFにしててミユリさんのを借りてるw
「ミユリ姉様。だって、新しい司令官代理は旧万世橋駅を出禁にしたのょ。テリィたんを住まわせナイために。トンネルに住むのは良くないけど、ヲタクの自由ょ。ねぇ何でテリィたんとのシェアハウスをやめたの?」
何だ結局ソレが聞きたかったのかw
「ルイナ。アキバを彷徨うテリィ様に1夜の寝床を提供しようとしてくれたのね。どうもありがとう。ところで、例の舗装材だけど、掘り起こしたサンプルは、万世橋の鑑識結果では、埋設して以来、不活性な状態のママだったそうょ。そもそも、毎日大量に食べでもしない限り、病気にはならないわ」
「あら。姉様、ソレでは舗装材以外に何かクラスター発生の原因がアルの?」
「ソレょ!デブル工業が特許を持ってる処理方法は、ソレなりに適切みたい。廃棄物を1600度で加熱して冷却。検査をして残留毒物があれば再処理を実施してる」
僕の推しミユリさんは、スーパーヒロインに変身しない時はココのメイド長で、ルイナは趣味のメイド服。
つまり、会議アプリのアッチとコッチでメイド同士の会話(な割には話の中身は結構ハードだがw)で眼福だ←
「処理中に発生スル蒸発分の処理は?」
「全てセル内の処理で、気圧差を設けて外部に漏洩が無いよう管理されてるわ」
「つまり、廃棄物と舗装材の量はホボ同じ?」
ルイナの言葉にカウンター内のミユリさんが微笑む。
「ソレが違うのょ。コレを見て。デブル社の産廃収集量を調べたトコロ、過去10年で154,000トンを超えていた。でも、舗装材の生産量は70,000トン… 約80,000トン近くの廃棄物が舗装材にならズに消えているの」
「80,000トンの強毒性化学物質が行方不明?!」
「ソレに、陥没の原因は、舗装材による土壌酸化が原因じゃないカモ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
話は、捜査の原点"現場"に戻る。
「芳林小学校の児童に変異種コロナのクラスターが発生スルのは、ケルベ建設が工事に使用した舗装材が原因と思ってたけど…」
「地下水にさらされた土壌が酸性のヘドロに変質したのょね?あら?でも、その酸は何処から来たのかしら」
「だ・か・ら!工事で埋設された有毒廃棄物から酸が溶け出したワケょ。つまり、ケルベ建設は、道路舗装にかこつけて、小学校に強酸性の有毒廃棄物を不法投棄をしてたコトになるわね」
「ソレを確かめましょう。さぁ始めるわょ」
閉鎖された芳林パークのアチコチに仕掛けられた装置から伸びたケーブルは、手元のテントに集約される。
このテントが"本部"で小型オシロスコープに無数のサインカープが踊る。ヘルメット姿のラギィが命令。
「ジャドーの戦闘工兵のみなさん、お願いします」
「ROG」
「爆薬点火3,2,1…」
戦闘工兵(消防士にコスプレしてるw)が仕掛けた割には拍子抜けスルような小さな土ぼこりが舞い上がるw
一方、テントの中の計器は、その瞬間に全てのオシロスコープのサインカーブが一斉に激しく揺れ動く!
「地震探知法ね?」
「YES。埋設物の場所を特定出来るわ」
「どーゆーコト?」
「チーズの発酵をイメージして。発酵して発生した炭酸ガスは、行き場をなくしてチーズに穴を開けるでしょ?」
「え。チーズの穴って炭酸ガスの抜けた痕なの?ネズミがかじった痕かと思ってたw」
「…酸と地下水が岩を侵食してガスが発生、地表に亀裂が走って今回の陥没が起こったワケ」
「ナルホド。で、爆破の目的は?」
「石油探査と同じ。地下構造がワカル。地震波の反響を測定スルのょ」
「洞窟のコウモリみたいね」
「YES。何千匹分のコウモリの情報を集計、解析スルと埋設物を含む地質構造図が出来上がるわ」
ココでオペレーターが肩越しに振り返る。
「芳林パーク地下の地質構造図が出来ました。コ、コレは…」
PC画面の画像を見て、熟練の戦闘工兵が息を呑む。
「どーしたの?あっ!」
「信じられナイわ!」
「ミユリ姉様を呼んで!」
芳林パークの地下に…ピラミッドが埋まってるw
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
その頃、パーツ通りゲーセン地下のジャドー司令部。
ミユリさん率いるスーパーヒロイン集団ヲタッキーズは、ジャドー傘下の民間軍事会社だ。
今回のケルベ騒動を請け負うコトになり司令部に集合、万世橋の捜査会議にリモート参戦。
「あ、ラギィ警部。ウチからはヲタッキーズを出すわ。よろしくね」
「了解、マデラ司令官代理。ムーンライトセレナーダー、聞こえてる?」
「OKょ。ラギィ、地下ピラミッドだって?テリィ様が喜んじゃうわ」
既に喜んでる←
ピラミッド、超古代、UFO…オカルト雑誌"ラー"を創刊号から持ってる僕の面目躍如だ(どーゆー面目?)w
まだ、前回からムーンライトセレナーダーのコスプレで白セパレートにミニスカがついたのも見逃せない←
いったい誰のリクエストだろうw
余程のパンチラ好きに違いナイ←
「古より、ピラミッドには重要な副葬品などが収められている。このピラミッドにも何かが収納されてるに違いナイ。超考古学の扉が今、僕達の目の前で開かれようとしている!」
「熱海秘宝館のノリねwとにかく、コロナ起因の小児ガンが多発してる。無害なモノが埋まってるとは思えないわ」
「きっと、そのコトの発覚を恐れて、ラスボCEOは再工事を提案して、闇に葬るつもりだったンだわ。ついでに、世間様の評判もゲットして…」
「コロナの重症化に伴って、小児ガンの他に白血病を併発したキッズもいるというのに!」
ココでリモート越しにほとんど絶叫に近い金切り声。
「無害と言われて、ソレを信じただけ!埋まってるモノが有毒物質だったナンてホントに知らなかった!」
教育長のリアサだ。
「亡くなった引率ヘルパー女子は、基礎疾患があった。ピラミッド起因でコロナを発症、重症化して落命した可能性もアル。そうなれば、貴女を起訴せざるを得ない」
「ヤメて!私は刑務所には入れないわ…ねぇ司法取引をしましょう」
「内容によるわね。先に手札を見せて」
「あのね。実はデブル工業のラスボCEOは、教育委員会を買収して、私を教育長に据えた。実は私、アル中なのに」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
順調に証拠は積み上がって、最後の揺さぶりでケルベ建設の本社に乗り込むラギィ警部とミクス次長検事。
前回の歓迎ムードから一転、窓のない応接室へと押し込まれて、早々にライワ弁護士が怒鳴り込んで来るw
「ラギィ警部。実は、リアサ教育長はアルコール依存症ょ。彼女の証言能力には疑問が残るわ」
「でも、貴女の大事な顧客でしょ?ソンなコト言って良いの?」
「ソレにケルベ社の工事現場に隣接スル敷地の管理責任は芳林小学校側にアル。ソレに警察は、デブル社との関連性を何処まで証明出来るのかしら」
「ソッチこそ、ケルベもデブルも、ケルベロスとデビルマンの短縮形で、実は両社とも貴女の顧客ょね?実質的には1つの会社だから、貴女、共謀罪に問われるわょ?」
ソレを聞いたライワ弁護士はイラついて立ち上がる。
「リアサ教育長の宣誓証言はいつ?」
「あら?だいぶ動揺したようね?覚悟しなさい。今回はトドメを刺すわ!」
「ふん!」
音を立ててドアを閉め、応接室を出て逝くライワ。
「さぁて彼女は、リアサに金を掴ませるか、高飛びさせるか、どっちかしかナイわ」
「それとも…殺すか」
「え。でも、当面は手荒いマネは避けるでしょ。いずれにせよ、唯一の証人ょ。証人保護プログラムを適用して警備をつけましょう」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
その頃パーツ通りのゲーセン地下のジャドー司令部。
「ルイナ。カッツ・ムーディー代数じゃない?私の言うコト、わかってくれたのね?」
「マデラ司令官代理。お話があります」
「マディと呼んで。この前は、貴女が途中で外出してしまったのょ?」
「(ソレはテリィたんに会うと言うw)緊急の用件でした。率直に申し上げて…」
専用のホワイトボードに数式を描き殴っていたルイナとソレをメガネをズラして見てたマデラ司令官代理。
またまた空気が険悪になる中、ソレを一掃、そして、重要情報をもたらすのはムーンライトセレナーダーw
「芳林パーク地下で発見されたピラミッドの中に保管されているのは、超古代の隕石です」←
「え。隕石?地下ピラミッドって隕石の保管庫だったの?で、隕石を保管してるのは誰?」
「超古代の人類。彼等は、アキバに降り注いだ流星群の隕石からレアアースを採掘、神々との戦いに兵器として使用した」
「ちょ、ちょっと待って。超古代の人類って、神々と戦争してたの?私達の御先祖様ょ?」
「YES。そして、今、人類に脅威を与えているコロナは、地球に攻め込んだ神々の尖兵を殲滅スル、細菌兵器だったの」
「コロナが細菌兵器?で、神々は殲滅されたの?超古代の人類は神々に勝ったのね?」
「敗れた。地下にピラミッドを残して人類は絶滅した…時は過ぎ、政商デブル工業は、ピラミッドから密かに隕石を採掘スル許可を政権から得た。しかし、ソレは放射能を帯び、本来、採掘は慎重になされるべきだったが、ラスボCEOはソレを怠り、私欲に走った…」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
黄昏時のパーツ通りが大好きだ。
ヲタクもリアルも関係ナシに、全てが黄金に萌える。
リア充も廃人も、学生もプーも、男も女も関係ナイ。
「テリィ様」
「あ、ミユリさん?ココで何を?ま、まさかビラ配り?」
「ヤメてください。ウチはコンカフェがブームになる遥か前からの老舗バーです」
最近コスプレお嬢が接待するコンカフェが流行りだw
キャバと御屋敷が恐る恐る新しい形を模索している?
「お話しがあって参りました。今宵"潜り酒場"に御帰宅されるのが待ち切れなくて」
「あれ?ミユリさん、ワイルドカードを切ったね?」
「いいえ。ソレはもっとワイルドな時に切りますから。あ、コチラは私のTOだから…ねぇちょっと!」
ミユリさんに諭されチラシを引っ込める若い女忍者←
コスプレも様々でミユリさんのメイド服が逆にレアw
「そりゃ楽しみだ…じゃ何?」
「今宵は御屋敷にお泊まりください」
「うーんソレは無理。理由は知ってるだろ?」
「だって!そもそもテリィ様からお預かりしてる御屋敷ですし…あら?」
会社に戻る僕の背広に手を伸ばすミユリさん。
背中についてた金色の髪をクルクル巻き取るw
げ。ルイナの金髪だ←
「デ、デ、デ、デンタルフロスだw地下トンネルで耐久試験中に…」
「テリィ様。私は囮捜査で不在です。だから、その間"潜り酒場"をお一人様で御自由にお使いください。コレは、メイド長から御主人様への、たった1つのお願いです」
傍らを見ると、彼女は僕に1番可愛く見える"勝負角"をビシッとキメ、必殺の上目遣いビームを乱射中だw
突如、黄昏のパーツ通りに角笛が鳴り響き、僕の心の中でジェリコの壁がガラガラ音を立てて崩れて逝く。
「…長風呂ナンだけどな」
「知ってます」
「じゃ待ってる。待ってるから…必ず無事に」
ミユリさんが腕を絡めて来る。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ジャドー司令部の科学分析班。
「地下ピラミッドに保管されてた超古代隕石サンプルの分析結果は出た?」
「はい、マデラ司令官代理。化学構造を解析した結果、隕石は"不機嫌ニウム"と判明しました」
「え?アンチスーパーヒロイン物質の"不機嫌ニウム"?ムーンライトセレナーダー達の唯一の弱点じゃないの?」
「YES。そして、コレは超古代よりスーパーヒロインが存在し、そのアンチ物質もまた存在していたコトの証左です」
「超古代の秋葉原にスーパーヒロインが存在してた…」
「そして、アンチ物質も存在し、宇宙から飛来、地下での重力作用で一部が放射能を帯びた。ソレがケルベ建設の杜撰な発掘により、重症化に伴い小児ガンを併発する"第1始祖コロナ"の細菌と共に、現代の秋葉原に蘇ったのです。我々は、禁断のタイムカプセルを開けてしまった」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「ねぇ!この証人保護ゴッコは、いつまで続くの?」
部屋の冷蔵庫に入っていた洋酒のミニチュアボトルをもてあそびながら大声をあげるのはリアサ教育長だ。
「貴女が教育長をクビになるか、何処かに飛ばされるまでょ」
「じゃクビになったら、私は自由の身になるのね?」
「証言が済めばね。ねぇ昼間からお酒なの?」
都内のホテル。証人保護プログラムにより、公判での証言を控えたリアサ教育長はラギィ警部と潜伏中だ。
「後悔したくなかったら止めないで。お酒を飲まない私の方が100倍も厄介だから」
「警部。ランチを買って来ました」
「待って。今、開けるわ」
覗き穴から外を見ると茶色の紙バッグを持った部下。
「お待ち。Uper eats でござい!」
「マチガイダサンドイッチズ?秋葉原まで行ったの?」
「はい。調理中も監視しました」
早速ホットドッグにカプりつく部下とラギィ警部。
「ウマい!マチガイダ、最凶!」
「やっぱりバーガーよりドッグね!」
「…こんなの馬鹿げてるわ!」
その様子を見て、ナゼだかリアサ教育長は怒り出す。
「私、横になるわ。失礼!」
「え。せめて乾杯だけでも…」
「結構ょ」
缶コーラを開ける部下に、手にしたカクテルグラスを上げてみせ、リアサ教育長は寝室へと消えるのだが…
ドサッ!
何かが倒れる音に、ラギィ警部と部下は食べかけのドッグを放り捨て寝室へ…
リアサ教育長がグラスを取り落とし、フロアに倒れ白目をむいて痙攣してるw
「リアサ!リアサ!息をして!救急車を呼んで!」
「五軒町05より神田消防!救急車を要請!場所は…」
「お願い!息をして!あぁ!」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「信じられない。心室頻拍?」
「いわゆる心臓破裂です」
「ホットドッグに異常はなかった。そもそも、彼女は手をつけてないし」
教育長の死体が搬出され、入れ替わりに万世橋の鑑識が入りゴッタ返すホテルの部屋。立ちすくむラギィ。
「ホテルのカクテルグラスにピーナツ油が塗られてました。教育長は、ピーナツアレルギーでした」
「アナフィラキシーショック?ソレを…ラスボCEO達は知ってたの?部屋のビデオ記録は?」
「カメラのIPアドレスが偽装されてました。追跡出来ません」
肩を落とすラギィに、ミクス次長検事が声をかける。
「貴女のせいじゃない。でも、コレでデブル工業、そしてラスボCEOのコトを立件出来なくなったわ。何とも残念ょ」
「…いいえ、未だだわ」
「え。何?」
「"秋葉原 最後の希望"が残ってる。頼むわょ、ヲタッキーズ!」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「新任の検査官は?」
「環境省チヨダ支局のラブリ・グラドです」
「身辺調査は?」
神田リバー沿いの白い社屋の中で、緊張気味のラスボCEOとヒソヒソ声で言葉を交わすのはライワ弁護士。
「充分ですとも。また凝りもせズにアラフォーのシングルマザーでした。突っ込みドコロ満載の女のようです」
「前任同様、うまく抱き込むのだ」
「わかりました。お任せを…あ、検査官が着いたようです」
製造ラインの向こう側からフォークリフトやカラフルなツナギの工員の間をぬうようにして検査官は来る。
「ご苦労様です、Ms.ラブリ。CEOのラスボです」
「ラスボさん。製造ラインへの立ち入り許可を」
「モチロンです。ライワが御案内致します」
お辞儀して出迎えるライワは、ミニ丈の黒スーツ。
ラブリ検査官もミニ丈黒スーツだがメガネ女子だ。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「やや?CEO自らお出迎えか?気合い入ってるな」
「ソレだけ必死ってコトでしょう」
「作戦開始です。ジャドー全チーム standby!」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「さ、検査官。コチラへ。御案内します」
ライワ弁護士からウィンクが飛び、頷くラスボCEO。
「今回の検査には、全面的に協力するつもりです、ラブリ検査官」
「助かりますわ、ライワさん」
「ついては、お互いのためにも、検査には時間をかけて慎重に進めていただきたいの」
「ソレは無理です。本省から急ぐよう指示が出てます。何かお心当たりでも?」
「弊社は、貴女のパートナーになりたいと考えているのです」
「ソレは結構…前回の検査記録では、収集廃棄物は月に12,000缶近いですね…」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「雑音が多過ぎるわ」
「除去出来るか?」
「恐らく近くで何か溶接してるのでは…」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「スラグ用の溶鉱炉に廃棄物を投入し1600度に熱して一気に無害化します。まさに再生処理の奇跡と申せましょう!」
「奇跡は別にして、舗装材への産業物再利用率は52%ですね?残りの有毒廃棄物は何処へ?」
「倉庫に保管します」
「見せてください。科学班が保管状態の安全点検をしますので」
「おやおや。前の検査官は目視点検のみでしたょ?」
「より念入りにやるコトになったのです。コレも本省の指示でして」
「うーん実は貴女の1度の判断ミスで当社の評判を落としたくないと考えています」
「今、何と?私の判断ミス?」
「貴女と貴女の可愛い息子さんには未来がある。その未来ある母子に、つまらない火傷を負って欲しくナイだけです」
「…買収スル気なの?」
「貴女はホスト遊びがお好きなようね。いくつかのホストクラブに借金があり、息子さんの養育費も滞納がちだわ」
「脅迫?」
「まさか!私は弁護士。その反対ょ。貴女のパートナーになりたい。ウィンウィンな解決法がアルわ」
「私を買収するつもりなのね?」
「いいえ、コレは投資ょ。長期的な相互利益のために、弊社には貴女に投資をスル用意がアル」
「つまり、不正を隠せと?」
「未処理の廃棄物を処理済みと報告スルだけ」
「ソレで全て解決?」
「夢のようなリアルを約束スルわ」
「…お金は?」
「ラスボCEO傘下の融資機関からシンガポールのオフショア口座に振り込むわ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「名前が出た!十分な証拠だ」
「ジャドー全チーム、突入する!」
「GO GO GO!」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「万世橋警察署!万世橋警察署!全員、動くな!手は頭の上!」
「ジャドー特殊部隊だ!異次元人、音波銃を捨てろ!」
「出たわね!異次元人専門の殺し屋ジャドーめ!ソッチこそ動くな!コイツの命が惜しくないか?!」
ライワ弁護士がラブリ検査官を羽交い締めにし、喉元にナイフを突き立てる…やや?ナイフが緑色に光る?
オリハルコン?笑
「ふん。そのメガネ女子はムーンライトセレナーダーなのょ!どう?驚いた?」
「え。コイツ、ムーンライトセレナーダーなの?しまった、お約束のメガネ女子が出た辺りでホンキで怪しむべきだったわ!」
「さぁムーンライトセレナーダー!変身して悪をやっつけて…あら?どぉしたの?」
ところが、羽交い締めにされたメガネ女子はエビ反りして全身を痙攣させ、膝ガクガクで崩れ落ちかける。
「スーパーヒロインと言っても所詮は女ね。何ピクピクしてるの?立ってるのがヤットじゃない!」
「ムーンライトセレナーダー、大丈夫?しっかりして!」
「ふ、不機嫌ニウムのナイフ…」
首筋に当てられた緑色に光るナイフは、スーパーヒロインのアンチ物質"不機嫌ニウム"製だw
この"不機嫌ニウム"に近づくと、スーパーヒロインはスーパーパワーを喪失してしまうのだ!
「あら?スーパーヒロインから可愛い女子に戻っちゃった?トドメょ!スーパーヒロインを精神世界に閉じ込める"心の手錠"をしてあげる。あぁ最高だわ!貴女の苦しんでる姿が見れるナンて!」
「…」
「え。何?何ょ?」
"発狂弁護士ライワ"はメガネ女子の口元に耳を寄せる。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「私は、ひとりじゃない」
「アンタ…誰なの?」
「"風の星"第3皇女∞♫‰♂Å∮ミユリ∫☆♯」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
次の瞬間、ライワ弁護士とラブリ検査官は共に失神して崩れ落ちミニ丈黒スーツのOL対決はゴングとなる。
「ライワ!おい、ジャドー!ウチの弁護士に何をした?この女、頭がお花畑になってるぞ!」
「ラスボCEO、逮捕スル。壁に向かって両手をついて立て。お前には弁護士を呼ぶ権利が…」
「ナイ!お前には、一切の権利がナイ…ソレから、弁護士は新しいのを雇え」
第4章 やさしいエピローグ
「ねぇテリィたん。考えてたんだけど…私達の関係を見直すべきだと思うの」
「何で急に?ってか"私達の関係"って?」
「どうしたら良いのか、私、わからナイのょ」
とか逝う割にはビシバシ打ち込んで来る…あ、僕とルイナはラボに持ち込んだエアホッケーのゲーム中だ。
ルイナがかがみ込んで容赦なく打ち込む度に、胸の谷間がチラ見えして気が散る…あ。コレは作戦なのか笑
「新しい司令官代理の目もあるし2人の関係はあやふやだし。私の頭は混乱スルし、テリィたんは迷ってる(え。何を?)今のままだと…ヲタクとリアルの区別がつかないわ」
あぁ面倒くせぇ!
とりあえずキス←
「あ…素敵」
「かな?」
「こんばんは…キャ!」
その時、ラボに入って来たのはマデラ司令官代理w
「あら、イヤだ。ごめんなさい!」
「司令官代理!私を身辺調査してるの?ヒドい!」
「まさか。私はテリィたんと約束が…」
「…え。あ、お待たせしました」←
「ねぇルイナ。私のコトは無視して」
「どうなってるの?テリィたん、司令官代理と何処へ行くの?デート?まさか、この後エアホッケー…」
「違うょ。ナゼだかミユリさんが遊んで来いってお小遣いをくれたから…何処へ参りましょう、マデラ司令官代理」
「マディょ。久しぶりの秋葉原だからアニメを見たいわ」
「リクエストは…」
「"海のトリドン"ね。オリハルコンが"不機嫌ニウム"だったとは!」
「そして、武漢コロナは"第1始祖コロナ"に大陸の中華な国が手を加えたモノのようです」
「じゃ行ってくるわ、ルイナ」
「じゃーな」
「…いってらっしゃい?」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
その夜遅く。アキバのどこかのバスタブで。
「テリィ様。今回は、私のパンチラお預けです」
「わかってないな、ミユリさんは。あのさ、僕が見てたのは…パンチラじゃないんだょ」
「…素敵です。テリィ様」
おしまい
今回は、海外ドラマによく登場する"地下ピラミッド"をテーマに、秘密防衛組織の司令官代理、隕石盗掘企業の政商、その異次元人の弁護士、買収された教育長、パークで遊ぶキッズ、見守るボランティア、盗掘企業を追う警部、次長検事、防衛組織の天才、その部下達などが登場しました。
さらに、ヒロインの生い立ち、アンチ物質、主人公を取り巻く恋模様なども超古代テイストでサイドストーリー的に描いてみました。
海外ドラマでよく舞台となるニューヨークの街並みを、コロナ第6波に揺れながらブースター接種に明け暮れる秋葉原に当てはめて展開してみました。
秋葉原を訪れる全ての人類が幸せになりますように。