終章
誰にでも怖いものはある。
でも、それに打ち勝つことのできる力を、誰もが持っているのだとワタシは思う。小学校5年生のボクは成長し、自立し、妻と出会い、子を授かり、育てている。
息子は小学校2年生になるが、今、まさに恐怖を抱えているようだ。
「パパァ……あっちの部屋に寝るとねぇ、シーンって音がするから眠れないよ」
娘は小学校4年生、時々夜中に泣きながらワタシを起こす。
「怖い夢を見たの。街にね、ひとりになっちゃって……パパもママもいたのに、いつの間にかひとりで……そしたらね、ゾンビみたいのが追いかけてくるの」
娘や息子はどうやってこれらの恐怖の打ち勝っていくだろうか?ワタシが闇の中に『存在を確認した恐怖』は今でも私たちのまわりに潜んでいる。
ワタシの家の中にも、アナタのそばにも、アナタの近しい人にも……どうか恐怖に怯える人たちにアシナガバチが現れますように。
ワタシは恐怖に向き合い、恐怖を観察し、恐怖の存在を確認し、そして恐怖に打ち勝つことができた。もし、アナタが恐怖に怯え、恐怖から逃れ、目をそむけ、恐怖を否定したとき、アナタはアシナガバチの存在に気付かないかもしれない。
もし、そうなったら……
「アナタ」はただ、身を震わす思いで、それに耐えなければならない。
ここまで読んでいただいた方。感謝です。
この物語の構想自体は、30年ほど前からありました。これを書き上げる事ができたのは、終章にある子供とのやり取りがきっかけでした。一度ブログで連載していたものを再編し、ある程度手直しをしたものをアップしました。それでも尚、この作品は未熟なところが多く、これからも手を入れて行きたいと思っております。
今は、これが私の精一杯です。