そこに居るのは誰か。(超短編)
かなり短いです。
見る人によっては理解出来ないかもしれません。
俺は今、Youtubeの動画を見ているのだ。
だが今日はいつもと違う。
俺の後ろに誰かが居るのだ。
「部屋」というこの密室空間で居るのはただ俺だけだ。
なのに誰かが居る。居るのに居ない、いや居ないの居る。
あれぇどっちだろう。
「おい、聞いてんのか。」
今、明らかに、この静かな暗い部屋の中で、声がした。
でもこの部屋に居るのは俺だけ。
いや、実際俺は振り向いては居ない。
つまり部屋の中に居るのは俺ひとりとは限らない。
でもひとつ言える。
この部屋は鍵がかかっている。
あれは四年前。俺は引きこもりになった。
思い出したくない。いや何があったかも忘れてしまった。
今の俺はもはや理由なしでこの部屋に居る。
理由なんてない。生きている理由すらない。
なんて悲しい人生だ。いや、今の俺は人のらしい生活をしていない。
だから人でもない、「人生」とも言えない。
ここに居るのは誰だ。もしかしたらこの部屋には誰ひとりいないのかもしれない。
「いい加減こっちを見ろ。」
明らかに誰かの声がする。
居るんだきっと。
この部屋には必ず誰かが居る。
その中に俺は居るのだろうか。
俺は後ろを振り向いた。
なるほど、そういうことか。
終わり
それは 前からか これからか。