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君と過ごせる魔法のような日常  作者: 菜乃音
第一章:fragment of memory
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おまけ:君がやり残したこと

軽く簡単に書いた二十話のその後です。

 家に帰ってきた後の灯はおかしかった。

 気にしつつも、一緒にソファに座った。だが、いつもより距離が離れていた。

 やはり、まだ一人で抱えて悩んでいるのだろうか。

 考えていても埒が明かないので、直接聞くのが手っ取り早いだろう。

 そうなれば、すぐに行動へと移した。


「灯、まだ何か悩んでいるのなら、相談くらい聞くぞ?」

「別に悩んでないのです。ただ……」

「ただ?」

「自分の未熟さに後悔しているだけです」


 たぶん、あれだろう。清の前で泣いてしまった事を、未熟だ、と言いたいのだろう。

 悩みでないのはよかったのだが、少しほぐしてあげたいものだ。

 ふと、清は自分の手を見た。そして、灯の方へと静かに手を伸ばし、灯の手を握った。


「灯の可愛い一面も俺は好きだぞ」

「……清君の、ばか!」


 灯は顔を赤くしながら、近くにあったヘアブラシを取り、清の肩を優しく叩いてきた。

 直で言うのであれば、可愛いってやつだ。

 それでも、握った手を離さないあたり、嫌では無いのだろう。

 少し経ち、灯は無言で立ち上がり部屋へと戻ってしまった。


(え、俺がなにかやったのか……)


 だが、すぐに階段の方から足音が聞こえた。

 灯の手には、心寧から貰った本が抱えられていた。

 本を抱えたまま、清の近くに座ってきた。落ち着いたのか、近くに座ってきてくれて為、安心感を覚えた。


 灯が近くのローテーブルに本を置くと、ページをめくり始めた。

 中は空白のページだけ、と思っていたのだが、色のついた写真がきれいに貼ってあった。

 最初に目で見えたのは、清、灯、常和と心寧の四人が写った写真だ。


「……あ、灯、いつの間に撮っていたんだ?」


 動揺交じりに聞くと、灯は普通に答えてくれた。


「私の魔法である氷をレンズに似させて、光の魔法を混ぜてみたらできたのです」

「その後に生成魔法を使って具現化したって感じか」


 灯は自信満々にうなずいた。

 混ぜてみたらできた、と言ったが、普通に考えて簡単なもので無いのは確かだ。

 灯の努力を垣間見ることが出来た気がした。


 そんなの知ったことない、と言わんばかりに、灯は新しい写真を作って貼っている。

 灯を横目に、スマホを取り出してメッセージを見た。

 少し前に送っていたのだが、返答が来ていた。……内容的には大丈夫そうなので、電話を掛ける準備をした。


「……あ、常和、今大丈夫か?」

『大丈夫だ。それと、今日は本当にすまない』

「別に俺は気にしてないから。それよりもさ、灯に代わっていいか?」

『星名さんは嫌じゃないのかそれ!?』


 常和からの承諾を得た、という意味にして、灯の方を見た。

 急な出来事に、灯が驚いているのはわかった。

 無理に出てもらう気はないので、とりあえず、灯の方にスマホを差し出してみた。

 灯はチラリ、とこちらを見てから、静かにスマホを受けとった。


「あの、お電話代わりました。え? いえ、それは私の方こそ悪かったので」


 常和としっかりと話せているあたり、心配ないようにうかがえる。

 話している内容的には、お互いの食い違いを説明しているらしい。

 常和と不快が残るまま、一日を終わってほしくない清からすれば嬉しいものだ。

 数分すると、灯は話終わったようで、スマホを返してきた。電話はつながったままのようだ。


「急にすまないな常和」

『親友からの頼みだしさ、良いってことよ!』

「それじゃあ切るから、おやすみ」

『ああ、おやすみ。てかさ、星名さんの気持ちをちゃんと見るように言ったろ』

「うるせえ、余計なお世話だ」


 多少強引ではあるが、電話を切った。

 次に会った時、常和から根掘り葉掘り聞かれるのは確実になっただろう。

 電話をしている間に、灯は紅茶を用意していたようで、近くのローテーブルへと置いた。

 一口飲み、喉を潤した。とても美味しい紅茶だ。


「……あの、眠くなるまで、清君と話していたいです」

「俺も灯と話したかったし、そうするか」


 紅茶を飲みつつ、灯と何の変哲もない雑談をゆっくりとした。

おまけをお読みいただきありがとうございます!

本来なら、灯目線のおまけの予定でしたが、全てを考慮して見送る形となりました。

読者の皆様なら、喧嘩したらどうやって仲直りしますか?

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