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名前からいって日本人じゃない。それどころか職業は魔王ときたもんだ。

ありえない。そんな妄想癖のある人と結婚なんてしたくない。

むしろうちの両親もそんな得体の知らない人と約束なんて交していただきたくない。


「魔界とか魔王とかそれってゲームとか漫画とかの世界でしょ?

そんな会ったこともない危ない人と結婚なんてしたくないし…それに私が生まれてくる前に約束したって…私、了承した覚えないんだけど」


さらっと魔界とか魔王とか言っちゃってるうちの両親も相当危ない気もするけど、

それは黙って胸のうちに秘めておく。


「うーん、そう言われても決まった事だし、私たちにはどうする事もできないのよねぇ。それに、流亜も小さい頃に魔王様にお会いしてるわよ?」


「えっ!?ウソッ!!」


「本当よ。って言ってもあれは、まだ2歳とか3歳の頃だったかしらねぇ」


「ああ、多分そのくらいじゃないか?あの頃からすでに魔王様は流亜にメロメロだったなぁ。まぁ、流亜の愛らしさといったら…みんなを虜にするからなあ~」


「ふふっ、流亜ってば魔性の女ね。魔王様の妻になるに相応しいわっ」


と、冗談が本気かもつかないような二人の会話を聞きながら、私は胸に刻んだ。


『魔王様はロリコン』


だ、と。


「というか…もしかして、その頃の私にこの人と結婚するとか云々とか言ったの?」


肩を落としてため息をつきながら尋ねる。いや、尋ねるまでもない。

絶対そうだという確信があった。心なしか目も据わってくる。


「おお!そうだ、そうそう!!よくわかったな。思い出したか?」



ガクッ


やっぱし…。そんな事だろうと思った。想像通りの答えに体から力が抜けていく。


「覚えてるわけないでしょ。2歳の頃とか記憶ないし…物心もついてないときじゃない」


はぁぁぁ、と深いため息をつく。

ダメだ。うちの両親と話していても埒があかない。

それにさっき母は「自分たちではどうする事もできない」と言った。それなら自分がその人に直接話すしかない。それにしても…


「ねえ、私が2歳になった時に会ったって、今その人は何歳なの?」


一瞬父と同じくらいの歳の人だったらどうしようと思った。

でもまだ結婚するって決まったわけじゃないし、…両親の中では決まってるみたいだけど。

案外、落ち着きある大人な人の方が、話し合いがしやすいかもしれない。そう思っていると父が首をひねりながら答えた。


「詳しい歳はよくわからんが、見た感じ25,6だな」


「まあ、会って話してみたら解るわよ。相手を知らないで行った方が色々聞けていいじゃない」


ねっ、と言いながら母がウィンクする。色々聞けてって…そんな仲良くなるつもりもないんだけど…。

とりあえず今日はもう夜になるし、明日の朝その人の所に向かってみよう。

でも年齢的にも社会人だし、急に行っても仕事で会えないかもしれない。まさか本当に職業:魔王ってことはないだろうし。

相手の都合もあるし、連絡先を聞いてから電話して確認とってみよう。

幼くて覚えてないとはいえ、会って約束した手前、電話で一方的に断る真似はしたくなかった。




「私、明日その人の所にいってちゃんと話し合ってくるね。時間の都合がつくか聞きたいからその人の連絡先教えてくれる?

えーっと、そのヴィスラヌさん?って人の―――」





私がそういうと、日が傾いて暗くなり始めた部屋が急に明るくなり、フローリングの床が白く発光した。


「えっえっ?何!?」


私は急に明るく光りだした部屋に戸惑いながらあたりを見渡す。

すると頭の中に聞き覚えのあるような無いような、なんだか懐かしいような声が響きわたる。




―――ようやく我が名を呼んでくれたな。ルア…ずっと待っていた。






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