01「家族」
自分で言うのも何だけど、私は優等生だった。
いや、現在進行形で優等生なんだけれども。
優等生っていうか、「良い子ちゃん」、なのかな。
親の扱いやすい子供。先生の扱いやすい生徒。先輩の使いやすい後輩。
笑顔で言われたことやってりゃ良いんだもん。楽だよね。それだけで評価してもらえる。
おかげで、人生順風満帆。障害なんか何もない。波風なんか一つも立たない。
素敵でしょ、このクソつまんねぇ人生。
ずっと周りの言うこと聴いてきた。
やりたいことがあっても、「ダメ」って言われれば我慢してきた。
まあ、反抗してまで欲しい物も、やりたいこともなかったんだけどさ。
うちは裕福じゃない。子供だったけど、わがまま言っちゃいけないってわかるぐらい。
馬鹿兄貴は、わがまま満載で甘やかされてたけど。
アレが欲しい、コレが欲しい。アレやりたい、コレやりたい。
お前がそんなんだから、全部私が我慢しなくちゃいけないんだ。私が、帳尻合わせないと。
何てことしてくれてんだ、馬鹿兄貴。
親に何かをねだった記憶なんて、ほとんどない。買ってあげるって言われても、自分で買うからって首振った。
私の物買ってる余裕なんて、ないじゃない。馬鹿兄貴が高いもんばっか欲しがるから。
家の為を思って断ったのに、「可愛くない」って怒られたりした。
子供がそんな気ぃ使うなよって言う人もいる。
親もそう思ってたかもしれない。
じゃあ言わせてもらうけどよ。
子供に気ぃ使わせるような家庭環境作んなよ。
小学校の時だったっけ。性格診断検査みたいなのがあった。
質問の一つにこうあった。
家族には何の期待もしていない。
迷わず丸つけた。
だって、あの人たち、自分のことだけで精一杯なんだもの。
別に、寝る家と、食べる物があれば、家族が誰だってどうでもいいじゃん。
そう思って丸つけた。
そしたら、先生が親に電話を掛けてきた。
「検査のこういう項目に丸が付いていたのですが、○○ちゃんはご家庭で何かあったんですか」
余計なことしやがって。
私はまた怒られた。
ちょっとずつ、ちょっとずつ、嫌なことが積み重なって、私は家族が嫌いになっていった。