転職(ジョブチェンジ)
トラスの故郷へ出発だ。
「ティア!俺の故郷に行ってみないか?」
ティアが不思議そうにこちらを見る。
「ここで二人して考えていても何もならないだろ? 情報収集だよ、情報収集。」
腕立て伏せをしながらティアに言ってみた。
「それもそうだなぁ、二人だけじゃ頭ン中、同じところグルグルだしね」
ティアはソファに寄りかかりながらそう答えた。
「ところでトラスの故郷ってどこなの?」
「ここから西の国、フォルクスの南寄りの町だよ。方角的には西南だよ」
「ただし、一直線に西南に向かうのは禁物、強力な魔物、魔獣、盗賊、なんかがいて危険度が高いから、ちょっと遠回りでもまずは真西に向う。途中、町もある経路を進んで行けるんだ」
するとティアが
「じゃぁ、早速準備ね! 」
っと支度を整え始めた。
「ちょっとごめんね、ティア。 あと3日待って貰えないかな? 」
「なんで? 」
「あと少しで固有レベルが上がりそうなんだ! 」
「それで、固有レベルが上がったら今度は何に転職するつもりなの? 」
俺は少しためらいながら言いました、、。
「ぶ、武道家」
ティアが少し呆れたように言った。
「格闘家と武道家って同じじゃないの?」
多少違います、格闘家とは格闘技術を極めてダメージを与えるものですが、こと武道となるとそのえげつなさが際立ちます。大げさに言うと、勝つためなら何でもします、武術の奥義とされる危険な技をも使用する。それが武道家・・・。
説明すると面倒くさいのでティアには簡単に
「手首から先、足首から先の使い方が違うんだよ」
と説明しておきました。
3日間、特訓に特訓を重ね、自宅から徒歩で約2時間の綺麗な湖の中州(神の結界)で半透明のステイタスボードを浮き出させると、格闘家固有Lv8に上がってました。ステータスは自動更新できるが転職となるとこの神の結界内でしかできない。そして転職希望の記載に触れ、転職可能な職業が一覧となり出てきました。
・戦士
・傭兵
・侍
・武道家
・魔法使い
・僧侶
色々な武器で戦いたい、ほぼ全ての武器の装備が可能な戦士!
金さえ有れば飛び道具も自由自在、爆弾なんかも使用可能、傭兵!
殺気や気の察知能力、切られた事さえ気が付けぬ切れ味、侍!
侍と同じく察知能力にたけ、武器を持たず徒手での殺傷が可能、武道家!
魔力に自信があれば是非なって高火力の魔法を放ちたい、魔法使い!
仲間の傷を癒すだけではなく、時には攻撃魔法も使える、僧侶!
「やっぱ、武道家だよ、だって魔力も武器も要らないんですよ! 」
武道家に転職しました。ステイタスボードを浮き出させると
トラス:個人 Lv2
職 業:武道家 固有Lv1 スキル:正拳突き その他
気になって「その他」を見てみました。新しい順に並んでいます。
正拳突き、後回し蹴り、金的蹴り、関節蹴り、目突き、下段肘落とし、胴回し回転蹴り、音速拳、と、音速拳は格闘家からのスキルだな。固有Lv1からスキル7つって凄い!固有Lvが上がるのが楽しみでしょうがない。
さて、家に帰って旅路の準備をしましょう。
家に帰るとティアはもうすっかり準備が出来ていた。
「で? どうだったの? 武道家になれたの? 」
「うん、なれたよ。後は出かける準備だけだけど? ティアは野営とか大丈夫なの? 」
「火の番とか交代でするよ?」
「大丈夫、大丈夫、心配いらないよ」
同じ言葉を繰り返す使う奴は信用しにくいですよ・・・。
俺も少しずつ準備して来ていたので手間は掛かりそうにない。
明日の朝、出発しよう。
初めての旅路にティアはウキウキです。
お読み頂き有難う御座いました。