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運命は動き出す

新作(*^^)v

日は暮れ、空は紅に染まる。

運動場は部活に勤しむ人達が汗を流している。

まだ、夏とも春ともいえない、そんな時期。

電灯はついておらず、窓から差す夕日を浴び、1人の青年が眠っていた。ある、動物のような耳をピクピクさせて。

机に突っ伏して、教室に1人。ほかの影は見当たらない。しずかな空間に自らを見る目のひとつもありはしないのだ。

しかし、そんな平穏な時間にも終わりがくる。

いつもは、母親が電話をかけてくるのだが、今日はそのような形で終わりを告げなかった。ハプニングは

唐突にやってくるものである。





「やっばーい!」


彼女、白崎 紅音しろさきあかねは、課題の出ていた数学のテキストを忘れてしまったのだ。

急いでいる理由はそれである。

幸いにも職員室の鍵掛けには1ー2の鍵はかかっていなかったため、まだ、居残りをしている人がいるのだろうと踏んでいた。

急いでいるのは行き違い対策である。


「あ、開いてた······ハァ。」


心底助かった、とアンドの表情を浮かべるが時間も時間なのでさっさと数学のテキストを机の中から抜き取る。

そして紅音は疑問に思う。

鍵の持ち主が居ないのだ。しかし、カギは開いていた。どういうことか、見当が全く付かなかった。

しかし、答えはすぐそこにあった。


「ん?んん?」


自分の隣の席に、猫耳をたずさえた男子が机に突っ伏していたのだ。

時折、ピクピクと動いたら、次はズボンからはみ出した黒い尻尾がゆらゆらとうごめく。


「え、ええ、えええええ??!!」


紅音は思わず後ずさり、ペタンと尻もちを着いてしまった。


「んぅ?」


「あ、起こしちゃった?っじゃなくて!起き────────っ!!」


紅音は絶句した。半目で眠たそうな青年が席からわざわざ降りてきて、紅音の胴に頬ずりするようにもたれかかってきたのだ。

尻尾は足にからませ、ぎゅっと抱きしめ逃がさんとばかりのだいしゅきホールドである。

ちょうどいい場所を見つけたのか、そのままお休みの時間である。


「·······どうしよ。」


そう、困惑していたその時救いの手が伸びてきたのである。


『プルルルルル ブルルルルル』


母親からの電話である。

出るべきであろうか。いや、出るべきだ!


「すみません!助けてください!」


『どうしたのですか?もしかしてうちの息子がまた寝ちゃってます?』


「はい、その通りです。どうしたらいいでしょうか。」


『迎えに行くのでそこで待っててください。』


九死に一生を得るとはまさにこの事である。とりあえず、このまま待っているのもあれなので、手慰みに頭でも撫でておこう。


フサフサとした栗色の髪にぴょこんと少し薄い色をした猫耳。

恐る恐る触るとピクンっとするが本人に起きる様子は見られない。

全く引っ掛かりのない髪を梳いてあげれば、どこかほっとしたような、すこし顔が柔らかくなった気がした。


そんな、無限なでなでも終わりがやってきた。


コンコンコン


「雪代 ゆきしろあおいの母、美咲みさきです。うちの息子がすみません。」


「あ、気にしないでください!

えと、私は白崎 紅音です。その、迷惑してた訳では無いので····むしろ役得というか····あ、失礼しました!」


「ふぅん、いい子が見つかったわね。よし!紅音ちゃん!親御さんに電話してちょうだい!学校の方に来るように!」


「え、ええ。」


勢いに飲まれつつも、受け答えできたことに自分を褒めたいと思った紅音だった。





美咲の言う通りに母親を呼び、校門前に集まっている。葵は紅音がおんぶしている。


「(思ったより、というか軽い。ノリも、体重も····。)」


紅音は心身ともにだいぶ疲れていた。


「あ、お二人、もうそろそろ着きますよ。」


「「着く?」」


学校前にはバス停はないので紅音は、紅音の母、日和ひよりとともに疑問符を浮かべていた。

数十秒経つと、黒塗りのthe·高級車、みたいなのがやってきた。


「お待たせ致しました。奥様。」


運転手付きである。

表へ出ると···


「「べ、べ、ベ〇ツゥ〜!!!??」


そう、かの有名な高級車である。


「さ、早く乗ってください!早く、早く〜!」


ノリノリの美咲に、やはりついていけないと思った紅音(達)であった。





葵が目覚めると、美咲の鼻歌が聞こえてきた。彼女は決まって運転する時に鼻歌を車内に響かせるのだ。

しかし、葵は疑問に思った。

車にこんなに良い枕置いてたっけ?、と。

車に乗る時に枕なんて要らないから持ってはいるはずがない。

なら、なんだこれは?

そう、思考を巡らせたどり着いた結果は、目を開けることだった。


「んんっ···」


思った以上に窓から入る日差しが眩しくて少し狼狽えてしまったが、目を擦ってよく見てみると·····


「あ、起きた?おはよう、寝坊助さん♪」


いつもは学校でしか見ないの紅音の顔が覗いていた。




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