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プロローグ
『一寸の虫にも五分の魂』
どこかで聞いたその言葉。小さくても命は宿るが5つも魂があるとは答えづらい。なぜなら中身は確かめなければ分からない。それに命は軽い。僕らは高々数グラムの命。あの禁断の果実よりも僕らは軽い。周りは緑、緑、緑。そこらの植物もみな、僕らの数十倍はあるだろう。僕らはそれくらい小さい存在なのだ。
「来たぞ酷塊!奴らはここら一帯潰しに来やがった!!」
やれやれ、どうやら厄介事だ。
足の速い知らせ役が僕らに危機を伝えてくれる。
ここはもうじき酷塊のモノになる。酷塊だけの領地になる。ここは元々僕らのモノだったのに。時と酷塊は非常である。
――きっと僕らはいらない存在なのだ。
所詮、僕らはただの虫。
『酷塊』よりも遥かに小さな悲しい虫。僕らは酷塊に襲われないように逃げ惑うしかないようだ。酷塊は僕らを価値のない無意味なモノだとしてるみたい。
……僕らの楽園はどこにあるのだろう。