「非婚主義だ」と言っていた幼馴染が婚約したと誤解して今更アピールしてきます
「はぁ?お前結婚すんの」
金髪の幼馴染がカウチに寝転がっていた身体を勢いよく起こす。
「え、ちが」
立ち上がってこちらに向かってくる
「…婚約したのか?」
どこか怯えたような目と目が合った。
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ウラヌスに初めて会った時、「お星様みたいな子だ」と思った。今よりもう少し白い髪に真っ黒な瞳。
「なに、おまえ」
招待された男爵家のバルコニーで可愛い顔してとんでもない事を口にした。
三歳年上のお兄様の真似をして出会った時から口が悪かった。
ぶっきらぼうだけど優しい。先月は裏通りのおばあちゃんの荷物を運んでいるのをみた。
照れ屋だけど、優しい。
面と向かって言うと怒るから、隠れファンも沢山いる。
みんなのうーちゃんだったのだ。
優しくて年も近く身分の差もない幼馴染が近くにいるのだ。好きにならないはずがない。
最近は酒に煙草、賭け事、女遊びは…まだ苦手なようだけど。
先週も道端でお姉さん達に腕を組まれてあたふたしている所を見る限り、まだ女の人に慣れているわけではなさそうだった。
だけど十六を過ぎた頃からだろうか、度々「オレは結婚しねえから」
と口にするからだんだん自信も無くなって。
気づいたら二十一になっていた。
ーーうーちゃんが振り向いてくれないなら、私もそろそろ結婚相手を探さなきゃなあ
そう思って口にした。
「結婚しても仲良くしてね」
そして冒頭の発言に至るのである。