海
冬だというのに、とてもはっきりとした天気だった。雲と青色の空の境界線がとても明確な輪郭を持って現れていた。雲はいつものようなべったりしたくすんだ灰色ではなく、とても白く明るくて、青い空に点々と浮遊し、それが遠くまで続いていた。風はとても冷たくそして乾いていて、ときおりものすごい速さで通り過ぎていく。重力にひっぱられた海水の塊が遥か先の水平線を作り、その水面を遠く白い太陽が照らし続ける。水平線近くのゆっくりと動く白い雲が時間を遅め音を全て吸い取っていく。残された静けさの中、風に乗りながら一羽の小さなかもめが僕の目の前で静止する。羽を広げて風を一身に受けたそのかもめは、しばらく揺れたあと、僕の目の前を静かに上昇していった。
なにも出てこない。何も出てこないけれど習慣だからこの小説を書いている。確かにいろいろな思いはある。ゴミ屑のようなね。
でもそれは…なんというか、小説では出すべきではない気持ちなんだ。つまり、僕の言う「ラグビー的」な考えに近い。すくなくとも、こういう描写はまだまだだと思うし、今の僕にはやっぱりこういう素直さが必要で、それをみんなに公開するという行為が必要なんだと思う。
服を着る前に裸に慣れようとしている。