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(未完)大魔界大戦 米軍VS魔王軍  作者: 北條カズマレ
第八章 新たなステージ
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拾遺 エタ宣言

二〇一七年八月六日時刻1100

米国、ワシントン、ワシントン大聖堂

X+九十六日


 ブレアハウスに宿泊した魔王とサビナ、翌日に待っていたのは教会での追悼集会である。


 出席を求められた魔王は断らなかった。


 巨大な大聖堂カテドラル前に集まった群衆、警備の人間が柵を置き、モーゼが海を割ったように二つに割れている。


 その間を歩く魔王、そして片時も離れようとしないサビナ。


 好奇と怨嗟の視線が金色の鎧に集中する。


 この不可思議な鎧の大男と、さまざまな米国を襲った苦難とを結びつける想像力のあるものは多くはなかった。


 しかし実際に被害にあった人間にはそれをするのは容易だったらしい。


 明確な敵意の視線を魔王は感じていた。


「魔王様、お気をつけを。だれか仕掛けてくるかもしれません」


「サビナ、わざわざ身を盾にする必要はないぞ。この鎧はライフル程度では貫けん。ましてや隠されて携行コンシールドキャリーされた拳銃弾など豆鉄砲だ」


「そういうわけには参りません、魔王様が攻撃されるのを黙って見ていたとあったら盾としての存在意義に関わります」


「防護魔法のないお前は人間と変わらぬ。やめておけ」


「お守りしなければ自害するまで。結局死ぬのでおなじことです」


「まったく……」


 魔王は視界の端に妙な動きを感じた。


 男が前へ出ようと無理に人を押しのけている。


 --あれはやるな。


 サビナも気づいたようで、素早く魔王をかばう形で体を前に出す。


 前列に出てきた男は何事かわからない言葉を叫んだ。


 べしゃっ。


 サビナの肩越しに伸ばされた魔王の手のひらに、腐ったトマトが当たった。


 サビナには悪臭を放つ雫の一つもかからなかった。


 警備員が男に摑みかかる。


 ついで魔王にもアメフト選手のようにタックルをして守第二第三の攻撃から守ろうとする。


 しかし、鎧を


「魔王様に近づくな!」


 全て、サビナに投げ飛ばされた。


 もともと魔素による肉体強化に頼らない彼女にとり、対人戦闘能力はこの世界でも衰えないのだ。




 ちょっとした騒ぎは、大聖堂の着くと収まった。


 大統領はすでに到着していた。


 共に歩むことで少しは民衆からの抗議を軽減することも出来ただろうが敢えてしなかった。


 民衆の憎しみの視線を浴びてもらいたかったのだ。


「やあ、ゼナビリアス。大丈夫だったかね?」


「問題ないよ、ジョン」


 警備員から渡されたタオルで手を拭き終わる。


 別の警備員にそれを渡すと、魔王は大統領と共に大聖堂に入った。


 今回の追悼集会には各宗教の聖職者--キリスト教の牧師・神父、ユダヤ教のラビ、イスラム教のウラマー(厳密には聖職者ではないが)--が集まっていた。


 宗教の垣根を超えて、全米国民が悲しんでいるという構図の演出に一役買っている。


 そこに現れる悲劇の根源、魔王。


 どよめきを抑える節度こそ守ってはいたが、動揺は皆の間に広がる。


 魔王はカテドラルの中、歩を進める。


 ガシャリガシャリと鎧の音をたてながら。


 祈りの声は魔王が現れてから途絶えていたが、大統領が魔王の前に出ると、再開された。


 大統領、魔王、サビナの順で席に着く。


 最前列だった。


 主賓の来るのを待ってから登壇した司教の、長たらしい祈りの言葉が終わる。


 大統領にコメントが求められた。


 彼は沢山の色とりどりの花が手向けられた祭壇の前に進むと、重々しく口を開く。


「……悪にうちかとうとする熱意、犠牲者を悼む悲しみ、二つを備えた我々は久々に一体感を感じたのです。我々はたった一つの分かたれぬ偉大なるアメリカとして、光ある道を歩むことでしょう。そんな道に一筋、希望の光が差し込みました。和平の光です」


 大統領は精一杯友情を演出した眼差しを魔王に向けた。


 魔王は重い鎧を着ているとは思えないほど身軽に立ち上がり、厳かに、と言うよりは軽快に大統領の横にひらりと身を移した。


 そしてこの国の象徴たる人物と握手を交わすと、万雷の拍手の中、聴衆にその姿を見せつけるのだった。


 イーグルバーグは、並んで立つことによる身長差に少し、圧倒された。


 やがて、拍手が止む。


 魔王へ注がれる好奇の目に期待が混じり始める。


 そう、彼らは聞きたいのだ。


 謝罪の言葉を。


 イーグルバーグが絶妙なタイミングで身を横に引く。


 もう魔王はマイクの前へ進んでなにかを言わなくてはならない格好だ。


 どんな言葉であれ……しかし、いわゆる、空気を読まない発言が許されるとは到底思えない状況だった。


 魔王は演説台ににじり寄るとその縁をがっしり掴み、マイクに顔を近づけた。


「悲劇が、ありました」


 厳粛さが溢れ出てくるような声だった。


 そして続く内容は明らかに、理不尽な殺戮と戦闘による犠牲への謝罪を意図するものだった……。




「いい演説だったじゃないか。ゼナビリアス」


「君の演出のおかげだよ、ジョン」


 帰りのリムジンで、二人は向かい合って座る。


 並の男ならチラチラ盗み見るしかないだろう美しさのサビナには目もくれず、イーグルバーグはゼナビリアスと言葉をかわそうとした。


「さて、具体的な部分について詰めておこうか。さっきの演説の内容だ」


 魔王は答えない。


 無言でイーグルバーグに先を促す。


 軽い咳払いをして大統領は発言する。


「先ほどの演説内容からすると君の……ああ、君の国はなんと呼べばいいのかな?」


魔界ヘルでいい」


「……魔界は我々に対し実際に賠償をする気がある、と?」


「お前たちが差し出したのは父と息子の命だけだ。母と娘の命は差し出していない」


「ずるいと思わんかね?」

他の作品の執筆もあることを鑑み、とてもこの作品まで手が回りそうにありません。

必ず完結させる、とは言いましたがどうやら無理のようです。

読者の皆様、ごめんなさい。

この作品に対しても、申し訳ないです。

ではまたどこかでお会いできる日を楽しみにしております。

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